48歳からの挑戦

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読後感想〜「日本の未来は女性が決める」

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今回読んだ本はこちら。

日本の未来は女性が決める!

 

なぜこの本を選んだか。

 

先日読書会で取り上げた課題図書「危機と人類」の翻訳者の1人であり、読書会にもゲストで参加してくれた川上 純子さんが訳されて「読んでみるといい」と勧めていただいた本だったので(^^)

 

著者はビル・エモットというイギリス人で、日本で活躍されている女性に直接取材をし、これから女性が活躍していくための道筋を考察したものです。

 

このビル・エモット氏、イギリス名門オックスフォード大学を卒業し、イギリス「エコノミスト」に勤務して東京支局長も勤め、帰国後編集長も歴任したエリート。

 

知日派として知られていて、2016年にはなんと旭日中綬章を受章しているそうです。

 

 

 

本書では政治、ビジネス、アートなど様々な分野で活躍されている22名の女性がロールモデルとして紹介されています。

 

いずれも著者が直接インタビューした方々です。

 

私が知っている人は僅かでしたが、この本でほんの触り程度でも、素敵な方々だなぁということが伝わってきます。

 

著者の問題提起は本書の帯にかかれています。

 

いわゆる「失われた20年」の真実とは、日本がかつて世界一活用していた人的資本、創造性、生産性が失われたということだ。

 

人的資本の活用による生産性が低下したのは、あらゆる種類、あらゆるレベルの雇用主が女性をあまりにも不公平に扱ってきたのが原因だ。

 

 

 

第1章から8章まではロールモデルの方々の紹介。

 

第9章で「なぜ女性が日本の未来を決めるのか」という視点で、最終の第10章では著者の提言する「ヒューマノミクス」についてまとめています。

 

 

 

ひらたく言えば「日本は女性を活用することでもっともっと素敵な国になるはずで、その伸びしろは遥かに大きい」ということです。

 

人口減が始まり、これまで日本を支えてきた年金、健康保険といったインフラ、安くて優秀な労働力(安かったのは高度経済成長時代の話ですが)という”前提”が大きく変化あるいは崩れてきている現状に対峙するには、女性を貴重な人的資源として活用すべきだという主張です。

 

それはこれまでも今も女性という人的資源の活用が全然低いという実情にある、ということの裏返しでもあり、「伸びしろが大きい」ということはその現実を言い換えたことにすぎません。

 

本来は第9章、第10章が著者の主張するメイン部分ですが、本書では比較的さらっと触れている、という感じでした。

 

ロールモデルの人選や取材力などをみると、著者はもっともっと深く語ることはできるのだろうが、「本」ということであえて軽くしたのかなぁ、という勝手な詮索をしています(^^)

 

なので、ロールモデルの方々の取材記録は、私自身存じてない方々ばかりだったので、私にとっては新しい発見でもあり楽しく読むことができた一方、9章、10章はちょっと物足りなかったかなぁ、という感想でした。

 

ま、ここは本で学ぶというより、議論をして形を作っていく部分でもあるだろうから、これはこれでよかったのかな。

 

人口減 → 労働力不足 → 加えて高齢化 → 年金・健康保険制度の崩壊 → 生活困難率の増加

 

みたいな図式が言われてもう数年。

 

その対応として、実質的な定年の引上げ、育休制度、年金支給年齢の引上げ、女性の登用などいろいろな策が実行されたり、謳われたりいています。

 

その中で「女性の活躍」という視点では、著者によると、日本は欧米に比べてかなり遅れているようです。

 

一方で30年前に比べると改善はされているようで、今途上にあるとも言っています。

 

  • 女性蔑視の文化
  • 「男は仕事、女は家庭」という長年続いている価値観
  • 女性が進学しにくい教育現場・受験制度
  • 正規雇用で安易に利用しようとする雇用主側の姿勢
  • 仕事と子育ての両立をはかるインフラ(シッター、保育所、休暇前後の待遇など)
  • 税制(控除システムなど)

 

などたくさんの課題を提示してくれています。

 

私も昭和の生まれで、古い感覚は残っていると思います。

 

ただ幸いにも勤めていた会社は比較的女性が活躍していたことや、その後通ったビジネススクールでも多くの活躍する女性たちにお会いできたことで、だいぶフラットになってきたんじゃないかなぁ、と思います。(思いたい(笑))

 

 

 

確かにいろんな分野でまだまだ女性の活躍を阻害しているところは、女性が苦労されているところを見るにつけたくさんあるだろうな、と感じます。

 

自分は制度を変えるようなことはできませんが、何かしら応援できることができたら携わってみようと思います。

 

 

 

女性の活躍、という点で個人的に今注目しているのは将棋の西山朋佳さん。

 

将棋の世界はまだまだ男女の実力差があり、いわゆる将棋のトップを目指すプロには女性は1人もいません。

 

将棋のプロになるには奨励会という育成機関に所属し、一定の成績を残す必要があります。

 

ただ年齢制限があり、実質30歳までにプロになれないと退会しなくてはなりません。

 

ここはまさに勝負の世界で男女差別は存在しないのですが、実力的にまだ女性プロは誕生したことがないんです。

 

でも女性にも棋士はたくさんいるので、「女流棋士」として女性だけのグループでタイトル戦などが行われています。

 

これまで女性棋士にとって奨励会は実力的に高いハードルで、それこそ男性棋士に勝つことも大変と言われていたのですが、最近は強い女流棋士がでてきて、男性棋士に勝つことは珍しくなくなってきました。

 

その中でも女流棋士の中で今一番強いと思われるのが、その西山さんです。

 

奨励会に所属しているため、女流タイトル戦で出場できるタイトルが限定されているのですが、そのすべてのタイトルを保持。

 

そしてその奨励会では半年続くリーグ戦で、前期プロに昇級できるTop2に続く第3位というところまできました。

 

6ヶ月で19試合というハードなスケジュール。

 

体力、気力も求められます。

 

前期は第2位と同じ成績だったのですが順位が低かったため惜しくも次点。

 

今女性初のプロ棋士に最も近い存在です。

 

 

 

 

将棋で竜王というタイトルがあるのですが、この予選会で西山さんは挑戦者決定トーナメント出場まであと2勝まできています。

 

この挑戦者決定トーナメントには、時の人である藤井聡太七段もあと一歩で出場を決めるところまできています。(出場決定戦は師匠との対決という話題も・・・)

 

そしてかつての絶対王者羽生九段が挑戦者決定トーナメントに出場を決めています。

 

将棋好きの私は今俄然注目しているタイトル戦です(^^)

 

 

 

おっと話はそれました。

 

女性の活躍、というより女性がより住みやすい環境作りという視点がこれから求められるのではないかと思います。

 

 

 

 

日本の未来は女性が決める!