今回の課題図書はこちら。
本書は、これまで筆者が中小企業支援活動の中で取り組んできた伴走支援の考え方を整理したものです。(本文「はじめに」より引用)
私にとってはつい先日中小企業診断士の受験をしたばかりでもあり、タイムリーなテーマでした。
著者の角野然生(かどのなりお)氏は、通商産業省(現在の経済産業省)出身で、元中小企業庁長官だった方で、2023年に退官されました。
本書のキーワードである「伴走支援」とは何か。
これも著者が「はじめに」で定義しているので、引用させていただきます。
改めて伴走支援とは何か。ここでは、主に企業経営者と外部の支援者が、信頼関係の下で対話を行うことを通じ、経営者が本質的な経営課題に気づき、意欲を高めて会社の自己変革などに取り組むことにより、組織が本社持っている潜在的な力を発揮させていく一連の営みのプロセスと考えます。
(本書「はじめに」より引用)
官庁のトップだけあって、実に”役所的”な表現ではあります(笑)
(最近、厚労省や国交省などの書類に触れる機会が多く、一文がとても長く、そして一言一言に意味をもたせるような文章をよく目にします。ビジネス文章とはだいぶ異なります。公共機関だからこそ「すべての国民に対して網羅しなくてはならない」という使命感からなのかな、というのが私の個人的な推察です(^^))
少し分解してみましょう(笑)
以下は勝手な私の解釈です。
「主に」とあるのは、「すべて」とはいいません、すなわち当てはまらない場合もあります、という一種の免罪符的な言葉です。
「企業経営者と外部の支援者が」当事者となります。
「信頼関係の下で対話を行うことを通じ」。対話をするのだが、そこに信頼関係を作り上げることが必要、と言っています。つまり、ただ”会話するだけ”ではだめだよ、ということ(^^)
「経営者が本質的な経営課題に気づき」。対話をすることで、”外部の支援者”が「教える」のではなくて、”企業経営者”本人が「気づく」ことがポイントです。言い方を変えれば、”外部の支援者”は”企業経営者”に「気づかせる」のが役割の一つ、ということ。
「意欲を高めて会社の自己変革などに取り組むことにより」。”企業経営者”本人が「気づいた」あとに、行動、つまり「自己変革など(この”など”で網羅性を上げている(^^))に取り組む」という活動に向かわせるのが、”外部の支援者”の次の役割。
「組織が本社持っている潜在的な力を発揮させていく」。”企業経営者”本人が活動することによって、会社自体がより大きい生産性(より高い質でより多くのアウトプットを出すということ)を生んでいく、ということ。
「一連の営みのプロセス」。”営み”はすなわち”活動”であったり”行動”であったりします。ここで「営み」で切らずに「営みのプロセス」としているのは、一つ一つの”活動”も大事だが、その”活動”の進め方に目が向いていることを意味しています。
その”活動の進め方”としてキーとなるのが、本書の副題である「対話と傾聴」なんですね。
この伴走支援、すべてが上手くいったわけではないことは、著者も本書で触れています。
なので「そうすればいいんだ」という単純な指南書ではありません。
「伴走支援」という考え方が組織を活性化させる手段の一つになりうる、ということを知るだけでも意義があると感じます。
私にとってはまさに自分が目指している方向が、この「伴走支援」だと気づかせてくれました。
そして、この伴走支援をするにあたっては、もっともっと”基礎体力”が必要で、中小企業診断士の資格獲得に必要な概念や知識、思考は”基礎体力”の一つでもある、ということが自分の中でつながりました。
来年の受験では、”ただ試験のために覚える”のではなく”これからどう活用するか”を意識しながら取り組めると、受験そのものを楽しめそうです(^^)

