読書会とは別に自分で選書して読んだ本をご紹介する「読後感想」。
今回はテレビのコメンテーターなので活躍されている青木理氏著作による「日本会議の正体」です。
右派の大きな勢力と言われている日本会議というものがどういう歴史で誕生し、今の政治や生活にどう影響を与えているのかを、取材をベースに著者の見解を交えてまとめたものです。
私が右派に興味があって、というわけではなく、たまたまテレビをみていて、関係が悪化している日韓関係の特集の中で、本書が韓国のベストセラーになっている、と紹介されたのです。
すなわち、韓国の少なくない人たちがこの本(もちろん韓国語に翻訳されています)を読んで、日本、日本人はこういうものか、というイメージを持つ、あるいは持っているのではないかと思ったのです。
であれば、この本に書かれていることはどんなことかを知ることは、一部の韓国の人たちが持っているかもしれないイメージを知ることになるのかな、と思った次第です。
この本を読んで「日本会議」に対して受けた印象はこんな感じ。
- 天皇を崇拝し敬い日本という国を愛することが日本人のあるべき姿だと信じている人たちがいること。
- その人達は決して少ない人数ではないこと。
- 現在の憲法は不適切だと評価していること。
- そしてそれは自民党を始め政治に対して大きな影響力をもっていること。
- 日本人は優れた民族であるという意識が強いこと。
- 第二次世界大戦で日本が行ってきたことを正当化しようとしていること。
- 排他的であり、攻撃的であること。
なるほど、たしかに「国粋主義」とか「右派」と言われる理由がわかります。
著者はあとがきでも書いていますが、この「日本会議」対して批判的な立場をとっています。
なので、本書自体は取材をベースにかかれていますが、「好ましくない」という気持ちが現れている印象です。
冒頭にも書きましたが、この本が韓国語に翻訳されて韓国のベストセラーになっているということが、ちょっと気になりました。
この本を読んで、「日本はこういう国なんだ」とか「日本人ってこういう国なんだ」という一意的なレッテルを持ったとしたら、それは淋しいなぁ。
現在の首相はこの団体と深くかかわっており、この団体の影響は少なからずもあると考えられるとすると、この本を読んだ海外の人は、現在他の国々で起こっている右派の台頭と同様、日本も「ジャパンファースト」の国だといわれても仕方ないですね。
アメリカやブラジル、フィリピン、欧州各国と一緒。
先日の読書会で読んだ「日本経営哲学史」では、「日本の思想の特徴は“受容性の高さ”」と述べられていました。
そう、いろいろな文化や思想を受け入れてきたからこその今の日本だと私も感じます。
「日本人」と民族的なことを言う人もいますが、元はといえば、中国・朝鮮半島といった大陸や、南は沖縄、北はロシアなどから人が入ってきて混成なんだから、なにが“純血”か定義をするのことがナンセンスな気がします。
“受け入れる”ことを忘れて、今の姿がさも天から与えられたがのごとく解釈し、突然周りに対して優位性を主張し、ここは自分たちの世界だとほかを排除する姿勢は、気持ちのいいものではありません。
この本でも触れていますが、日本会議はある意味宗教的である、と。
宗教の持つ怖い側面がこの日本会議という団体から感じます。
怖い世界があることを知りました。。。