今回の課題図書はこちら。
AIと並んでこれから大きく成長すると言われている宇宙産業。
ただつい30年前までは、アメリカと旧ソ連との間で、宇宙開発競争が繰り広げられ最重要国家戦略の一つであった業界はず。
それがどういった経緯で民間主導で、大きな産業に変わってきたかという流れを解説してくれています。
この本から学ぶ流れは、かなり乱暴に書くと、
・チャレンジャー失敗によるアメリカの戦略転換
・イーロン・マスクの登場
・IT成金による参入
・産業化
こんな感じでしょうか。
個人的には、イーロン・マスクという人物が傑出した人物なのかもしれない、という衝撃がとても大きかったです。
イーロン・マスクがなぜ宇宙事業に手を出したのか。
「これから起こり得る自然環境変化、隕石の衝突、太陽の変化などが起こることで、地球上で文明の発展をし続けられなくなる、というリスクを回避することはできるか?」
という問いも自らに課し、
「地球にのみ生存地域を依存していると、このリスクは回避できない」
「であれば、地球外に生存地域を求める必要がある」
「その最適な場所は火星である」
「したがって火星に移動して生活するために必要な技術を発展させなくてはならない」
という自分なりの答えを導いたわけです。
火星にいくには宇宙に出る手段が必要で、そのためにロケットを開発するんだ、という彼なりのロジックなんです。
大谷翔平のスケールにも度肝を抜かれましたが、この発想のでかさにも度肝を抜かれました。
イーロン・マスクのすごいところは、それを実際に自分の手で手掛けて、宇宙事業に必要な技術開発に革命を起こしたことです。
この本を読むと、彼がいたからこそ宇宙産業が起こったといっても過言ではないでしょう。
どんな革命を起こしたのか、ということを知るためだけでも本書は役に立つと思います(^^)
一方で日本の宇宙開発事業についても、解説してくれています。
なぜ世界に比べて立ち遅れているのか、その一端を見せてくれています。
宇宙産業って、気象衛星や軍事衛星のような明確な機能をもって稼働している衛星はともかく、ロケットで世界旅行のように金持ちの道楽程度に近い感覚でしかありませんでしたが、この本を読んで、実は近い将来に現実的な話としてかなり身近になる可能性を感じました。