英語耳をひらこうセミナーのオンライン再開を機に、同じ講師陣による土曜セミナーも5月開講を目指しています。
私自身オンラインセミナーを企画したこともないし、見識ももっているわけではないのですが、やりたいことを明確にしていくうちにだんだんと設計図ができて気がします。
これからオンラインセミナーの開催を考えている方に参考になれば、と思い、私の設計内容をご紹介したいと思います(^^)
ツールの選定
本来は「内容があってそれに合わせるツール探し」が手順です。
しかし、私はオンラインセミナーに適したツールに詳しいわけではありません。
後からわかったのですが、「ツールの機能によって内容設計が大きく影響を受ける」のです。
なので、ツールに明るくない人は先にツールを決めてしまい、それに合わせてセミナーの内容の設計をする手順をおすすめします。
ではどうやってツールを決めるのか。
私は以下の項目を判断基準としました
- コストが安い
- 10名以上の人数が同時に参加できる
- 音質がいい
- 受講者が会員になる必要がない
どんなツールがあるかは以下のサイトを参考にしました。
(画像:「【2020年版】おすすめのweb会議・テレビ会議システム20選を徹底比較!」より引用)
コスト
まず自分は極小企業なので、コストはそんなにかけられません。
なので現実的なコストであることは必須条件です。
10名以上が参加できる
想定される受講生数を念頭においてツールを選びましょう。
音質がいい
これは使ってみないとわからないので、利用者の声をきくところからでしょうか。
受講者が会員登録する必要がない
わざわざこのために新しいツールの会員登録をさせるのは、利用者にとって優しくないというのが私の考え。
これらの視点で先程のサイトに紹介されていたツールをチェックしました。
- LiteFreshVoice:人数NG 1URLで5人まで
- Calling Meeting:コスト高 月額59,000円から(5IDからの契約のため)
- LoopGate:コスト高 月額3,800円からで5地点以上だと追加料金
- Webex:コスト高 月額35,100円から
- Zoom:月額2,000円から
- Whereby:人数 4人まで
- FreshVoice:コスト高 10拠点時間無制限で月額80,000円から
- Teams:コスト高 月額1ユーザーあたり540円
- bellFace:料金一般非公開(見積もり必要)
- Facehub:基本面接用
- LiveCrowd:サイトにアクセスできず(2020年5月2日時点)
- LiveOn:コスト高 3,000円/1拠点 初期費用78,000円
- Omnijoin:コスト高 1端末で数千円
- MeetingPlaza:コスト高 月額数万円
- CanSee:コスト高 月額数万円
- Skype:利用者がID登録必要
- BizMee:資料請求しないと内容がわからない
- Googleハングアウト:以前使ったが使いにくい
- V-Cube:世界ちがう
- StarLeaf:世界がちがう
これ見ていただけるとわかりますが、ほとんどが「高い」んです。
「テレビ会議」を意識した作りになっているのがその理由と思われます。
またたとえ安くても人数制限があり、候補は必然的にZoomかSkypeに絞られてしまいました。
Skypeは上述のように利用者もID登録が必要です。
それが煩わしいのでSkypeは避けたかったんですね。
ということで、消去法ですが、私たちが考えていたセミナーに合うツールはZoomしかない、ということになりました。
オンラインセミナーの内容設計
上述の検証で使うツールが確定しました。
Zoomは複数の人数で時間無制限に使うためには月額2,000円必要です。
(私が申し込んだ時は1年契約の割引がありました)
他にも用途に合わせてプランがありますので、Zoomのサイトでご確認ください。
Zoomの最大の課題はセキュリティー。
その脆弱性がずっと問われていますが、ここんとこの急激な利用者増加に対応すべく、ほぼ毎日に近いペースでセキュリティーアップが図られている気がします。
私は、セキュリティーについては常に不完全なもので、ある程度のところまではZoomが対応していくだろうと見ています。
なのでいずれキャッチアップするだろう、と高をくくっているのが実情(^^)
さて、ここで講師といっしょに操作練習も含めて使ってみました。
いや〜めっちゃめちゃ(笑)
操作方法もわからないのですが、今までのようにやってみるとこれがうまくいかない。
英語のセミナーで核となる要素は以下の通り
- 見本となる音を聴く
- 補足する説明資料を見る
- 題材を声に出して音を発生する
これが講師と受講生との間で”スムース”に行われることが必要です。
この”スムース”というのがポイント(^^)
どうスムースにさせるか、というところはノウハウの話で本題とずれるので、別途機会があったらご紹介します。
Zoomで行う場合の制約を知る必要があります。
- 音源をいい状態で共有するためには設定が必要
- 複数の人が同時に音を出すと他の人は聴き取れなくなる
- 音を出す、資料を見せるといった行為には、いくつか作業ステップが必要
- 作業になれていない人には使い方をレクチャーすることが必要
- 機能が使えるかどうかは端末に依存する場合がある
そのため、対面でやっていたやり方が通じないことがいくつか見つかったのです。
たとえば、全員での音読。
Zoomでやったらとんでもないことになります(笑)
そのため、Zoomにおける制約を意識したカリキュラムを用意することになるのです。
またオンラインだからこその制約があります。
それは通信環境。
インタネット回線を自宅に光で引いているご家庭であれば比較的ストレスなく受講できますが、電話回線だったり、ポケットWi-Fiだったりすると、受講者が多いと通信が途絶えることもあります。
そのため思い動画やファイルの共有は、全体に支障をきたすこともあります。
それは発信者の環境もそうです。
こういったことも踏まえてカリキュラムや資料を作成することになります。
対面のカリキュラムとは全く別物と思ったほうがいいです。
何度かテストをやってみて感じたのは、ファシリテーション能力がとても問われる、ということです。
対面でもそうですが、オンラインになるとなおさらその要素が強くなる気がします。
