先日ゴッドファーザーのDVDを観た話を紹介しました。
DVDで三部作を持っているので、勢いで後日IIとIIIを両方観ました。
ただ第1作よりは記憶が曖昧だったのでこの後の英語のリスニングトレーニングのために、「日本語音声」+「英語字幕」で観ました。
内容を把握しつつ使われている英語表現をみるためです。
とはいえ内容も秀逸のこの映画シリーズ。
初代ゴッドファーザーを第1作ではマーロン・ブランドが、第2作ではロバート・デ・ニーロが演じていますが、いずれもアカデミー賞を受賞しています(マーロン・ブランドは辞退)。
また第1作、第2作ともにアカデミー賞作品賞を受賞。
同じ役柄を別の役者が演じて、いずれもアカデミー賞を受賞したこと、シリーズで2作ともアカデミー賞を受賞したのは、どれもこのゴッドファーザーだけのようです。
第3作目は、かなり時間が立ってから収録されており、元々予定されていた三部作というよりは、後日談のような位置づけで作られたとか。
第3作で二代目ゴッドファーザーのマイケル・コルレオーネの娘として演じたのは監督コッポラの娘のソフィア・コッポラ。
彼女は第1作でコニーの子供として生まれたマイケルに赤ん坊役で出演しています。
有名な作品だけあっていろいろなトリビアがある作品でもあり、Wikipediaを観ているだけでも結構楽しめたりします(^^)
さて、ゴッドファーザーといえば、よく出てくる言葉が「ファミリー」です。
コルレオーネ一家が最も大切にしているものがファミリー。
そのファミリーには無償の愛情をもって抱き込みますが、ファミリーに入るには血の繋がりがあるか、大きな信頼を勝ち取らないとなりません。
そして裏切りには血の粛清でこたえます。
信頼の元にファミリーがあり、信頼を壊す存在はすべて敵とみなし容赦なく打ちのめします。
この後者の部分が暴力的であるがゆえに、マフィア、ギャングと恐れられることになるのです。
それにしてもコルレオーネ一家のファミリーに対する愛情はものすごく深い。
第1作では、マーロン・ブランド演じるヴィト・コルレオーネが自分に忠誠を誓った仲間には徹底的に応援し力になるという姿勢、行動を見せます。
一方でコニーの旦那となるカルロは逆に全く信用されずファミリーには加えられません。
結局ファミリーとしてなかなか受け入れてくれない不満という心のスキをつかれ、他のファミリーにそそのかされ、コルレオーネファミリーを裏切ります。
父の後を継いだマイケル・コルレオーネは妹の旦那であろうと容赦せず、カルロを抹殺します。
ヴィト・コルレオーネの若い頃からの仲間であったテシオという親分も、裏切ったら容赦せず抹殺してしまいました。
「信頼を落とすのは易く、築くのは難し」をコルレオーネファミリーは見せつけます。
第2作ではヴィト・コルレオーネの若い頃のシーンが全体の1/4くらいの割合で挿入されています。
両親と兄をシシリアのマフィアに殺され、自分はからくもアメリカに脱出。
そして苦労をしながら小さな仕事をしているのですが、地元の顔利きを殺めてからだんだんと力をつけてきます。
このときに何度も映し出されるのがヴィトが自分の子供達と奥さんをとても大切にしているシーンです。
「すべては家族のため」、そんな一途とさえ感じるシーンです。
金儲けして事業拡大をしていきますが、愛人を作るとか、儲けた金で遊ぶといったシーンがまったくないのです。
ヴィト・コルレオーネを継いだ三男のマイケル・コルレオーネ。
長男のサンティーノは第1作でカルロの裏切りで敵対マフィアに殺されます。
第2作では次男のフレドが裏切り、マイケルは実の兄を粛清します。
しかしマイケルはフレドに対しては何度か助かるチャンスを与えています。
一度の裏切りで死に追い込まれるコルレオーネのやり方にしては、本来は手ぬるいはず。
しかし最後にはフレドは勘当されます。
実の母が亡くなった後、フレドは静かに粛清されるのです。
マイケル・コルレオーネは存命中の母に相談をします。
「父はどんな気持ちだったのだろうか。ファミリーを守ろうと強くなることで、かえってファミリーを失うような恐れはなかったのだろうか」と。
マイケル・コルレオーネは実兄のフレドを粛清、妻と離婚と本来自分が期待していたファミリーとは程遠い姿になっていきます。
第3作では、それまで冷たい血が流れている冷徹なマイケルが、子供を溺愛する一人の父親になっていく様が描かれています。
マフィアの世界から合法の世界で舵を切り始めたのですが、合法の世界でさえ汚い世界に汚染されていることに気付かされます。
マイケルはシーンで「まともな世界でトップに行けばクリーンにできると思っていたが、全然違ったよ」とこぼすシーンがありました。
ファミリーを守りたい、ただその一念という気持ちが強く現れています。
最愛の娘が自分を狙った銃の流れ弾にあたって死んでしまいますが、冷徹なマイケルが半狂乱になって泣き続けるシーンがあります。
愛するものを失う苦しみがこの数秒に描写されている気がして、胸が締め付けられる気持ちがしました。
ヴィトもマイケルもゴッドファーザーでありながらファミリー第一主義をつらぬいてきました。
ヴィトとマイケルの違いといえば奥さんへの対応でしょうか。
ヴィトの奥さんはヴィトのやり方を受け入れましたが、マイケルの奥さん(ケイ)は受け入れられなかったんです。
生活が苦しいときからともにしていたヴィト夫妻と、海軍の英雄ですでにファミリーのバックもあって何不自由無いときに出会ったマイケル夫妻、このあたりの違いもあったのかもしれませんね。
自分にこれほどの家族愛があったのだろうか・・・
などと考えてしまう、そんな作品です。。。