今回読んだのはこちら。先日読書会の課題図書になった「華栄の丘」を読んで興味をもった宮城谷作品に手をつけました。
子産は中国春秋時代(周が一応トップだった)の鄭という国で宰相を務めた人物です。
「華栄の丘」の主人公は宋という国の宰相だった華元でしたが、活躍した時代は紀元前600年〜紀元前580年代くらいと言われており、子産は紀元前540年代〜紀元前522年あたりなので、少し時代はずれています。
ただ、小説「子産」はその子産の父親子国の代からの話で、紀元前590年前後くらいから話が始まります。
子産が有名になったのは、のちの儒家の始祖となる孔子が尊敬した政治家とされたことが大きな理由の一つと思われます。
中国の春秋時代は紀元前770年ころから紀元前400年ころまでの約370年くらいで、舞台となったのはちょうど真ん中くらいの紀元前590年前後〜紀元前520年前後くらいです。
このときは北西に晋、南に楚という国が大国として力をもっており、鄭を始め他の小国は、晋や楚の勢力争いに巻き込まれながらも、懸命に生き延びようとしていた時代です。
「華栄の丘」の華元は、なかなか達観した人物でしたが、今回の子産はいわば天才。
幼少のころから必要な情報を抽出する力と、そこから洞察する力が抜きん出ている人物として描かれています。
日本では武士道、欧州では騎士道がある意味戦士たちの価値観でしたが、この当時の戦士たちにとってベースとなる価値観は「礼」にあった模様。
仁や義といった儒教思想は、始祖である孔子がまだ世に出ていないこともあり、まだ定着していないのですが、「礼」という概念は深く浸透していたように、この本から見受けられます。
戦いにしろ政治にしろ、大事な判断では占いが使われていたようですが、「礼」を失すると天罰がくだる、という考え方があって、見えない力を持って人の行動を律していた時代でもあったことが伺えました。
主人公の子産は、その「礼」を最も深く理解し実践していた人物として描かれています。
吉村昭氏と同様、宮城谷氏も史実をベースに隙間をフィクションで埋めることで小説としていて、この時代のベースとなる史実は「春秋左氏伝」という記録書です。
日本で言えば弥生時代に、しっかりとした文章記録があるのは、さすが中国です。
一方で、中国を舞台にした歴史小説の特徴は、とにかく登場人物が多い(^^)
そして同じ呼称だけど別人物ということが、特に各国の王にみられるため、登場人物を整理して概要を理解するのが大変です。
私もちんぷんかんぷんだったので、王の系列を中心に登場人物を整理してみました。

子産をこれから読まれる方のご参考になれば(^^)
冒頭にも述べたように、本書は主人公の子産だけでなく父である子国の代から話が始まっており、上巻はほぼ父の代の話で、子産が表舞台になってからの舞台は下巻になります。
小説としては、鄭の国が不安定であった分上巻の方にいろいろな動きを感じました。

