48歳からの挑戦

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読後感想〜ビブリア古書堂の事件手帖7

 

ビブリア古書堂の事件手帖シリーズもついに最終巻の第7巻にきました。

 

第7巻も基本長編です。

 

そしてテーマは「シェークスピア」。個人的にはこれまでの中で一番調査が大変だった巻じゃないかな、と感じました。

 

洋書であることに加え、製本時期が1600年代というまだ”本”というスタイルが確立していない時期の本で、英語も文法がまだちゃんと定まっていなかった時代らしく、”J”を”I”、”U”を”V”、”W”を”VV”で表現することもあったというそんな時代を背景としたミステリーを組み立てるのは、綿密な調査と緻密な構成力があってこそ、ではないかと感じます。

 

今回は初めて登場人物紹介が巻頭にあります。

 

そこにはおなじみの登場人物が紹介されているのですが、一番最後に「吉原喜市」という名前がでてきます。

 

第6巻までは出てこなかった名前なので、この第7巻ではかなりキーとなる存在になるんだろうと想像力が働かされます(^^)

 

そしてプロローグはその吉原喜市目線のつぶやきから始まります。そのつぶやき方から「こいつは大輔、栞子をかき回す存在だな」ということを匂わせる演出(^^)

 

第7巻では、この吉原喜市の登場により、より複雑な人間関係と怨恨、しがらみなどがさらに明らかになってこれまでのストーリーがより幅広くなるのですが、やはり真髄はシェークスピアにまつわるトリビア

 

先程もふれましたが、英語の文法自体がまだ確立されていなかったとか、ユダヤ人を敵視するような人種に対する当時の感覚、製本のやり方など、16世紀の時代背景とシェークスピアの存在というものがよく描写されていると思います。

 

シェークスピアの戯曲全集の初版本「ファースト・フォリオ」は2020年にオークションで約10億円で落札されたという記事がありました。

jp.reuters.com

 

なんど出版が1623年!400年も前の本が現存している事自体がすごいです。

 

この第7巻はまさにこの「ファースト・フォリオ」をめぐるストーリーとなっていて、そこに智恵子と栞子という母娘、智恵子の父親である久保山尚大の人間性、吉浦喜市の思惑、大輔と栞子の関係がスパゲッティのように絡んできます。

 

また推理系でよくあるように、これまで本シリーズは栞子の謎解きシーンで締めくくり、次の章につづく新しい課題が生まれる構成だったのですが、今回は「オークション」が締めくくりの舞台となります。

 

切羽詰まったオークションシーンからの謎解きというこれまでにないパターンは新鮮でした(^^)

 

いや〜、終わってしまった。。。ちょっと寂しいですね。

 

このシリーズはスピンオフで、扉子さんという新しい登場人物が主人公になるシリーズが全3巻で発表されています。

 

すぐに手を出しちゃいそうなんですが、他に読もうと思っている本もあり、ちょいと我慢(笑)

 

 

 

推理小説が好きな方には楽しめるシリーズだと思います。