48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜ガウディの伝言

 

2023年1回目の読書会の課題図書はこちら。

 

先日ご紹介した落合陽一氏の「忘れる読書」でも紹介されていた本です。

 

サグラダ・ファミリアは、今なお建築が続いているという世界遺産にもなっている建築物です。

 

1882年民間カトリック団体から依頼を受けた建築家フランシスコ・ビリャールが無償で建築を引き受けたのですが、意見対立がありフランシスコは主任建築家を辞任、その後をアントニ・ガウディが引き継ぎますが、1926年にガウディが亡くなっても建築は終わらず、その後の弟子たちを中心に建築が続き、1936年に始まったスペイン内戦で一部が破壊され、ガウディが残した模型、設計図、資金が破壊、紛失するという危機がありましたが、残った職人の人たちの尽力により建築再開にこぎつけ、140年たった今でも建築が続いています。

 

本書の著者である外尾悦郎氏はこのサグラダ・ファミリアの建築メンバーとして多くの彫刻(石で作られている)を作った方です。

 

日本人で最もサグラダ・ファミリアの実情を知っている人と言えましょう。

 

本書では、サグラダ・ファミリアが目指している方向、作品に込められたガウディを始めとした職人たちの気持ちから、20世紀にスペインが生んだ天才芸術家、パトロンたちのつながりといった美術史にも言及されたいわゆる教養本というのが私の解釈です。

 

ガウディの作品の一番の特徴は、必要な機能と象徴を組み合わせ、両方を同時に解決するデザイン、構造が考えられていること、とのこと。

 

ガウディが天才と言われる所以の一つはそこにある、と解説してくれています。

 

そしてそれは時にはとてもシンプルに描かれています。

 

ガウディの作品は曲面が多いのですが、実はこれは直線の重なりなんだとか。直線を少しずつずらして重ねるとそれが曲面となります。

 

芸術に疎い私でも「ほ〜なるほど」。

 

またそもそも詳細な設計図がないんだとか。

 

構造上必要なところは幾何学的に作られるのですが、それですべてをカバーしようとしたわけではなく、枝葉末節は職人たちに任せていたのだとか。

 

自然がもつ偶然性に倣おうとしていたようです。

 

自然には一定の秩序はあるものの決して几帳面すぎることはない、葉っぱにしても果実にしても、細部まで全く同じということはなく、一つ一つが奔放な個性を持ち、それが自然をより豊かに見せているのだろう、と著者が解説してくれています。

 

そのため設計図ではなく模型を作って現場で職人が一人一人想像力を働かせながら建設されていたそうです。

 

そこにスペイン内戦がおこり、大切な模型が破壊され、建設資金としてプールしていた資産も奪われてしまうという大きな危機に直面します。

 

職人たちは壊された模型の破片を拾い集め、模型を再生しながら作業を進めているそうです。その根気たるや想像を絶するものがあります。

 

何かをつくるにしても、ここにはどういうストーリーがあるのかを想像しながら彫刻をしているということです。

 

今までサグラダ・ファミリアについてはほぼ無知だった私ですが、一度この本で得た視点でゆっくりと見てみたいという気持ちになりました。

 

 

 

スペインのカタルーニャ地方はガウディ以外にも、ミロ、ピカソ、ダリといった著名な芸術家を生んだ地域だそうです。

 

スペインの北西部に位置する地中海に面した地域です。

 

ガウディは1852年生まれ1926年没。

ジョアン・ミロ1893年生まれ1983年没。

パブロ・ピカソ1881年生まれ1973年没。

サルバドール・ダリは1904年生まれ1989年没。

 

ミロ、ピカソ、ダリはいずれもガウディが現役で活躍している時に若手芸術家として切磋琢磨していた頃で、著者によるとこの3人にガウディは大きな影響を与えていただろうと解説しています。

 

私でも知っているミロ、ピカソ、ダリに大きな影響を与えた人物。。。私にとっちゃぁ、そらぁ雲の上の上の人です(^^)

 

同時代にガウディのライバルだったのが、ドメネク・モンタネール。私は全く知らない人物でしたが、当時はむしろモンタネールの方がメジャーだったらしいですね。しかも政治力があって当時最も強い存在だったようです。

 

そんなモンタネールも1900年あたりから起こったノウセンティスモ(1900年代主義)とい呼ばれる「古きものを捨て新しきものを求める」という思想の潮流に飲まれ表舞台から消えてしまうそうです。

 

ガウディもそれによって影響をうけたようですが、残りの人生をサグラダ・ファミリアに注ぐことができたとのこと。

 

 

 

著者が職人であるためか、妙な詮索をせず目の前に見える世界から丁寧に対象物と語ろうと想像力を大いに働かせて仕事をされていることがよく伺え、その御蔭でこちらもわかりやすく20世紀からの美術史の一旦について知見を得られた気がします。

 

この本を読んでサグラダ・ファミリアについて興味をもちましたが、ちょっと目を向けるとこの日本にもそういった歴史や背景をもった史跡がたくさんあるはずだな、と思いました。

 

東京に住んでいると灯台下暗しではないですが、存在自体が当たり前になってしまっている地域や史跡をあらためて見つめ直すのも楽しいかも、と思いました。

 

皇居、明治神宮を始めとした神宮の数々、鎌倉の寺院、箱根の史跡、下町の街並みなどなど。。。

 

もともと教養がないだけに、新たな教養を知る伸びしろがたっぷりあるので、これからいくらでも楽しめそうです(笑)