48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜町の本屋はいかにしてつぶれてきたか

 

今回の課題図書はこちら。

 

いきなり脱線しますが・・・

 

先週末テレビで芦田愛菜渡辺直美サグラダ・ファミリアをロケした番組が放映されていましたが(博士ちゃん)、そこで紹介されていた「ガウディの伝言」という本が、Amazonで発注できない状態になっていました^^;;

 

テレビの影響は大きい・・・

 

この読書会でも取り上げた名著です。

 

www.almater.jp

 

さてさて、話は戻って。

 

本書は、まずタイトルから意味深いです。

 

「つぶれてきたか」という表現。

 

出版社からは「つぶれた」は表現が強すぎるから「消えた」とか別の表現にしないか、と言われたそうですが、「つぶれてきた」という表現がもっともふさわしい、ということで著者がゆずらなかったそうです。

 

また「つぶれて”きた」という言い方。

 

つまり、「最近本読む人減っただろうから、今書店はつらいよね」といった「今」の話ではなく、ずーっと前から「本を読む人は変わってない」し「本屋は”つぶれてきた”」わけで、「今に始まった話じゃない」ということが表現されています。

 

本書は書籍の流通に目をむけています。

 

プレーヤーは大きくわけて3つ。

 

出版社、取次、書店。

 

出版社以外は儲かってない。

 

なぜか。

 

その背景を、歴史、仕組み、法律、しがらみ、思惑、とってきた行動などいろいろな視点からアプローチして紐解いています。

 

そして、それらの課題を一気に片付けて勝ち組となったのが、Amazon(^^)

 

そうなんです、これまで「本の流通」で解決できなかった課題をAmazonがことごとくクリアしていってしまったんです。

 

 

 

 

本書は比較的専門的な内容でもあること、数字が多くでてくることもあり、なかなか読むのに苦労しました。

 

この本の紹介がYoutubeに投稿されていましたので、ご参考まで。

www.youtube.com

 

私自身は、本の流通という点では今のAmazonで十分満足しています。

 

値段は高くない。翌日には手に入る。中古本も扱っている。ポイントがつく。ポイント祭りがある。検索が容易である。

 

いいことづくめです(^^)

 

一方で大型店舗に並んでいる本を眺めながら選ぶのも好きです。

 

Amazonがオンライン会議なら、こちらは直接対面でしょうか。

 

そして図書館で本を借りたり、そこでゆっくり本を読むという環境も好きです。

 

本に囲まれた環境で本を読む、という世界が心を落ち着かせるようです。

 

 

 

 

さて、この業界に関わるステークホルダーAmazon以外、出版社、取次、書店みんなしんどい思いをしてきたのはなぜか。

 

「誰が悪い」という単純な話ではなさそうです。

 

しんどい思いをするのは、利益がでないこととキャッシュフローが悪いこと。

 

利益がでないということは

・売上が低い

・経費がかかる

のいずれか、あるいは双方。

 

売上が低い大きな理由として上げられていたのが「低価格」状態であったこと。

 

出版社が価格決定権を握っていますが、「あげなかった」ことと「あげられなかった」こととこれもそれぞれの側面があるようです。

 

本の価格って考えれば考えるほど、決め方が難しいですね。

 

読書会でも議題にあがりましたが、「競合」は書籍業界内というよりは、ゲームや動画、SNSといった「自分の余暇時間を消費するあらゆる行動」が競合相手になりうるんです。

 

あまりにも高いとか、値上がりが大きい、となると本離れが進んでしまうのではないか、という恐れですね。

 

一方経費という側面も見逃せません。

 

Amazonは出版社からの仕入れ値を通常76%のところ60%まで下げられたことが、成功の大きな要因の一つと紹介されていました。

 

書店の粗利が24%はかなり低いですね。

 

飲食店だと材料費を除いた粗利は70〜80%くらいと聞いたことがあるので、いかに書店が低いかイメージできると思います。(数字は正確なものではありませんので、ご了承ください)

 

従業員への給与、家賃など他の経費をカバーできなくなるのは想像しやすいです。

 

経費だけの観点でいえば、書籍が全部電子化されると、紙代、製本代、物流代がかからなくなるので、出版社の利益はぐっとあがって、その分書店(あるいは販売店)への仕入額を下げることは可能と考えれますが、この仕組みは最終的にはIT業界と同じで、「1社一人勝ち」でおわるため、最終的には書店はなくなります。

 

キャッシュフローの観点でいうと、書店は売れなかった本を返品できるのですが、取次から一旦全部を購入しその支払のあとに返品した分が返金されるため、売れない本の費用をある期間支払えるキャッシュが必要です。

 

やみくもに返品すると「返品率が高い」と烙印おされて、売れ筋の本がまわってこない、という実態もあるようです。

 

書店が徒党組んで出版社や取次と交渉することは、消費者のためにならない、と公正取引委員会が認めない判断をしたことで、書店は実質交渉力を失っています。

 

Amazonの例をみてわかるように、「力のある1社」であれば交渉は可能。

 

となると、全国の書店が1つあるいは2つの法人となって結集するしかないのかもなぁ、なんて思ったりしました。

 

音楽業界はレコード、CD、カセット、MDといった媒体産業はほぼ衰退し、電子化された事業が中心となりました。

 

コンテンツを伝えるだけなら、ネットが発達した現在、媒体が果たす役割はほぼ終わったからです。

 

(もちろんアナログレコードがもつ豊かな音、といった音質にこだわる部分もありますが、少数派です)

 

媒体産業の一つである書籍業界も、電子化の大きなうねりには最終的には抗えない気もしますが、書籍は書籍で「インテリア」といったような、ただコンテンツを伝えるだけでない面をもっているのではないかとも感じます。

 

大きな書店で並んだ本をみていると、それはそれで楽しいですし、シェアハウスの書庫に本を並べていくのも楽しいですし、図書館で本に囲まれている空間は心地よいものがあります。

 

時間に余裕をもっていた両親はよく図書館に通っていました。母は今でも利用しています。

 

忙しくなった現在、そして終身就労を促す国策(年金問題などもあり)と考えると、それも難しくなってくるのかなぁ。

 

そっか、ゆとりあるシニアライフ環境ができれば、本という世界は広がる可能性があるかも。。。

 

妄想はつきません(^^)