今回の課題図書はこちら。今や論客としてメディアに引っ張りだこの成田悠輔氏の著作です。
「若者が選挙に行って『政治参加』したくらいで何も変わらない」という衝撃的な表現が、はしがきに登場します。
著者の表現を借りると、
経済と言えば「資本主義」、政治と言えば「民主主義」。勝者を放置して徹底的に勝たせるのがうまい資本主義は、それゆに格差と敗者も生み出してしまう。生まれてしまった敗者に声を与える仕組みが民主主義だ。暴れ馬・資本主義に民主主義という手綱を掛け合わせることで、世界の半分は営まれてきた。
ということらしい。
端的に見事に表現されていて、なるほど〜、とうなづく私。
その世界のリーダーがアメリカ合衆国であったわけです。
ところが、二人三脚の片足であるはずの民主主義が今”故障”している、というのが、成田氏の見解。民主主義的な国ほどここ20年強で経済が低迷している、という。
で、”故障”した民主主義をなんとかしなきゃいけない。
そのためには、
- 今の民主主義と”闘争”して正面から改善を図る
- 今の民主主義から”逃走”して別の社会を作る
- 新しい民主主義を”構想”して置き換える
という選択肢があるという。
それぞれについて成田氏なりの考えをまとめたものが本書です。
成田氏の見解では、”闘争”も”逃走”もいい解にはならず、”構想”するしか手段がないだろう、そこにAIが入ってきて「ルール」を決めるアルゴリズムを作る必要があるだろう、という提案をしています。
さすが今流行りの論客だけあって、なかなか引き込まれる話が多いです(^^)
話の内容の是非というよりは、膠着した状態から脱却するために、現在の感覚から大きく脱線するという発想にふれることがこの本の意義のような気がします。
正直、私自身は現代の政治の状況を正しく理解できているとは思えないのですが、どうにも不満は感じます。
選挙で投票はするものの、むなしい気持ちがあるのは正直なところです。
投票率があがらない根本的な要因がここにある気がします。
選挙で自分の意向が反映されている、という実感を持てないんですよね。
ネット投票に移行しても対して効果は期待できず、抜本的に「ルール」変更をしないと状況は変わらない、ということを成田氏は意見しています。
自分が住む環境を形作る作業の一つが政治でもあるはずなのですが、どうも「手段」であるはずの”権力”が「目的」になってるんじゃないか、という政治家をたくさんみるにつけ、文字通り本末転倒な事態にしらけてしまっており、己の無力ぶりに行動を起こすきにもなれない、というのが正直なところ。
う〜ん、ダメダメな国民の1人かもしれません^^;;
この本に、立川談志の言葉を借りて民主主義を表現している一節があります。
「酒が人間をダメにするんじゃない。人間はもともとダメだということを教えてくれるものだ」
これと同じことが民主主義についても言える気さえしてくる。
「民主主義が人間をダメにするんじゃない。人間はもともとダメだということを教えてくれるものだ」
なかなかうまいことをいう(^^)