48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

グリーンプラネット

NHK BSプレミアムで毎週月曜日20時から放映されている「ワイルドライフ」という番組は私が好きな番組の一つです。

 

少し前ですが5月16日から5週間に渡ってスペシャル番組が放送されました。

 

「グリーンプラネット」

 

国際共同制作として世界の放送局と共同で番組を制作したものです。

 

題材はタイトルから想像されるように「植物」です。

 

第1回:熱帯の森

第2回:水の世界

第3回:乾きの大地

第4回:激変の世界

第5回:植物と人

 

 

 

植物は、我々の感覚でいうと「動かない」ことから動物や昆虫などを「生き物」と呼んでいるのに対し、一線を隠しているところがあります。

 

確かに植物も「生き物」ではあるのですが、「生命」という視点でいうと、動物、昆虫、魚といった「動く生き物」には「命」を感じる一方で、植物は生物でありながらどこか石のような「無生物」的な見方をしている面があります。

 

もっと具体的に言えば「意思」めいたものを植物に感じることが難しい、という感じでしょうか。

 

「生き物を食べるわけにはいかない」と動物性タンパク質や動物由来の食品を食べないビーガンの人たちは、野菜という「植物」は食べます。「生き物」として見ていない例の一つです。

 

ところがそんな感覚に楔をいれてくれたのが、先日ここで紹介した本「樹木たちの知られざる世界」でした。

 

www.almater.jp

 

植物は激しい生存競争を繰り広げており、感情もある。そんな見方を教えてくれた本です。

 

今回ご紹介する「グリーンプラネット」は、まさにこの本にあった、「植物は生き物」ということを最新の撮影技術で浮かび上がらせた作品です。

 

この「最新の撮影技術」というのがすごい。

 

植物があたかも生き物のように動くのです!

 

どういうことか。

 

植物の成長は一般的にはとても遅いため、人間の目ではなかなかその動きを認識することはできません。

 

撮影スタッフは、タイムラプスという技術で、例えばオオオニバスの撮影では20分に1回写真をとりそれを何週間も続け、それをつなげることでリアルに植物が生き物のように動いていく様子を描いています。

 

水中ドローンや、制御装置などに最新技術が織り込まれており、熱帯雨林や乾燥地域、極寒という厳しい環境の中で撮影スタッフが根気よく撮影をした傑作品です。

 

第1回の「熱帯の森」では、「樹木たちの知られざる世界」で描かれていた森の世界をまさに描写していました。

 

太陽の光を求めて、周りの植物より早く成長しようとしたり、その邪魔をしたり、寄生したり、踏み台にしたり、巻き付いて絞め殺したり・・・

 

独特の臭いで虫を引き寄せる受粉を促すラフレシア、アリを利用して巣の中で繁殖する菌、大量の蜜で動物を引き寄せ受粉を促すバルサなど、様々な生き残り戦術もたくさん紹介してくれています。

(画像(ラフレシア):NHKグリーンプラネットのページより引用)

 

 

第2回の「水の世界」では、流れが激しい川で川底にしがみついたり、栄養が乏しい環境で虫から栄養をとったり、様々な工夫で生き延びる様子が描かれています。

 

アマゾンに生息するオオオニバス(人が乗っても平気なくらい数メートルの葉っぱを有する)は、水中からするすると伸びてきて、水面では自分の領域を確保するために、頭をぐるぐる回して他の植物を追い出し、そこで葉をひらいて周りにある浮草などは、葉の裏にある棘(とげ)でつぶしてしまう様子が、まるで生き物のように描かれています。

 

(画像(オオオニバス):NHKグリーンプラネットのページより引用)

 

第3回は「乾きの大地」で雨が殆ど降らず灼熱から厳寒へと一日のうちに気温が劇的に変化する砂漠でもたくましく生きる植物が紹介されています。

 

(画像(サボテン):NHKグリーンプラネットのページより引用)

 

砂漠といえば、サボテン。雨が降ると一気に水を吸収してひだのように伸び縮みできる体に水を蓄えることができます。

 

第4回は「激変の世界」で変化の激しい環境の中で生き延びるたくましい植物が紹介されています。

 

普段は球根の状態で土の中でじっとしているのだが、山火事が起こって地上の植物が焼けてしまった後に発芽して鳥や虫による受粉を独り占めするキルタンサス。

 

フンコロガシの性質をたくみに利用し、種子を地中に運ばせる植物もいます。

 

(画像(たんぽぽの種を好むネズミ):NHKグリーンプラネットのページより引用)

 

第5回は「植物と人」では、古木の生きた根で橋を作る人々や、頑丈なウシノケグサで屋根をふくエチオピア高地の人々など自然のバランスを損なうことなく植物とつき合ってきた人がいる一方、現代社会は植物の世界を破壊し、コンクリートだらけの街や単一栽培の農地に変えてきた中で、植物を守り再生する活動も盛んになってきていることを紹介しています。

 

(画像(インドゴムノキの生きた根で作られた橋):NHKグリーンプラネットのページより引用)

 

どれも見応えがあり、すばらしいドキュメンタリー作品でした。

 

ただ残念なのがアーカイブが見つからないこと。NHKオンデマンドでもこのシリーズが掲載されておらず(ワイルドライフの通常放送はオンデマンドで観ることができます。共同制作したBBCとの著作権も絡みがあるのかもしれません)、ましてやYoutubeで見つけることもできません。。。

 

こんなにいいドキュメンタリーなので、近いうちに再放送してほしいなぁ。

 

第2回に登場するオオオニバスの場合、20分に1枚の写真をつなげて映像にするには、10秒の映像に240枚の写真が必要になります。20分に1枚ですから4,800分(80時間)かかるわけです。

 

4,800分は288,000秒。10秒に対して28,800倍植物のスピードがゆったりしている、と見ることもできます。

 

なんともくらくらする時間間隔です(^^)

 

今環境問題が取り沙汰されていますが、もし環境破壊が進んで多くの動植物が死滅したとしても、最後は植物だけが残って地球は再生していくんじゃないか、と思うくらい植物のたくましさを感じました。

 

ワイルドライフのこれまでの放送分の概要はこちらからもご覧いただけます。

www.nhk.jp