岩波100冊プロジェクト、今回は初めて「白」シリーズをチョイス。
マキアヴェッリの「君主論」です。全文387ページですが、26の章で構成されている本文は200ページほど。150ページくらいは注釈にあてがわれています。
ニッコロ・マキアヴェッリは、1469年にイタリアのフィレンツェで生まれた政治家です。
当時のイタリアは、織田信長がいた日本のように群雄割拠の状態で複数の国にわかれていたそうです。
マキアヴェッリがいたフィレンツェはその中でも弱小の国で、軍隊は傭兵頼みですがコントロールができず、常に周辺国、フランスなどの列強に脅かされていました。
フィレンツェの役人となったマキアヴェッリは奮闘しながらなんとか舵取りをしていきます。そこで出会ったのがアレクサンデル6世教皇の息子チェーザレ・ボルジア。
チェーザレ・ボルジアを理想の君主として、あるべき君主像とはなにかをまとめたのがこの君主論です。
岩波の本書は、当時のマキアヴェッリの書き方に忠実に訳したからなのか、ちょっと読みにくい文体かもしれません。加えて、たくさんの登場人物が当然のようにでてくるので、それらの人物がどういう人なのかを予め知ってないと理解が大変^^;;
そのために、たくさんの注釈があって本文と同じくらいのボリュームになってしまったようです(^^)
そういう意味では、最近プチマイブームの一つである「まんがで読破」シリーズの「君主論」はよくまとまっています。
26のテーマごとにマキアヴェッリが1つ1つ講義をするようなまとまり方をしている本書とはちょっと異なり、マキアヴェッリが政治家になってから本書を書き上げるまでのイタリア史を時間軸で追っているので、私のようなイタリア史初心者にはわかりやすいです。
マキアヴェッリとく「理想の君主」という姿がかかれていますが、その中で印象的なのは
恐れられる存在であり、憎まれない存在であることが肝要。
気前がいいのはだめ。けちん坊であること。
ということ。
君主は人々から恐れられる存在でなければならない。それは、兵士や民衆に抵抗しようという気持ちを起こさせないためである。しかし、憎まれてはいけない。憎しみはやがて反旗を翻す原動力になってしまうからである。
これが1つ目のこころ。
気前がいいのはいっとき周りからありがたられるが、いざという時に国力がなく結果的に戦いに負けて兵士、民衆に恨まれる。ただし戦いで勝ち取った”人のもの”は気前よく分け与えるのがよい。
これが2つ目のこころ。
いずれも、「大衆」とか「大勢の人」という力を強く意識しているように感じます。
1人1人の力は弱くとも、大勢集まると時の権力を倒してしまうほどの強大な力になるのが人の怖い所。
いつの時代でも世論を為政者は意識していますね。「大義名分」を重要視しているのもそういうそういう背景からでしょうか。
自分に照らし合わせてみると、私が前職のマネージャー時代でおそらくできていなかったことかなぁ。
チームメンバーに好かれよう、という気持ちはなかったけど、持っている力を発揮してもらうためにいい関係でいたいとは思っていました。物分りのいいリーダーだったかもしれないけど、”恐れられる”存在ではなかったと思います(^^)
しかも気前良すぎて、買いたいものがあれば結構自由に買わせていたし^^;;
以前ブログに書いたかもしれないけど、高校の野球部の監督をやってたときは”恐れられる”存在だったかも。
私の理想の上司(今も年に1〜2回一緒にゴルフしています)も”恐れられる”存在でした。でも憎まれていなかったから今でも元上司を囲んだOB/OG会が開催されています。
そんな私でしたが、若い時にこの本に出会っていたらまた違った人物像になれたかなぁ・・・いや〜、変わんないだろうなぁ(笑)
前職の引き際としては、もしかしたらタイミングだったのかも、とふと思う初夏のとある日(^^)
岩波100冊プロジェクトリスト
1 風姿花伝 青1-1
2 大地(一) 赤320-1
3 大地(二) 赤320-2
4 大地(三) 赤320-3
5 大地(四) 赤320-4
6 方丈記 黄100-1
7 生物から見た世界 青943−1
8 アラン 幸福論 青656−2
9 方法序説 青613−1
10 君主論 白3−1