今回の課題図書はティエン・ツォ氏著作の「サブスクリプション」
サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル
「サブスク」という言葉はよく耳にしているかもしれません。
まさにこのサブスクリプションの略称。
ここではこの略称を使っていきます。
ではサブスクって一体何?
表面的に言えば、サービスを提供しそれを定額で会費のように継続的にお金を支払ってもらうモデルのこと。
Netflixとかスポティファイとか、Amazonとか、Office365とか、スポーツジムとか、なんとか会員とか(^^)
では著者はなんと言っているか、本著の”はじめに”から引用させていただきます。
これからのビジネスの目標は、まず特定の顧客のウォンツ(欲求)とニーズ(必要)に着目し、そこに向けて継続的な価値をもたらすサービスを創造すること
(中略)
顧客をサブスクライバーに変えて、定期収益がもたらせる構造を築くこと
(「サブスクリプション」の”はじめに”より引用)
すなわち、不動産や電化製品や本や衣類や外食などのように、その場でお金を払っておしまい、という「サービス(製品)の売り切り」ではなく、その後もお金を払ってもらえる構造のことをいいます。
野菜を八百屋さんやスーパーで売るというモデルは、これまでのモデル。
オイシックスや生協のように定期的に野菜を届けることで毎月の会費を受け入れるというモデルが、まさにサブスク。
ただこれはさきほども言ったように「表面的な」違いです。
著者の提唱した「サブスクリプション・エコノミー」の本質は、その「表面的な」違いを実現させるための中身にあることを、この本で紹介してくれています。
本著の巻末に掲載している「2012年から2017年の6年間における成長率」データによると、アメリカS&Pが年率2.2%、米国小売業が3.6%だったのに対し、サブスク・エコノミーモデルを導入した企業は17.6%とダントツの実績を残しています。
そう、「導入した」という表現を使いましたが、Saas(Software as a Service)企業として生まれた会社だけでなく、従来「売り切り」をもでるとしていた企業がサブスクのモデルに切り替わっていった事例があり、それも十分可能なことであることを示しています。
これまでのモデルとの大きな違いは以下にあります。
提供価値は「製品」から「サービス」になってきたこと
常にアップデートをする必要が出てきたこと
たとえばAmazon。
本を手に入れる、ということに対しこれまでは本屋にいって欲しい本を手に入れるというスタイルが当たり前でした。
本屋になければ頼むしかありませんでした。
この当時は「本」そのものにしか価値を認められていなかったのです。
ところが利用者には潜在的な不満や欲求がありました。
- 本屋に行く、あるいは本を持って帰るのが面倒くさい
- 欲しい本がいつもあるとは限らない
- 欲しい本を手に入れるのに時間がかかる
などです。
そこでAmazonは、
- Webでいつでも発注できる
- 当日あるいは翌日配送
を実現しました。
そのためにprimeという会員制度を作り定額の会費を支払うことを利用者に求めました。
すなわち「利用者の潜在的不満や欲求に応えること」に価値をおいたのです。
そう「製品」から「サービス」に価値が移ってきた大きな流れが起きつつある、ということです。
その背景には、顧客の関心が「所有」から「利用」へ変わってきていることが揚げられると著者は指摘しています。
本著では、こういったサブスク・エコノミーの流れと、従来の企業がどうやってサブスクモデルに切り替わっていくかという視点を紹介しています。
このモデルの課題は
- サービス提供側は”継続的に”価値を提供し続ける体制とコンテンツ開発が求められる
- サービス受益側はこれまでの支払いが”変動費”から”固定費”に性質が変わりボディーブローのように負担が増えるリスクがある
と考えます。
提供側は常に顧客動向を知る必要があり、データの取り込み、処理、分析に多くの投資をし続けなければなりません。
そして動向にマッチできるようクリエイティブでもなければなりません。
これは大変な覚悟と努力を必要とします。
一方受益側は毎月1,000円とか10,000円とか一つ一つは大きくない額ですが、多くのサービスを受け入れることで大きな額になる恐れがあります。
それに累積するとそれなりの額になります。
一月1,000円でも1年で12,000円、10年で120,000円。
それに値するサービスを受益できていればいいですが、なんとなく・・・という流れに陥ることもありえます(^^)
私が目指しているシェアハウスの運営は、このサブスク・モデルになりうる要素があるかもしれません。
従来の賃貸は、家賃という形で「定期的な」収益があり、表面上はサブスクっぽく見えます。
しかし、実態は部屋という「製品」を提供しているだけで、あえていえばその製品が長く利用できるようにメンテナンスをする、くらいでしょうか。
本質は「製品提供」となんら変わらないと思います。
一方私が目指しているシェアハウスは、ハウスメイト同士のコミュニティーが生命線です。
時が経てば利用者の好みの傾向は変化していくわけで、生活環境やコンテンツをいつもアップデートしていかないと、利用してもらえなくなります。(^^)
ただ、住まいは生活の基盤でもあるのでやりすぎると居心地が悪くなってしまう恐れもあり、その塩梅がまさに腕の見せどころです。
では私は常に顧客志向か、というと実はそうでもありません(^^)
なぜならハウスコンセプトは「自分が興味を持てる分野」に特化しているからです。
ゲームが流行っているからゲームハウスをやるか、と言われても自分がゲームをしないのでなかなかやろうとは思わないんですね(^^)
規模も小さいし、自分勝手な部分もあるので(笑)サブスクとはおこがましいかもしれませんが、「継続的に価値を提供し続ける」という根幹は持ち続けたいと思います。
サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル