48歳からの挑戦

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読書会〜「ひとはなぜ戦争をするのか」

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年内最後の読書会の課題図書はこちら「ひとはなぜ戦争をするのか」でした。

 

1932年に国際連盟から「今の文明でもっとも大事だと思われる事柄を取り上げ、一番意見を交換したい相手と所感を交わしてください」という依頼をうけて、アインシュタインが選んだテーマです。

 

(「」内は本書訳者あとがきより抜粋)

 

そして選んだ相手はフロストでした。

 

この意見交換はたった一往復だったようですが、その内容がこのように本となって残っています。

 

文庫本として111ページと薄い本で、アインシュタインの書簡が10ページ、フロストからの返信が35ページ、実質45ページだけで、残りは訳者あとがきと著名人による解説で構成されています。

 

稀代の天才で、だれよりも深い考察能力をもっているであろうこの両人が交わす意見交換。

 

文章としてのボリュームは少ないながら、じっくり考えるテーマとしてはとてつもないボリュームです。

 

人間は本来憎悪と破壊という欲求をもっていて、いかにその欲求を抑えるかが戦争を回避する鍵であろう、意見をくれないか、アインシュタインはフロストに問いかけます。

 

それに対しフロストは「最後は文化の発展が戦争回避に導いてくれるのではないか」という返しで手紙は終わっています。

 

この二人の書簡は短いのですが、彼らの文末の結論をみて知った気になるのではなく、どのように思考を巡らせているか、どのような視点で人間を捉えているかという視点と洞察力が随所にあらわれていて、立ち止まりながら読む本のような気がします。

 

アインシュタインは、世界を統一する機関の存在があったらどうか、という仮説から始まりますが、そのルール自体人がつくっており、現実化されていないことから、実は心に問題があるのではないかと視点を移します。

 

そして心の中でも欲に支配される心の弱さに着目し、人本来はという仮説に展開されていきます。

 

物理を専門とする学者がこのように人の内面にまで深く考察をいれていく、その行為をみてもアインシュタインがいかにこの問題に危惧をもっているのか、少し推し量れる気がします。

 

そして一点突破的なつっこみに対して、フロストは哲学者としてとても幅広い視野と考察でアインシュタインの問いかけを包み込んでいくような印象です。

 

「武器となる哲学」にて著者の山口周氏は、古の賢人たちが考えてきたことをなぞったり触れたりすることは思考の幅と深みを与える、的なことをいっていたと思います。

 

この本はまさにそんな一冊ではないかと思いました。

 

後半の解説で養老孟司氏と斎藤環氏が解説をよせています。

 

これらもまた我々の思考にヒントをくれるいいガイドです。

 

今年はちょっと哲学の世界に触れる年でもあったかもしれません(^^)

 

ひとはなぜ戦争をするのか (講談社学術文庫)

 

年明け最初の課題図書はショーペンハウアー(^^)

 

なかなか重い(笑)