今回の読書会の課題図書はこちらでした。
最近はテレビのバラエティで夏井いつきさんが、短歌で多くの芸能人を相手にわかりやすい解説をしてくれたり、一昔前なら、「サラダ記念日」で有名な俵万智さんによって、いろいろな人が身近に感じられるようになっているかもしれません。
まずこの本は「巻末にある解説」がすばらしい(笑)
「この本は、短歌入門書の仮面をかぶったビジネス書である」と解説の冒頭にかかれていますが、まさにそのとおり。
ではビジネス書だから、一般の人にはハードルが高い?いやいや、全然高くないです。
むしろ、ここにかかれていることはそんなに目新しくない、と感じる人が多いかもしれません。
もしそうであれば、それはとても喜ばしいことではないかと思います(^^)
全体でわずか170ページほどの文庫本で行間もたくさんあり、わかりやすい表現が多いので、あっという間に読むことができます。
私はこの本を読んで、初めて短歌に対して興味がぐっとあがりました。
短歌の面白さは「反社会性」(^^)
おいおい、暴力団か?と言われそうですが、我々が使っている「反社会」の定義とはちょっと異なります。
我々が「普通」に感じていること、「当たり前」と思っていること、「みんながそう思うだろう」と思っていること、”ではない”視点がここでいう「反社会性」なんですね。
それは結局、個々の違いを認めることになり、リスペクトにつながり、自分の世界がひろがることになり、多くの新しい体験を生むことになります。
この本では「生き延びるための行動」と「生きる行動」を大きく区別しています。
「生き延びるための行動」がいわゆる「社会的行動」。
生き延びるためにいろいろな人達がいろいろなことを考えて存在しているのが今の「社会」です。
そこには「普通」「常識」「当たり前」があります。
一方「生きる行動」は、その真逆に位置するもの。
自分が何を面白いと感じ、何に楽しさと喜びと悲しみと怒りを感じるのかという、社会にとらわれない行動。
短歌では、「生きる」ことに価値をおいており、だからこそ「反社会的」というのが著者の解説です。
私の説明では全然至らないので、この本を読んで頂くと「あ〜、こういうことだったのか」とご理解いただけると思います。
私は「生き延びる」ことにとても一所懸命です(笑)
会社の資金繰り、自分の資産管理、健康などなど・・・100歳以上目指して「生き延びよう」としています(笑)
一方で、「生きる」ことにも執着している自分に、この本を読んで気付かされました。
会社を辞めたり、今の仕事でもアウトプットに執着していないことは、仕事に自分が依存しない、振り回されないようにしたいという気持ちからの行動だったのではないか、と。
「生き延びよう」と思っていたのだけれど、「生きよう」としているんじゃないか・・・
短歌の面白さは、私という人間がいかにつまらないか、ということを柔らかい微笑みで伝えてくれている気がしました。
小さい頃は大人が喜ぶことをやることで、大人受けがよくなり、社会に入れば年長の人たちが喜ぶことを(自然と)できていたのか、先輩からの評価はありがたいほど高く、でもそれは「社会」に溶け込むことで「生き延びる」ことができていたのかもしれないけど、「生きる」という行動ではなかったのかもしれません。。。
肩の力を抜いて、「生きる」ってどういうことだろうと考えるヒントがこの本にはあるかもしれません。
いい本にめぐりあいました。