今年最後の読書会の課題図書は「即答力」。
著者松浦弥太郎氏は私とほぼ同年代で、「暮しの手帖」の編集長でもいらっしゃいます。
200ページほどの文庫本で平易な表現が多いのですっと読むことができます。
著者のアメリカ留学時の体験が原体験となり、「即答する能力」が質の高い仕事やライフを送るのに不可欠である、という趣旨です。
本書は「即答力」について
- どんなものか
- どう身につけるか
- どう鍛えるか
- どう活かすか
という構成で成り立っています。
内容は抽象化されているので、大枠で異論を唱える人は少ないと思われます。
ただ個人的には、本のタイトルと中身があまり噛み合ってなくて、正直しっくりきませんでした。
書いてあることは、実際私も同感なところはたくさんあり、実践もしています。
でもそれらが「即答力」を説明しているかというと、むしろ「生き方」について書かれていて「即答力」はその一部ではないか、と突っ込みたくなるものでした。
これは読書会でも同様の意見が出ていました。
著者は「即答力」を身につけてください、と言いつつも「何でも手をあげて発言すればいいというものではない」とツッコミの蓋を閉じていて、NOと言わせない構成であること。
「〜力」という言葉が「〜ファースト」みたいにバズるテンプレートを利用しているようにさえ感じてしまうこと。
こんな面から、せっかく素敵なことを紹介してくれているのに、残念な気持ちになってしまいました。
勝手な憶測ですが著者、というより出版社の企画側に起因しているのかな、と勘ぐったり。。
読み手の勝手な希望としては、耳障りのいい抽象論より、具体的な事例で、どんな壁があって、どう克服したか、あるいはどう挫折したかという内容の方が好みです(^^)
この読書会の課題図書にもなった「バッタを倒しにアフリカへ」はまさにそんな現地での格闘ぶりをわかりやすく楽しく紹介してくれた本でした。
一方、「生き方」としてこれだけの視点を持っていらっしゃる著者の松浦弥太郎氏は、沢山のご経験と見識をお持ちでいらっしゃる方だと思います。
本書に紹介されていることが必ずしもできていない、意識してないという人は少なくないでしょう。
普段の生活スタイル、仕事への姿勢について質を高めていきたいと思っている人にとっては、ここにかかれていることはとても参考になると思います。
なので本のタイトルを変えて構成を少し具体化させてくれると、本書がより活きる気がします。