久しぶりに新しい映画を観ました。
第2次世界大戦時にイギリスの捕虜となった登山家のオーストリア人ハインリヒ・ハラーが仲間と脱走しチベットに潜り込みます。
当時チベットは独立国として正式に認められていはいなかったが、中華民国の支配がまだ及んでいなかったため国王になったばかりのダライ・ラマ14世をトップにすえて自治している状態でもありました。
好奇心旺盛なダライ・ラマ14世は、ハラーと交流をするようになりチベットの外の世界について見識を深めていきます。
終戦を迎え中国では共産党が内戦で勝利し全土を掌握、その勢いでチベットに侵攻しあっという間に支配下におくことになります。
それを機にハラーはオーストリアへ帰国します。
こんな流れで、自己中心でわがままだったハラーがダライ・ラマ14世との交流を通じて視野が考えが変化していく様を描いたのがこの映画です。
実話に基づいた話だそうで、ハラー氏もダライ・ラマ14世も実在の人物です。
ちょうど正月で知人が読み始めたという「神々の山嶺(いただき)」の漫画を読み始めたところで、そこに登場する羽生という孤高のクライマーと、ダライ・ラマ14世に出会う前までのハラーととてもイメージがかぶりました。
夢枕獏の小説の漫画版で、映画もありましたね。
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」に戻すと、中国共産党が中華人民共和国を設立しチベットに侵攻を始めたことを受けてチベットが対抗するための軍備にとりかかったときのハラーのセリフが印象的です。
平和を愛する民族に軍隊が組織できるというのか。
私の祖国も弱者に対し力を振るう恥ずべき行為を行った。それを受け入れていた自分がおぞましい。
私もかつては狭量な中国人の同類だったのだ。
The spectacle of a peace-loving nation, vainly attempting to create a military.
Echoes of the aggressions of my own country, the will to overpower weaker peoples bring shame to me.
I shudder to recall how once, long ago, I embraced the same beliefs,how at one time I was, in fact, no different from these intolerant Chinese.
こういう内容なので当然のごとく中国から非難されたようで、ブラッド・ピットら2人の主演は中国入国禁止令がでたそうです。
また映画でダライ・ラマ14世の母親を演じているジェツン・ペマはダライ・ラマ14世の妹とのこと。
舞台がドイツ、チベットにもかかわらず、主要な流れはすべて英語で話され、しかもチベット側の登場人物はあえて外国語として扱っているっぽい話かたなので、英語も比較的わかりやすいところが多かった印象です。