今回の読書会の課題図書はこちら。
先日の読書会で取り上げた勅使河原真衣さんの「「能力」の生きづらさをほぐす」に続く第二弾です。
第一弾の「「能力」の生きづらさをほぐす」では、当たり前のように使っている「能力」という指標っておかしくない?という大胆な問題提起をしていました。
そもそも「能力」ってなに?
よくわからない「能力」という物差しで良し悪しを評価されちゃうって・・・
ある環境では「能力が高い:優秀」とか言われたけど、別の環境で「能力が低い:無能」ってどういうこと?
などなど、普段我々が当たり前のように使っている「能力」という概念が席巻していることに、「ちょっとまったぁ!」をかけてきました。
第二弾の本書では、「能力主義」による「選別」という作業、つまり「選ぶ」ことと「選ばれようとする」ことが、人々の暮らしに大きな影をおとしていませんか、とさらに突っ込んだ問題提起に始まります。
そして今回は問題提起にとどまらず、「枠にはめず、人それぞれの持ち味を活用できるような環境を作る」ことによって、働くことが生きる活動そのものになるのではないですか、という突っ込んだ提案にまで踏み込んでいます。
一見自分の専門領域である「組織開発」という仕事の主役である「能力」という指標を、自ら否定するような論調から始まり、「能力という指標の否定」というスタンスが論理的に危うく感じるところもあったので、序章、第一章では、「う〜む」という思いで読んでいました。
ですが、第二章の事例紹介から様子がかわってきます。
「優秀だとか優秀じゃないとか勝手に能力の問題として個人の責任におしつけていませんか?」という切り返し。
もっというと「採用している組織が上手に活かしきれていませんか?」と突っ込んでくる。
面白い(^^)
人それぞれが得意とする領域、苦手とする領域をもっているわけで、活躍しやすい環境を提供することは、組織の大切な役割ではないだろうか。うんうん、そう思う。
人が反応するのには大抵そこに理由があるわけで、「なぜ怒っているのか」「なぜ拒否反応がでているのか」「なぜこちらの期待にこたえられないのか」という「なぜ」に目をむけてみたらどうだろう。そうそう、そう思う。
本書にはこんな文言では書かれていませんが、私なりに要約すると著者とこんなやりとりになっているかなぁ、という妄想です。
自分も無意識に「能力」という概念を振り回していたところはあり、本書によるツッコミに対しては自省するところが多々ある一方、「本人にとっていい行動ができるような対応」も意識していました。
なので本書後半の話は共感点がとても多い。
できる、できない、の単純な二項対立型ではなく、中間点だとか、まったく別の軸だったり、「線」ではなく「面」や「体」でとらえるようになると、人を責める必要性も薄れるし、受け入れられる余地もぐっと広がると思います。
私がいつも意識するのは「裏側」。
「表」では敵対的な表情や言動があるけど、その「裏側」に隠れている原因があるわけで、そっちをどうやって解決しようかという思考になります。
経験上でしかいえませんが、比較的お互いにいい落とし所が見つかってきたことが多い気がします。あ、もちろんうまくできなかったこともたくさんあります^^;;
著者の視点や提案はとても素敵だと思う一方、懸案がないわけではありません。
それは「自分の欲求を満たすためには平気で人を陥れることができる人」が相手のとき。小さな欲求なら譲れる余地がありますが、たいていこういう人の欲求は「底しれない」ことが多い。
だから結果的に話が通じないことが多い。
残念ながらそういう人は存在します。これも経験上ですが^^;;
そういうときはどうしたらいいか。。。
私は逃げる(^^)かかわらない。
残念ながら自分の器量というか精神状態というか心の余裕度というか、まあ対処できる余地を持ち合わせていませんから(^^)
本書でも触れていましたが、味の素株式会社が中期計画をやめたそうです。
いや〜、拍手喝采です(^^) 中期計画作り、大っきらいでした(笑)
だって、世の中どんどん変化しているのに、古い前提条件にしばられた数値に追われる仕事って、何の意味があるの?って。
毎年数ヶ月間ものすごい人数かけて作っていました。
中期計画やらないだけで、かなりの社員削減できたんじゃないかと思うくらい。
今から3年前にChatGPT4の性能を超える性能をもった生成AIの提供を中期計画にいれていた会社はあったのかな。
コロナの嵐をどう生き抜くかで精一杯だったような印象だけど。
私は独立してから1人運営なので、事業計画も中期計画も作ってません(^^)
まあ1人だからできることかもしれませんが、一つ一つ丁寧にやることを積み重ねることに集中しています。
収入は激減しましたが(笑)今のところいい人生を送れていると感じてます。
もちろん大変なことは数え切れないくらいたくさんありましたが、それも人生のこやしです。
話は脱線しましたが、著者には「生きようよ。そしていい人生を送ろうよ」というメッセージがぐっと詰まっているように感じ、その気持ちを言語化するという大仕事をやられたことに心から敬意をもちます。
(読書会を終えて追記)
著者の第一作は「能力主義」に対する問題提起
本書第二作は、問題提起に対する提案(1)「”個”に寄り添った」行動
そしてもしかしたら、問題提起に対する提案(2)「”組織側”からみた」行動が三部作の第三作になるのではないか、というメンバーの意見に、「もしかして」と思ってしまった私(^^)