「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ
前回「岩田さん」に続いて任天堂シリーズ(^^)
Wiiの企画担当だった玉樹真一郎氏著書の「ついやってしまう体験の作り方」です。
私にとっては「まさに今欲している思考法」の指南書でした。
ルールを守ってくれない、とか、言うことを聞いてくれない、とか、反応してくれない、とか、何度言っても同じことを繰り返す、だとか・・・
そんな不満やグチは数え切れないくらい経験しているだろうし、聞かされているだろうし、言われてきたと思います。
なぜか・・・
これが今の私にとって、もっとも大きな課題なのです。
「ルールを守れ」
「言うことを聞け」
「反応しろ」
「何度言ったらわかるんだ」
な〜んて、言って済めばこんなイージーなことはないのですが、言って済まないのがこの世の中。
元相談役Tくんとよく議論していたことのひとつなのですが、「言われて動くよりも自発的に動いてもらうほうが遥かに継続性に期待できる」と。
つまり、「自分自身で『やろう』と思ったことはやってくれる」んです(^^)
なので、どうやったら「自分自身で『やろう』と思ってもらえるか」が私の大きな課題なんです。
この本には副題がついています。
「人を動かす『直感・驚き・物語』のしくみ」
読み終わって気づいたのですが、まさにこれがこの本の要約です(^^)
この本では心を動かす体験を作る方法を「体験デザイン」とよび・・・
(本書「はじめに」より抜粋)
そうこの本は「体験デザイン」について書かれていて、
- 直感デザイン
- 驚きのデザイン
- 物語のデザイン
の大きな3つのデザインで構成されているというものです。
読み終わったあとこの本の要約をいつも目にすることができるよう、付箋に書いて作業机から見えるところに掲示しました(^^)
どんな内容かは読んでいただくとよいかと思います(^^)
私はこの本を読んで、ゲームというのはとても人間味のある設計をしているんだなぁ、と感じました。
「人間味」といってもそれはいい意味でも悪い意味でもあります(^^)
すなわち「人間の性質」というものを意識している、あるいは感覚としてわかっているからゲームが作れるんだ、ということです。
私が小学生のころにインベーダーゲームが流行りだして以来、画面の向こうにある画像相手にするゲームが主流になってきました。
正直ゲームは得意じゃなかったし、当時でもインベーダーゲームは100円していて(40年以上も前ですよ!)、小学生の私にはとてもとても遊べる代物ではなかったんです。
なのでゲームセンターにもあまり行かなかったし、そのせいかゲームに対しては距離をおいていました。
大学生のときにパソコンでロールプレイングゲームが流行りだし、私は三国志ゲームに夢中になったことがあります。
社会人になってからは桃太郎電鉄ゲームくらいで、ファミコンの野球やサッカーといったゲームはまったく下手でした(^^)
友人と野球やると100−0みたいなオールブラックスと日本の中学生とのラグビーの試合のようなスコアで、すっかりやる気が失せたことも理由の一つかも(笑)
まあ、そんなこんなでゲームから離れていた理由をあげるといくらでも言い訳ができるのですが、先日読んだ「岩田さん」といい今回読んだ本書といい、ゲームを作る人はよ〜く人を見ているんですね。
これって最近のビジネス事情の変化とリンクするような気がします。
20〜30年前までは、企業が何かしらのサービスを大勢のユーザーにばらまいて売価とコストとの差分を利益としてとっていました。
そこには顧客は「ただのユーザー」であって、一人一人の個性は無視され、むしろ「属性」という形で無理やりグルーピングされていました。
顔が見えないんです。
今大きく成長している企業は逆の視点です。
一人一人の個性(オリジナリティ)を大切にすることでユーザーからの支持をうけています。
GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)でみてみましょう。
いずれの企業もユーザー一人一人にIDがあり、個人個人のマイページが存在していて、個人個人に合った広告やオススメが掲載され、個人個人独自のつながりが持てます。
それがデジタル化と通信技術の発達で、企業は大量のデータを管理することが可能になり、利用者は自分のIdentityを感じながらサービスを享受できるのです。
だからサービスを提供する側(GAFA)は、利用者が何を求めているのか、顕在的・潜在的問わず何を期待しているのか、に視線を注ぎます。
プラットフォームは人間が考案しますが、個別最適化はAIが行うのです。
顧客(ユーザー)を意識したサービスの設計という視点がゲームの設計と同じ目線なんだなぁ、ということです。
最近企業の採用も変わってきました。
昔は採用する企業は「うちに来たかったらこれくらいのレベルじゃないとね」くらいの高飛車でした。
今は「うちに来てもらうために弊社はこれだけのことをやっています」とアピールするようになっています。
ただの売り手市場ではないです。
私はバブル世代なので、超売り手市場でしたが、今の採用の様子とは全然違います。
一等地にオフィスを構えるとか、Anytime Free Food and Drinkだとかは、いい人材にきてもらうための企業努力だったりするわけです。
「組織視線」から「利用者視線」に大きく変わってきていると感じます。
ちょうどいいタイミングで出会いました(^^)