シンギュラリティ・ビジネス AI時代に勝ち残る企業と人の条件 (幻冬舎新書)
- 作者: 齋藤和紀
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/05/30
- メディア: 新書
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今回の読書会の課題図書はこちら、「シンギュラリティ・ビジネス」です。
どんな本か
AIの世界的権威といわれている科学者カーツワイル氏が提唱した“シンギュラリティ”。
2045年にテクノロジーの進化が無限大になる、と予言した現象です。
実際にシンギュラリティが起きるかどうかはともかく、技術の進化する速度は確実にあがってきておりそのような現象が与えるインパクト、そして自分たちの生き方についての考え方をまとめた書物です。
ここをおさえておきたい
6つのD
この本で紹介されている6つのDは、技術の発展過程を的確に表現していると思います。
- デジタル化(Digitalization)
- 潜行(Deception)
- 破壊(Desruption)
- 非収益化(Demonetization)
- 非物質化(Dematerialization)
- 大衆化(Democratization)
以上の6つです。
詳細な解説は書籍に任せるとして、いい例として上がっていたのが写真。
フィルムの写真全盛のときに、デジタルカメラが登場します。これが最初のデジタル化。
しかし現像したフィルムに消費者は慣れ親しんでいたことや、デジタルカメラがまだ高価だったこともあり、なかなか普及しませんでした。これがいわゆる潜行の時期。
ところが技術は指数関数的に発展していくため、気がつくと安く手軽にデジタルカメラ、いわゆるデジカメが主流になりました。これが破壊のステージ。
デジカメで取った写真は現像する費用がかかりません。ここで写真の世界で収益源だった、フィルムや現像といった商品、サービスが実質無料となったわけです。焼き増しもコピーすればいいので無料。これが非収益化です。
そしてそのデジカメにおされてフィルムはほぼ市場からなくなりました。またデジカメ自体もじつはスマホに置き換わっていき、存在感が薄くなってきています。市場から姿を消す、これが非物質化です。
そして光の加減やコントラストなどはアプリで簡単にできるようになり、以前のような高価な設備を必要としなくなったのです。これが大衆化。
昔はプロのカメラマンでしかできなかったことが、今や学生でも簡単にできるようになってしまった、これが技術の進化なのです。
このように「6D」という概念は技術の進化過程をより的確に表現しており、今後の自分の指標として使えるという印象を持ちました。
グローバル・グランド・チャレンジ
これはこの本で紹介されている“シンギュラリティ大学”が「10億人に良い影響をあたえる」ビジネスモデルによって人類規模で解決する12の課題のことをいっています。
- 教育
- エネルギー
- 環境
- 食料
- 健康
- 繁栄
- 安全
- 水
- 宇宙
- 防災力
- 統治機構
- 住居
の12個です。
これらをテクノロジーの進化によって解決していこう、というのがシンギュラリティ大学の目指しているところのようです。
私はシェアハウス事業を展開しているので、個人的に「住居」のテーマが入っていたことがちょっと嬉しかったりします(^^)
自分が今取り組んでいること、これから取り組もうとしていることが、シンギュラリティという観点でどうかかわるのか、という見方をしてみると面白いと思います。
シェアハウス事業
人類規模で解決すべき課題の1つとしてあげられた“住居”。
私はその住居の選択肢の1つとしてシェアハウスを運営しています。
シェアハウスの良さはいろいろあります。
- 誰かがいる安心さ
- 気の合う仲間がいる心地よさ
- 価値を共有できる成長性
- 費用を分担できる経済性
私はこの中でも1〜3にこだわりを持って運営を営んでいるつもりです。
1〜3はいわゆる「人間関係」が大きな要素を占めています。
シンギュラリティでいうところの「技術の発展」とはちょっと一線を画しているように見えます。
実際私も「IoT」とか「ネットワーク」といった技術の話からはちょっと距離を置いていたのも事実です。
技術は「利便性」や「経済性」を向上させるには心強いが、人間関係の形成とは別であり、そこに自分らしさを発揮できるのではと思っていたからでもあります。
ところが1〜3の要素も実は技術の力で大きく発展できる要素があるんだな、と今回の本を読んで考えを改めました。
AIBOのようなメカペットがAI技術で人の心を上手にとらえて、絶妙な人とペットの距離感をつくり、心に癒やしをあたえてくれるかもしれません。
VRやARといった技術で物理的には離れてていても一緒に体験をしたかのような経験をすることができ、体験を通じた心の交流が促進されるかもしれません。
ホログラフィのような技術で自分の周りに友だちがいて“エア飲み会”ができるようになるかもしれません。
自動車が自動運転になれば、移動中ずっと宴会も可能です(笑)
今私がやっていることは、技術の発展によってやり方が大きくかわってくるのかもしれないのです。
そういう目でこれからを考えてみる、今起きていることを観察する、そんな姿勢をもつことがこれからの人生をより楽しくしてくれるのではないかと思わせてくれました。
技術的、倫理的いろいろな課題があるかと思いますが、シンギュラリティ、なんか楽しみになってきました(^^)