今回の読書会の課題図書はこちら「AIの雑談力」。
将棋の世界などでもおなじみになってきたAIは日進月歩で進化し続けている印象です。
そんなAIが「雑談をする」というのは、思いの外難しいことなんだ、ということをこの本は紹介してくれています。
何気なく私達が普段行っている「雑談」って実はかなり高度な処理をおこなっているようです。
語彙、受け答え、状況に応じた言葉遣い、 相手の感情、話題の転換のタイミングなどなど、いろいろな要素があるらしい。
そのベースとなっているのが、
- 膨大なデータベース
- 膨大な情報処理
- 対人関係の破綻防止(雑談は相手との関係が継続する前提で)
といった要素。
AIでこれらの処理をやろうとすればするほど、普段人間がどれだけすごい処理をしているのかを痛感すると著者は言っています。
ですが、単純に処理速度があがるだけでは雑談力は不十分なんどか。
なにが必要か。
それは「意思」とのこと。
雑談にはそれぞれの意思があってその意思に基づいた反応や推測といったことが生まれ、いわゆる人間らしい雑談になっていくという。
確かに、自分はこうしたい、とか相手はこうしたいだろう、といったことがあるからこそ、こういう話はウケるとか、嫌がられるからやめよう、といった判断につながっていきますね。
AIが意思をもったら、それはそれですごいことだと思いますが私は同時にかなり恐ろしい気持ちにもなりました。
なぜなら、AIが意思をもったらそれはそれで「新しい生物」を生むことになりかねないか、と思うからです。
今我々はAIやロボット開発などに邁進していますが、どれも「人間のコントロール下にある」ことが前提であって、人間がコントロールできないロボットの登場を期待しているわけではないと思っていますがどうでしょう。
人間がコントロールできないロボットが生まれたら、シュワちゃんの映画で登場したプレデターや、風の谷のナウシカで話題になった巨神兵があらわれるようなものです。
ましてやロボットは食事しない、生物的な生命の期限がない、ということで、命の危険や飢餓といった人間がもつ恐怖をもたない存在なので、おそらく人間は勝てない。
それってロボットに人間が駆逐されるのと一緒じゃない?という風に思ってしまいます。
「いざとなったロボット全体が死滅するボタンを持てばいいんだ」みたいな発想したって、結局それをロボットに奪われたら意味ないし。。。
倫理の確立や法整備が必要といったって、ロボットにしてみれば関係ない。
地上で最強動物といってもいいだろうホッキョクグマライオン、海のギャングシャチなどが、人間と同じあるいはそれ以上の知能を持ったら、身体的能力の劣る人間はきっとやられるだろうなと思うんですよね。
そんな生き物を作ろうとしていることと同じじゃないのかな、という危惧を感じました。
それにしても「雑談力」という切り口で技術が発展していくというのは面白い視点ですね。