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読書感想〜フェルマーの最終定理

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約500ページにわたる本書をやっと読了。

 

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

 

フェルマーの最終定理とは、

 

「3 以上の自然数 n について、xn + yn = znとなる自然数の組 (x, y, z) は存在しない、という定理」

 

のことをいいます。

 

そもそも「定理」ってなんじゃ、という声が聞こえてきそうですが(笑)

 

「定理」とは数学(及び数理論学)の世界で「たしかにそうだ!」と証明された命題(平たく言えば理論)のことをいいます。

 

有名なところでは「ピタゴラスの定理」があります。

 

直角三角形の斜辺の長さの2乗は他の辺の2乗の和に等しい、という定理です。

 

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(「3分でわかる!三平方の定理ピタゴラスの定理)の公式とは?」より引用:

3分でわかる!三平方の定理(ピタゴラスの定理)の公式とは? | Qikeru:学びを楽しくわかりやすく

 

ではではフェルマーとは?

 

ピエール・ド・フェルマーはフランスで17世紀に活躍した「数論の父」と呼ばれる数学者ですが、本職は弁護士で数学は余興の一つだったようです。

 

このフェルマーが「私はこの命題の真に驚くべき照明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記することはできない」という言葉とともに、

 

「3 以上の自然数 n について、xn + yn = znとなる自然数の組 (x, y, z) は存在しない、という定理」

 

という定理を残しました。

 

フェルマー自身はたくさんの定理を残したのですが、この定理だけはそれ以降360年にも渡って、プロ・アマ問わず多くの天才と呼ばれる人たちにも証明されなかったのです。

 

「最終」定理と呼ばれる所以はここにあります。

 

そんなおばけ定理が1995年アンドリュー・ワイルズによってついに証明されたのですが、その完全証明に至るまでの歴史をまとめたノンフィクションが本書になります。

 

数学、と聞くと小難しくて拒否反応さえ出てくる人も少なくないでしょう(^^)

 

本書は随所に数学に少々馴染みがあったほうがわかりやすいところもありますが、数学をそんなに知らない人でも、吸い込まれていく要素があります。

 

私は大学で物理を専攻していたので数学は好きな方ですが、学者と話ができるようなレベルには遠く及びません。

 

それでも17世紀から20世紀に至る定理との長い戦いの様子、そして数学という学問の歴史の変遷にはかなり吸い込まれました。

 

まず数学者たちの真理を追求するエネルギーの強さに圧倒される思いでした。

 

一つの理論が正しいと証明する時に、過去に「正しい」と証明された定理を利用します。

 

「正しい」と信じて定理を利用するので、もし利用した定理が「間違っていた」となると、それまで展開した理論は崩れ去ってしまいます。

 

利用した定理が根本的な要素であればあるほど、利用される機会が多いためその影響は大きいのです。

 

だから理論を発表する際には、その証明・検証作業がとても大切になるのです。

 

証明がされなければ、その理論は「仮説」だったり「予測」といった言われ方をします。

 

フェルマーの最終定理は「定理」と言われているのですが誰も証明することができず、本来なら「仮説」の扱いです。

 

ところがフェルマー本人が本の余白に「私はこれを証明する方法をしっているがこの余白のスペースが足りないので書かないことにする」となんとも思わせぶりな記述を残してこの世を去ってしまったのです(^^)

 

これが多くの天才と言われる数学者たちの心をくすぐります。

 

しかもフェルマーは本業が弁護士で、数学はいわゆるアマチュアの世界の人なのです。

 

プロのプライドをいたくいたぶられた数学者たちは証明に挑戦するも、ことごとく破れていきます。

 

そしていつしか、超えられない大きな壁のごとくプロの数学者たちの憧れでありかつ絶望的な存在となって立ちはだかるのです。

 

その歴史の中で、優秀な女性の数学者も現れますが、20世紀のなかばまで女性学者は差別的な扱いをうけていたため、表舞台にでれなかったというのも驚きでした。

 

偽名を使って男性になりすまして論文の発表することもあったようです。

 

ピタゴラスからワイルズに至る2,500年に渡る数学の歴史の流れをフェルマーの最終定理を軸にわかりやすく見せてくれた本でした。

 

 

 

余談ですが、この本を読み始めた直後「お!」ということが。

 

第1章の冒頭にG・H・ハーディというどこかで聞いたような人名が。

 

実はこのハーディ氏、先日私が観た映画「奇跡がくれた数式」の主人公ハーディ教授そのものだったんです。

 

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インドの天才数学学者ラマヌジャンを育てるケンブリッジ大学の教授なのですが、数学界では重鎮の存在であったことがこの本でわかります。

 

映画の中でハーディ氏はラマヌジャンに「数学は証明されないと意味がないんだ」と諭すシーンがあります。

 

この本を読むとハーディ氏がいじわるで言っているのではなく、数学の世界で成果を出すためにとても大事な過程であることを教えてようという愛情であることが理解できます。

 

それから、第二次世界大戦でドイツ軍の暗号「エニグマ」を解読したアラン・チューリングを描いた「イミテーションゲーム」も実は昨年映画で観ていたのですが、そのアラン・チューリングもこの本に登場してきます。

 

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アラン・チューリングを演じるカンバーバッチが見事に気難しくもピュアな数学者を演じています。

 

エニグマを解読して連合軍の勝利に大きく貢献したアラン・チューリングでしたが、同性愛者と理由で悲惨な晩年を送ることになります。

 

性的差別・迫害といったことは20世紀中頃ででも根強く残っていたんですね。

 

そういう背景はあるものの、自分が観た映画の登場人物がこの本に登場してきたのにはちょっとした感動を感じました(^^)

 

数学者は真理を追求する姿勢がピュアで、そして数学の能力に優れているせいか世間一般に受け入れられない面を持ち合わせていて、それが人としてとても魅力的に写るのかもしれません。

 

数学者に対して畏敬の気持ちがでました(^^)

 

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)