今回の課題図書は元大阪府知事、元大阪市長の弁護士橋下徹氏の著作。
メディアの寵児といっても過言ではないくらい、メディアを自分の発信力の一つとして活用できる数少ない政治家・弁護士の1人と思います。
すごい人だなぁ、というのが個人的な印象。
25歳の年に大学卒業し司法試験合格。
28歳で弁護士事務所を設立し独立。
33歳にしてテレビ出演し「行列ができる法律相談所」にレビュラー出演。
38歳にして大阪府知事。
41歳のときには大阪都構想を掲げて大阪市長に立候補し現役候補を撃破。
46歳で政界引退。
橋下徹氏を初めて見たのは「行列・・・」の番組で、金髪で歯に衣着せぬ物言いで痛快なコメントをしている姿に仰天したものです。
同じ時期にレギュラー出演していた北村弁護士が、イメージ通りの弁護士だっただけにその対比が面白く、番組的にもいいキャスティングしたなぁ、なんて思っていました(^^)
あれよあれよと大阪府のトップになり、髪は黒髪短髪に変わり、まだ40代前半だけど白髪が目立ち始め、「橋下氏でさえも強烈なストレスなんだろうなぁ」とテレビ画面越しになんとなく感じていたところ、あっという間の引退宣言。
番組でのコメント同様、歯切れよく、スパッとした行動は、あっぱれと思わず言ってしまうようでした。
橋下氏の武器はなんといっても、ロジックに沿った答弁。
「あー言えば〇〇」という言葉がとある宗教団体がメディアに露出していた1995年前後に流行りました。
世が世ならその人と橋下氏のディベート合戦を見てみたかった(笑)
同じ大学出身ですしね。
さて、話はそれましたが本書を読むと、彼の武器であるロジカルな思考が存分に発揮されていることがわかります。
橋下氏もこの本で間接的に言っていますが「いい人になるため」のいわゆる人格形成のための啓発本ではなく、「仕事ができる人」になるための指南書と言っても過言ではありません。
ロジカルでディベートが強そうな橋下氏ですが、「言葉」でなく「行動」が人を動かすことをとうとうと語っています。
そして「ルール」が大事である、と。
私は移民国家の代表的な国であるアメリカの人の話を聴いているような印象を持ちました。
価値観、宗教など正悪の判断軸が異なる人達が同じ社会で暮らすためには、共通の合意されたルールが必要です。
そのルールがお互いの共通した正悪の判断軸となるのです。
そしてそれは「フェア」であるべきで、だから異なる意見がぶつかった時はルールに則って与えられた権力を保持している人が判断するか、多数決で判断されることになるのです。
そして結果を出すために努力することは当たり前であるという感覚も本書には随所にあらわれています。
橋下氏は持論をわかりやすく本書で紹介していますが、彼の批判対象である「口先だけの評論家や学者」と違って、実際に行動をしてきているところが、彼の本書のタイトルに思いが込められているような気がします。
読書会で参加者の1人が面白い指摘をしてくれました。
「彼はいつも自分をアップデートできる力を持っている。
自分と異なる考え、意見を持っている人がいてもそこから何かを取り込んで自分自身をさらにアップデートできる能力を持っていて、そこを自分でもわかっているんだ。
だからどんどん自分が変わっていける
それが彼の一番の強みじゃないかなぁ
既得権益者は「今」にしがみついているので、自分をアップデートする必要がなく、変化を嫌う傾向にある。
だからそういう人たちは橋下氏のようなタイプは困る人なんだと思う。」
なるほど〜(^^)
「自分をアップデートできる能力」って、自分と異なる世界から吸収して取り込む力のことなんですね。
ロジックはそのためのツールなのかもしれません。
自分をアップデートするには「感情」からでもできると思います。
アーティストはそういう部類かもしれません。
多くの人を巻き込んで組織を作って、大きな仕事をするためには、共通のルールが必要で、そのためには感情よりはロジックの方が使いやすいでしょうね。
世界中から非難轟々のアメリカのトランプ大統領ですが、橋下氏は独特の視点で評価をしている記載があります。
面白い視点です(^^)
橋下氏が努力している行動の一つ。
毎日新聞主要5紙を見て、自分の持論を組み立てる訓練をしている、そうです。
メディアについては本書でも批判的な面を持っている橋下氏ですが、利用できるところはちゃんと利用していますね。
最近新聞みてないなぁ。。。
大きい仕事をする人は、たくさん努力をしていることが本書からも伝わってきます。