たまたまSNSで見かけて、タイトルが気になったので衝動買いしました。
トランプやイーロン・マスクらの”奔放”な行動で、世界中が振り回されている現在、「トランプの狙い」とか「イーロン・マスクの目指すところ」みたいな記事はちょくちょくみかけますが、本書はだいぶ視点を違うところにおいています。
本書の「はじめに」で著者は「その要点」を示しています。
・既存の国際経済秩序には致命的な欠陥がある
・すべての国に関税を課した”トランプ・ショック”の原因はそこにある
・第二次トランプ政権が企てているのはこの既存国際経済秩序を再編することにある
・しかしきっとこの企ては失敗するだろう
・そして戦後のドルを基軸通貨とする国際経済秩序が終焉を迎える可能性さえある
・トランプ・ショックの本質は関税ではなく通貨にある
・本書は筆者個人の見解である
(以上本書「はじめに」から抜粋し引用)
ここだけ読んでも、私のような世間知らずはなんのこっちゃ、さっぱりわからない(笑)
この「はじめに」を読んで、「こりゃ片手間にちびちび読んでもわからんな」と、ちょっとまとまった時間を使って半分くらい一気に読んでみました。
筆者の見解があたるかどうかはともかく、壮大な視野を必要とする話ですね。
第2章で「通貨とは何か」という問いがあります。
物々交換をしないで済むように「交換手段」としての役割、という認識でいる人が多いのではないかと思います。
私もその一人でした。
世界中の一流大学の経済学部で教えられている経済学がまさにそれです。
これに対して、「貨幣は特殊な”負債”の一種」とみなす学説があるといいます。
何がどう違うのか。
たとえば、銀行はお金を貸し付けています。
銀行は預金者から貨幣を預かるのでお金を貸すことができる。だから、預金がないとお金を貸せない。
これって我々の感覚だと思います(^^)
これは商品貨幣論に立った見方です。
ところが、信用貨幣論に立つと全然見方が違います。
銀行はお金を貸すから預金を創造しているんだ、と。え?(笑)
この「通貨に対する見方の違い」だけで私にとっては十分新しい世界なのですが、この違いを理解することで、「通貨」が世界経済を動かす軸になっている、という著者の見解に耳を傾けることができます(^^)
とても興味深い。
私の薄っぺらい知識レベルでは、とても反論できる材料は持ち合わせていないのですが、もし本書の見解通りの世界だとすると、私が感じたのはこんなこと
・ドルに代わる、あるいは肩を並べる基軸通貨になる可能性があるのは中国の「元」
・それによって世界の同盟関係が大きく変わる可能性がある
・ビットコインに代表される暗号通貨の類は通貨にはなりえず、ただの投資対象商品にすぎない
・インフレにむかっている今の日本で”減税”政策は完全に逆行
・日本は「円」という自国通貨は大健闘しているし、それを大事にしないといけない
・実は日本の財政政策&金融政策はかなりしたたかだった
マクロ経済のすごみを感じさせてくれる一冊、という印象をもちました。
それにしてもこの著者、すごいなぁ。
世の中こんな人達がうじゃうじゃいると思うと恐ろしい(笑)

