48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜「センスメイキング」

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今回の課題図書はクリスチャン・マスビアウ氏著のセンスメイキングでした。

 

センスメイキング

 

「データだけでなく人文学的見地にたった視点と考察が必要」ということを謳っている本です。

 

テクノロジー至上主義から脱却し、人間の世界を感じる世界をもっと大切にしようと

主張しています。

 

ただこの本、シリコンバレーとデザイン思考に対し異常なまでの嫌悪感を出しており、むしろその批判をすることで自らのコンサルティング事業の正当性や価値をアピールしている、マーケティング活動のような印象を受けました。

 

著者のコンサルティング活動を通じて一定の成果が見られたと思われる事例を数点紹介して、センスメイキングの効果を伝えている部分は「そういう例があるのね」とさらっと読めるのですが、特に目新しいものは感じません。

 

 

 

私も在職時代に事業計画に携わる役目だったこともあり、PLにまつわる数値、市場データ、製造もあったので製造データ、技術データと多くのデータと対峙していました。

 

その時によく言われたのは「数字の裏側を読め」でした。

 

すなわち「その数値が出てきた理由、背景を考察し確認しろ」ということです。

 

売上が増えたのはなぜか。 ある地域で売上が伸びたから。

 

ではなぜその地域で売上が伸びたのか。 キャンペーンが成功したから。

 

ではなぜそのキャンペーンは成功したのか。 他社より安くなったから。

 

たとえばこんなようななぜなぜを繰り返すんです。

 

 

 

当然データにはそのデータが生まれた理由があるので、その理由なくして、次に同じデータになるのかどうかは予測がつきません。

 

技術も同様です。

 

何かデータが出たとき、良い数値が出たとしてもなぜその数値になったのか理論の裏付けが必要です。

 

「たまたま」かもしれないし、他の要因によるものかもしれないのです。

 

理由がはっきりしないと再現性がありません。

 

技術の世界は再現性があって初めて意味をなします。

 

でないと性能や品質を保証できないからです。

 

 

 

そういう観点でこの本は、目の前にあるデータを鵜呑みにしないでその背景をもっと人の気持ちに寄り添って考察することで、より現実的な姿が見える、と言っているようにも感じます。

 

 

 

しかしシリコンバレーやデザイン思考については、例外抜きで一刀両断の勢いで強く非難をしています。

 

この本の少なくないページを割いているのですが、これらの部分はそのまま受け入れるのは難しい内容でした。

 

ま、同調はできない、というところでしょうか(^^)

 

 

 

この本で何か得るものを、ということをあえて探すとしたら「将来のAIについて考えるきっかけ」になるかもしれない、ということでしょうか。

 

AIはいわゆるコンピューターによってつくられる世界ですから、データがベースです。

 

AIはもしかしたらデータだけで作られる世界と言ってもいいかもしれません。

 

そこには人間が持つ、好き嫌い、好奇心、ばらつき、不安定性、無駄といったものがなかなか盛り込みにくい世界かもしれません。

 

AIと人間との違いはこんなところに現れるのかもしれませんね。

 

著者がいうところの「データ至上主義」を「AI」、「センスメイキング」を「人間」としてあてはめてみると、「これからAIが発達していく中で、人間は人としてどう生きていくのか」という問題提起をしているのでは、と読めるかもしれません。

 

 

 

とはいえ、読んだ感じではなんとなく「商業的」要素が強い本だなぁ、という印象はなかなか拭えず、これがまたある意味ばらつきと不安定性の多い人間ならではの「センスメイキング」の一面かもしれません(^^)

 

センスメイキング