集客方法
広く公開して集客をはかるか、限定してクローズドメンバーで集客をするかでやり方は異なります。
広く公開するのであれば、ホームページ、FacebookのようなSNSといったところでイベントの開催を告知、限定メンバーであれば個別にメールやメッセンジャーで連絡するか、限定メンバーのサイトを作ってそこへ誘導する方法などがあります。
ここで大事なのは、Zoomの場合会議室のURLをサイトなどに公開しないことです。
そのURLを知った第三者が勝手に入ってきてそのセミナーをぶちこわしにする恐れもあるためです。
今はZoomのセキュリティーもあがって事前にホストが入室を許可するようになっていますが、それでも誰かわからないことがあります。
Zoomの場合、「登録」という機能があります。
Zoomにサインインしてセミナーを設定します。
そのときに「登録」という欄で「必須」にチェックを入れます。
これで登録をすると自分のアカウントの「ミーティング」にリストされます。
この「トピック」で該当する会議をクリックすると真ん中あたりに「参加者を招待」という項目があり、「登録URL」を見ることができます。
この登録URLをサイトやイベント告知の際に公開するといいです。
参加者はこのURLから参加を登録します。
参加者は登録をするとこのようなメールが届きます。
ホストは先程の会議のページの下の方に登録者リストをみる欄があります。
この「表示」をクリックすると誰が登録しているかがわかります。
なお、一つ前の画像で「メール設定」というタブがあります。
ここをクリックすると登録した人に配信するメール内容を編集することができます。
有料の場合にはそこに支払い方法について記載しておくといいですね。
集金方法
無料セミナーであればここは関係ないところですが、私含め有料セミナーの開催を企画している方も多いと思います。
決済方法として大きく以下の手段が考えられるでしょうか
1〜4まではこれまでも知られていましたが、今後はキャッシュレスサービスの普及が広がっていくことも予想され、なかでもスマホを使って簡単にできるモバイルQRコード決済サービスは、より身近な存在になると思われ、調査対象にいれてみました。
銀行振込
メリット
- かなりの人が対応できる。ITリテラシーを必要としない。
- 実働日で当日もしくは翌日に入金される
デメリット
- 銀行が異なると振込手数料(440円)がかかる場合がある
- 口座入金管理がちょっと煩雑
クレジットカード払い(決済代行会社)
メリット
- 利用者はカード利用の良さを享受できる(ポイント、手軽さ、出金まで時間がかせげるなど)
デメリット
- 決済代行会社を利用することになりその手数料が高い(4%以上はかかる)
- ホストの口座に入金されるまで時間がかかる
Peatix
メリット
- 募集から集金まで一元管理ができる
デメリット
- 手数料が割高。4.9%+99円。1回2,000円とすると197円で、約10%ですね。
PayPal
メリット
- 個人間送金の手数料が無料
デメリット
- 出金する際5万円未満だと250円かかる。
- 登録作業が必要
モバイルQRコード決済サービス
メリット
- 普段から利用している人にとっては簡単で手頃
デメリット
- ホストが現金化するときに手数料がかかる
送金可能な主なコード決済の手数料比較
「アプリ内の残高を現金に引き出せる機能」「アプリユーザー間で無料で送金ができる機能」「QRコードで決済ができる機能」をもっている決済アプリが対象です。
- LINEPay:1回10万円までで220円
- d払い:1回2万円まで220円。月5回まで
- PayPay:1回あたり100円。入金反映まで1〜4営業日。2019年から送金対応開始
- au Pay:20,000円未満の場合は220円。20,000円以上の場合は出金額の1%+税。じぶん銀行のみ出金可能
- pring(プリン):原則無料。一般にはあまり知られていない
- J-coin Pay:原則無料。みずほ専用。
参考にした記事はこちら
考察
さきほどの候補で見てみましょう。
- 銀行振込:以下の手段が取れない人のための手段として必要
- クレジットカード払い(決済代行会社):手数料高いので却下
- Peatix:手数料高いので却下
- PayPal:双方手数料をかけず送金が可能なので候補か
- モバイルQRコード決済サービス:PayPayがコード決済での普及率が高いことと手数料が低いことで候補か
ということで、私の場合1回の受講料が2,000円くらいで月額5万円前後くらいではないかと見込んでいます。
その規模を鑑みるとPayPalとPayPayを支払手段として、銀行振込を保険として用意しておくという手段を取ろうかと思います。
お金を送金するというのは、「資金決済法」という法律に基づいて、「資金移動業者」として登録されない限り、日本で銀行以外が為替取引(ようはオンライン上のお金)を移動させる完璧な個人間送金サービスは行えないそうです。
まあ、悪用しようと思えばマネーロンダリングに使われるのは目に見えているので、ある程度の規制は必要な分野かもしれません。
モバイルQRコード決済サービスの市場はどんどん広がっていて数兆円規模になるだろうと言われています。
MMD総研の調査によると、現在のシェアは以下のような感じになっているようです。
(引用:https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1834.htmlから)
PayPayはソフトバンクグループ、LINEもソフトバンクグループ傘下ですから、この2つが近い将来統合されたりすることはあり得る話で、そうなると、この市場でNo.1になりそうですね。
そういう観点からもPayPayを手段の一つにするのは、利用者にとってもメリットになるかもしれないな、と感じました。
総括
これまで対面でやってきたセミナーをオンライン化するにあたって、「ただツールを使えばいい」という世界ではないことを、やりながら実感しています。
これまでにできていたことができなくなったり、新しいことができるようになったりすることで、その設計内容に大きく影響するんですね。
きっとこれからオンラインによる活動が増えていくと思いますので、その際にこんな試行錯誤のお話が少しでもお役に立てればと思います(^^)