48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

「エラー 失敗の法則 雪印 2つの事件」

たまたま録画されていたNHK BS番組「エラー 失敗の法則 雪印 2つの事件」。

www.nhk.jp

 

この概要に書かれているように、雪印雪印乳業株式会社。以降”雪印”)は過去に2年の間で2つの不祥事(食中毒と牛肉産地偽装)を引き起こし、事実上の解体に追い込まれました。

 

現在は雪印メグミルク株式会社として再編されています。

 

2000年、2002年といえば私にとっても記憶にまだ新しいところ。

 

 

 

食品会社としては致命的な市場問題である食中毒事件が発生した2000年。この事件の経緯がまとめられていましたが、改めてひどい対応だったことが思い出されます。

 

・事件第一報が社長に届くまで2日かかった

・保健所から自主回収と告知の要求が出たにもかかわらず、告知に即答しなかった

・会社の告知より先にメディアにすっぱ抜かれた

・事件第一報から4日、やっとメディアに告知がされた

・告知が遅れたことで食中毒の被害は広がり1万3千人以上が罹患することとなった

 

そして、舌の根も乾かぬうちにBSE騒動で苦境に立たされた雪印食品が、在庫で残った海外牛肉を国産と偽って販売していたことが露呈。「雪印」というブランドの信用は完全に失墜します。

 

この番組では経営学者の入山章栄氏始め、4人のコメンテーターがオンラインでつながって司会者不在状態で評論をする、というユニークな構成になっています。

 

当時の雪印グループの不祥事から立ち直っていく過程を、実際に携わってきた雪印OBや現在の雪印の人への取材を交えながら紹介していき、適時コメンテーターがそこにコメントを挿入していきます。

 

ただこの番組で私が印象深かったのは、当時消費者を代弁する立場として社外取締役に就任した日和佐信子氏。

 

雪印に足りないことの一つが「消費者と向き合うこと」だった、として就任を要請されるのですが、日和佐氏が就任するにあたり出した3つの条件がありました。

1 自身の言動が制約されない

2 消費者の目で経営をチェックしていく

3 雪印にとってのデメリットの情報も開示してもらう

 

本来の社外取締役ってこういう立場のはず。

 

あえてここまで言わないといけない、ということは、実際の社外取締役はお友達の集まりみたいなところが少なくない、のかもしれません。

 

日和佐氏は、企業倫理委員会を立ち上げそこの初代委員長に就任し、従業員が目も通していなかった会社理念や規範をリセットして、新しい雪印の行動規範を社員自らの力で作らせます。そして社員たち自身でそれを広め、手直しをし、仕上げさせました。

 

雪印体質を変革する会」という社員による自主的な活動が始まり、体質改善活動が動き出します。

 

雪印メグミルクでは、不祥事が発生した

 

札幌工場に隣接する酪農と父の歴史館では、当時の不祥事が発生したときの資料が展示され、一般公開されています。自分たちが起こしたことをあえて公開しているのです。

www.meg-snow.com

 

自分たちの失態をあえて公開して、世間にさらすことで社内に緊張感を維持させるというやり方は、かなりの覚悟が必要だろうな、と感じます。

 

 

 

 

雪印の意識改革に大きな功績を残された日和佐氏ですが、この番組には体調不調をおしてオンラインの取材に対応していたそうです。

 

その理由をご本人がこう語っています。

雪印の事件とその後のことについては、他の企業にもある意味参考になるのではないかなっていうのが一つ。

雪印は悪の塊みたいな報道のされ方もしたし、でも真面目な人間、まっとうな人がいっぱいいたんですよっていうこともね、申し上げたいなっていうふうに思っていました。

 

どっしりとした佇まいと大きな愛情を感じる言葉。

 

この言葉をおっしゃった後、「2022年12月27日 永眠」というテロップが流れ、先程の言葉が我々にむけての遺言だったのかもしれない、と思うとなにか胸にくるものを感じました。

 

素敵な方を1人知ることができました。

 

(画像:雪印メグミルク株式会社ホームページより引用)