いつも読後感想は木曜なのですが、明日は別の投稿をするので、1日早く(^^)
最近はまってる和田竜シリーズ、今回は「のぼうの城」です。
村上海賊の娘、忍びの国、とどれも迫力ある描写、コミカルな人物たちの存在など楽しめる要素満載の作品でした。
持ち運びやすいように上下巻に分かれた文庫本を図書館から借りました。
時代は豊臣秀吉天下統一目前、最後の戦いとなる北条家の小田原攻めです。
北条家の支城で、現在の埼玉県行田市あたりに存在した忍城(おしじょう)が舞台です。
忍城の城主成田氏長は、豊臣軍が小田原へ侵攻する報をうけて豊臣と内通し降伏することを決め、その意志を隠して北条家の指示に従って小田原城に入場し籠城に加担します。
留守の間城代として城を守るのが成田氏長の叔父成田泰季(なりたやすすえ)。その息子が成田長親(なりたながちか)で、ひまさえあれば百姓しごとを手伝うようなとても武士からぬ人物。
しかも不器用でせっかく手伝っても当の百姓からすると実は迷惑千万。
大きな体格から「でくのぼう」と言われそれが「のぼう様」という呼び名として忍城の百姓には浸透します。
この呼名本人も知っており、百姓は「のぼう様」と直接呼びかける(^^)
さて、降伏することをきめていた忍城ですが、豊臣はそこにも兵を派遣します。その総大将はあの石田三成。石田三成の竹馬の友大谷吉継、秀吉の番頭役長束正家を従えた2万人に及び大軍勢。
軍師として正家が忍城を訪れ、降伏か戦いかを問いただします。
降伏で決まっていたはずの忍城はひょんなことから「開戦」と宣言してしまいます。
この「ひょんなこと」に、直前に城代成田泰季が病気で死亡したため、城代となった”のぼう様”成田長親がからみます。
忍城は百姓いれて2〜3千人程度。
圧倒的不利な状況にもかかわらず、なんと忍城は石田三成軍を一度はねのけます。
そして石田三成の繰り出す水攻めにも耐え、なんとその間に本丸である小田原城が落城してしまうのです。
小田原の支城はほぼ落城し、落城しなかったのはこの忍城だけだったという。
でくのぼうの”のぼう様”がこの攻防で重要な存在感を示します。
これまでの和田竜作品は、最後の最後までとことん戦い、多くの重要人物が命を落としていきますが、この作品は重要人物がほとんど生き残っていています。
さらに、相手の総大将石田三成と忍城城代成田長親との対面シーンに、村上海賊、忍びの国にはなかったすがすがしい雰囲気があります。
智将が智将を知る、そんな会話が交わされます。
この作品和田竜の小説家デビュー作で、2012年に野村萬斎主演で映画化され、日本アカデミー賞で多数受賞したようです。
興味あるのでちょっと見てみようと思います(^^)
あ〜、楽しかった和田竜作品を読み終えてしまった。今度は何を読もう・・・