ここ数年は、映画といえば英語が主の洋画ばかりだったのですが、シカゴからの帰りのフライトでは洋画のラインアップがイマイチだったこともあって、久しぶりに邦画を鑑賞することにしました。
時差ボケ対応で帰りの機内では寝ないようにするのが目的だったので、長い時間鑑賞できる映画はなにかしら観ようと思っていました。
久しぶりの邦画ですが、ただでさえなかなか高いお金払って時間かけて映画館で観ようという気がなかなかおきないので、こういうときでないと観ようとしないだろう、というタイトルを意識して選んだのがこれ(^^)
設定からして、ドタバタのコメディくらいかな、とほとんど期待感を持たずに鑑賞開始。
感染症のパンデミックへの対応不足などで支持率を落とした内閣が総辞職し、与党が起死回生の策を講じたのが「過去の偉人による内閣」(英語字幕では"Hero Cabinet"とされていました(^^))。
AI技術によって過去の偉人をバーチャルに復活させ、政権を担わせます。
復活した偉人はこちら。登用理由は私個人の解釈です(^^)
総理大臣:徳川家康(野村萬斎) 260年という日本最長の平安な時代を築いた功績
内閣官房長官:坂本龍馬(赤楚衛二) 薩長同盟を実現した”つなげる”力
財務大臣:豊臣秀吉(竹中直人) 金への執着心の強さを買われたか(笑)
経済産業大臣:織田信長(GACKT) 楽市楽座の実績や企業を牽引する強力なリーダーシップ
外務大臣:足利義満(小手伸也) 朝廷との渡り合えるほどの折衝力
総務大臣:北条政子(江口のりこ) 頼朝亡き後北条家の力を世に知らしめた拡散力
文部科学大臣:紫式部(観月ありさ) 源氏物語に代表される文学力
法務大臣:聖徳太子(長井短) 日本初の憲法「十七条憲法」の実績
厚生労働大臣:徳川綱吉(池田鉄洋) 江戸時代を武力統治から文治統治へ変換させた功労者として近年評価があがっている
なかなかおもしろいメンバーです。
AIのプログラムによってそれぞれの実績は認識しているが、恨みや憎しみといった感情は消去されていて、例えば坂本龍馬は倒幕された徳川家にとって宿敵ではあるのですが、徳川家の3人はまったく意に介してません。
家康に裏切られる秀吉にもまったく遺恨はありません(^^)
一方で、主従関係的な立ち位置は残っているようで、吉宗、綱吉は、家康に対して「権現様!」と平身低頭、忠誠心マックスです(笑)
家康には逆らう秀吉も信長には全面服従(笑)
まずこの人選が大変興味深いですね。そして選ばれてみると、「結構いい人選だな」と思ったりします(^^)
まあ紫式部でなく、清少納言だったり、与謝野晶子だったり、樋口一葉だったり、そういう意見もあるでしょう(^^)
足利義満にしても、小村寿太郎や陸奥宗光、吉田茂といった近代の名外交官という声もあるかもしれません(^^)
さてさて、そのストーリーですが、まずは世論的には低評価だった新内閣ですが、パンデミックに見事に対応したことで支持率は一気にうなぎのぼり。
ところがそこからいろいろなことが起こり、家康辞任の声が強くなります。
あとはネタバレなのでここでは遠慮します(^^)
いや〜、何がびっくりしたかって、自分が涙流すシーンが多かったこと(笑)
私は昔から泣き虫だったし、歳を重ねていくにつれ、ますます涙腺のパッキンが機能しなくなって、ちょっとしたことでうるうるするタイプではあります^^;;
なぜかっていうと、結構いいこと言ってるんです。
今の政治を考えるとき、ともすると政治家に鉾を向ける傾向が強いですが、その根っこにあるのは実は国民自身にあるんじゃないの?という問いかけを感じます。
この映画を観ていると、結構共感するんですよね。
設定自体、コメディの要素が強いのですが、ここで表現したいことはかなり痛烈。政治の良し悪しは、国民そのものにあるということを目の前で問いかけてきます。
いや〜、いい意味で裏切られました(^^)
(画像:『もしも徳川家康が総理大臣になったら』公式ホームページより引用)