今回は理論物理学者大栗博司氏著作の「探求する精神〜職業としての基礎科学」でした。
この本を選んでくれた読書会のファシリテーターからは「基礎研究は大事だよ、という内容かな」という事前情報をいただいていたので、それをちょっと意識して読みました。
著者のことは恥ずかしながら存じてませんでしたが、日本でも有数の理論物理学者のように感じます。
専門の物理はおろか、哲学、経営、語学といったところにも明るく、飛び抜けた秀才でいらっしゃる印象です。
私も無学の穀潰しですが、一応大学で物理を専攻していたこと、著者と年齢が近いこともあり、参考文献として登場する書籍や本書で紹介される雑誌などに、かつて親しんでいたものが少なくなく、とっても懐かしい思いでした。
著者が本書で語りたかったこと、それは「探究心」というものが我々が生きていく上でとても大きな力であることかな、というのが私の解釈です。
本書でも面白い例えがあります。
スマホはとても便利なもので大発明の1つということに賛同する人は少なくないと思います。
スマホを世に知らしめたのはAppleの創業者スティーブ・ジョブズ。
では彼がすごいのか、というと彼もすごいんだけど、実はスマホが成立するためには、電気の仕組み、無線の仕組み、色が出る仕組みといった根本的な原理がわかっている必要があり、それをマクスウェルの電磁波予言のように、多くの科学者たちがその仕組みを発見してきたからことにこそ、すごさがあるんです。
そしてそんな大発見の数々は、儲けようとか、なにか役に立てよう、とか次に何かつなげるといったことではなく、単に「探究心」が動機となって生み出されてきた、と著者が語っています。
自然現象で言えば物理、人間でいえば哲学・宗教、といったところが根源的なものであり、そこに幼い頃から常に目を向けていた著者だからこその深い考察にふれることができる本です。
探究心かぁ。。。
パズルとか推理小説とか好きなので、探求することは基本的に好きなはずなんだけどなぁ。。。
どこかで「ま、いいっか」としちゃうところがあるのかも。