今回の読書会の課題図書はこちら。
いや〜、読みにくかった^^;;
読みにくかった理由は
・専門用語が比較的多くでてくる
・著者の考察が深くてそこについていくのが大変
・内容にあまり関心がもてなかった
からかな。
さて、本書は著者岸田秀氏が「ユリイカ」などに連載した文章を中心に23の評論あるいは随筆をまとめたもので、文庫本版ではさらに4つ追加され27の文章で構成されています。
大きなテーマは
- 歴史について
- 性について
- 人間について
- 自己について
と大きく4つに区分されており、それぞれに数点の評論・随筆が収録されています。
日本国民は「精神分裂病的」であり、それはペリー来航から始まった、という衝撃的なくだりから本書は始まります。
読書会でもあげられていましたが、本書のキーワードの一つが「共同幻想」。
「国家論」という文章で登場します。
著者もあとがきにて「本書が難しいと感じたなら『国家論』だけでも目を通してくれればいい」と記載しているように、この文章が中心になっているようです。
私の稚拙な理解力でいうと、こんな感じです。
人間は1人1人は弱い動物であるがゆえに、集団となり、そして社会をつくることで生き延びる戦略をたてた。
そのため1人1人の思惑(私的幻想)は現実と乖離してしまい、この溝は埋められず、本能に任せた人間関係や社会はありえなくなった。
しかし人間は社会なくして生きられずこのままでは自滅してしまうため、社会を維持しなくてはならない。
そのために文化が生まれる。
私的幻想を吸収しつつ共同化されたもの、すなわち共同幻想が必要になってきた。
サピエンス全史の著者ハラリ氏の提唱した「虚構」と同じ概念かもしれません。
そんな虚構、共同幻想の中で生きていく上での人間心理状態をいろいろな角度で分析して論じている、そんな本というところでしょうか。
映画監督だった故伊丹十三氏が岸田理論をかなり信奉していたというのは有名らしいです。彼の映画作品にもその影響が見られるのかもしれません。
難解かもしれませんが、ベストセラーにもなったほどの本書が読みきれないという自分の情けなさはいかんともしがたいですが、そんな私でも印象に残ったのは「私の原点」という文章でした。
少々ネタバレで申し訳ないのですが、自分をこよなく愛していると信じていた母親が亡くなった後に、実は母親は自分のことを愛していたのではなく、子供を思い通りに操ることを目的としていた行動だった、という解釈に至ったことで、それまで原因不明の心理的病気のような症状がなくなった、というくだりは、とても悲しい気持ちにさせられました。
愛しさ転じて大きな憎悪となったしまったようです。
著者は養子だったため母親とは血の繋がりがないそうです。
それでも自分の親がそんな存在であった、と認めなくてはならない境遇は、なんとも胸が痛いです。
本筋からはずれてしまいましたが、本書、読みにくかったので最初からななめ読みにしてとりあえず期限までに目を通すことを目標にして読んだのでほとんど内容が残っていません^^;;
ただ人の心というものにまっすぐに向き合うためには、本書とじっくり対峙する時間も必要なのかもしれないな、と読書会を通じて感じました。
また時間をみつけてゆっくりよんでみようかと思います。