先日報道番組を観ていたら、こんな言葉が出てきました。
”ダブルヘイター”
今年開催されるアメリカ大統領選挙において、候補者と目される共和党のトランプ氏、民主党の現大統領バイデン氏、どちらも支持できない人たちをこう表現するそうです。
ブルームバーグの記事によると、2月時点でトランプ氏支持42%、バイデン氏支持40%、残る18%がダブルヘイター、という統計結果が発表されています。
アメリカの大統領選挙は、アメリカ一国だけにとどまらず世界中に影響を与えるだけに、他国の話といって無視できるものではありません。
二大政党が切磋琢磨することで民主主義を牽引してきたアメリカでさえ、この仕組みが機能するのか不安を抱かせる状況に感じます。
日本では多くの政党が存在しますが、実質は「自民党、公明党の与党」と「それ以外の野党」という二者択一的な状況で、最近の自民党への不満の受け皿に野党が機能しきれておらず、自民党に緊張感をもたせる圧力が、もう一つのようですね。
YesかNoか
多数か少数か
黒か白か
資本主義か共産主義か
成長か脱落か
男か女か
仕事か家庭か
信者か非信者か
食うか食われるか
うどんかそばか
二者択一をせまる世界が成り立たなくなってきた流れ。
私自身二者択一だと困る状況はたくさんあります。第三、第四と複数の選択肢の中からその時の自分に最も合っていると思われる選択をすることで、自分の人生を設計し歩んでいます。
選択肢が存在しない場合に、自分で選択肢を作れる場合と作れない場合があります。
アメリカの大統領選挙の場合、第三の選択肢を自分で作ることはなかなか困難です。ケネディ大統領の甥が第三の候補として取り上げられていますが、全米でもこういうことができるのは彼1人なわけで、誰でもというわけにはいきません。
変化の兆しの一つは、ダイバーシティーの概念かもしれません。多様性。
性別については、ジェンダーに苦しんでいる多くの人たちの活動によって「男」「女」以外の選択肢が生まれました。
家庭を顧みず仕事一辺倒という世界から、働き方改革をつうじて、仕事と家庭の両立、家族内での役割分担が進んで、仕事か家庭かという二者択一の世界は崩れつつあります。
同様に仕事と家庭以外にも趣味を広げたり、余暇を楽しむ生き方がQOL(Quality of Life)を高める生き方という見方も浸透してきました。
企業活動においては、利益を上げて株主の欲望に応えるのが役割であって、成長せず、利益があげられなければ淘汰されるという、成長か脱落だけでなく、社会貢献性や持続性といった側面が評価されるようになってきました。
社会の仕組みは、恒久的に「これでいい」というものではなく、時代の流れで変化していくものと思っていますが、これからは、0か1かという二者択一ではない世界にどんどん移行し、アメリカやイギリスの二大政党という仕組み時代にも影響がでてくるのではないか、と感じさせられました。
今かかわっている生成AIは時代の最先端技術の一つですが、アウトプットは確率的に決められる仕組みであること、”創造(すなわち生成すること)”そのものが二者択一ではないんですね。
そんな生成AIが遠くない将来に身近になることを考えると、これからはたくさんの選択肢が生まれ分散していく流れになるのではないでしょうか。
人は本来十人十色。
それぞれの色を認め合えるような社会のほうが本来は居心地がいいはず。
1人1人では弱い人間が自然界で生き残るために生まれた仕組みの一つが社会。
社会を優先することで、社会に属する人間が守られてきたのも歴史。
社会を運営するためにはルールや仕組みが必要。
そのルールと仕組みのために、ある程度個人が犠牲になることはやむなし、という不文律が醸成されました。
確かにある程度の”我慢”は社会を維持するためには必要です。
社会の維持と個人のQOLのしのぎ合いが、ぐぐっと動き出してきたのかな。
またとりとめのないつぶやきでした^^;;
(画像:UnsplashのToa Heftibaが撮影した写真)