48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜東インド会社ー巨大商業資本の盛衰

 

今回の読書会の課題図書はこちら。

 

世界で最初の「株式会社」である東インド会社

 

実は「東インド会社」は複数あって、オリジナルは「イギリス東インド会社」と「オランダ東インド会社」で、他にもフランス、イタリアなどでも生まれた会社なんだそうな。

 

1602年に設立した「オランダ東インド会社」は当初は規模が大きく優位にたっていたけれど、オランダ本国の相次ぐ戦争で国力を消耗するのに連れて勢いがなくなり、1799年には解散。

 

オランダに先んじて1600年に設立した「イギリス東インド会社」は当初こそ「オランダ」に後塵を拝するが、輸出の増強や、オランダが扱った香辛料とは別に毛織物など異なる商品を扱ったり軍を導入するなどして成長し、1858年に解散するまで事業を続けました。

 

我々の知っている「東インド会社」はおそらく「イギリス東インド会社」のイメージが強いと思います。

 

映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」に出てくる「東インド会社」はこの「イギリス東インド会社」のようですね。

 

 

 

さて本書はその「東インド会社」について、その歴史と社会に与えてきた影響についてまとめた、いわゆる簡単な歴史書的な性格をもった本、という印象です。

 

16世紀の大航海時代にインド航路が開発され香辛料貿易が始まり、スペインの南米征服によって大量の銀がヨーロッパに流入したことで、ヨーロッパの貿易、商業のあり方が大きく変わったのが「商業革命」と言われています。

 

それまではヨーロッパの交易の要所にあったイタリアが中心でしたが、交易が太平洋側に移りスペイン、ポルトガル、イギリスなどが大きくなっていきます。

 

銀が流入して物価があがり(いわゆるインフレ)地代に依存していた特権階級が没落したり、高利貸しに変わって都市金融が経済を動かすようになっていくという大きな変化がありました。

 

その商業革命において、「東インド会社」が大きな役割を担ったというくだりで本書は始まります。

 

 

 

今は当たり前である株式会社制度が、この会社から始まったわけで、その運用にはいろいろな試行錯誤があったことが紹介されています。

 

今の時代でもある「物言う株主」、「株価操作」、「行政との癒着」、「経営と運営の分離」といった要素が、もうこの時代から見えていたのが興味深いです(^^)

 

「南海会社」を舞台に勃発した「バブル経済とその崩壊」。「バブル」という呼称はこの難解会社の顛末が起源だそうですね。

 

ちなみに世界で最初のバブル経済は南海会社の顛末から100年ほどさかのぼった、オランダのチューリップ球根の案件らしいです。

 

 

 

話は戻って、東インド会社は商業革命を起動に乗せて、現在の経済社会の礎を構築した貢献が大きい一方、略奪、政治的・軍事的制圧による植民地化を加速させ、現在の国際情勢の歪みを生んだという”罪”の部分も感じます。

 

最後はアヘンを中国に売りつけていたわけで、コカイン販売しているコロンビアなどの非合法組織(マフィアやギャング)などと何も変わりないことを、”国ぐるみ”でやってきたのがこの時代の欧州の国々です。

 

でもそれは欧州だけでなく、規模の大小はあれ日本でもアジアでもアフリカでも起きていたことなんだろうと思われます。

 

人間のもつ業の強さと罪深さを感じさせられます。

 

 

 

 

話は飛びますが^^;; こんな征服の野心を持った欧州の国々が狙っていたのはインドだけではありません。そう、日本も狙われていたと思っても不思議ではないですよね。

 

時代はまさに江戸時代。

 

スペイン、ポルトガルキリスト教の布教を武器に征服を企み、イギリスは軍事力で征服を企み、オランダは商業・経済で征服を企み・・・そんな思惑に囲まれていたのですが、結果的に征服されずにすんだということは、防衛策が機能していたのではないかと考えることも可能なのかな、と。

 

江戸時代の鎖国政策についてはいろいろ議論があるところですが、こういった視点を加えると見方が拡がるかもしれません。

 

 

 

 

1989年に発行と少々古い本ではありますが、記録からたどってこれだけまとめてくれたので、当時の様子をわかりやすく知ることができた気がします。