今回の読書会の課題図書はこちら。
先日の高校の同窓会では、90歳を超えられた当時の担任の先生(私とは別のクラス)がご挨拶で「最近ChatGPTというお友達をみつけました」といって、会場が盛り上がったり、今お世話になっている弁当屋さんの先輩主婦の方も「ChatGPT、おもしろいよ」といっているくらい、AIはインフラだけでなく、意識の上でもかなり身近な存在となってきました。
著者はシリコンバレーで新興VCへのファンド投資、スタートアップへの直接投資、エンジェル投資などを行ってきただけでなく、自身も米国で起業、AIの発展を現役で感じ取っている人です。
本書では3つの視点で構成されています。
1)生成AIの基礎:生成AIによってこれまでできなかったことが、どのようにできるようになるのか。生成AIとはそもそもどんな技術なのだろうか。そういったことを2つの章にまとめています。
2)生成AIの影響を受ける「業種」:業界を問わず、生成AIに影響をうける職種をとりあげています。取り上げられた職種は以下の通り。
・顧客対応・カスタマーサポート
・マーケティング・クリエイティブ
・営業・セールス
・組織・HRテック
・モビリティ・ロボット
・ガバナンス・セキュリティ
3)特定の業界に特化したAIがどのようにビジネスに実装されているのかを紹介しています。
・ヘルスケア
の2つの業界を取り上げています。
それぞれ業界に詳しい専門家による解説を交え、勢いのあるスタートアップも紹介しながら、生成AIがビジネスに実装されるイメージと、実装後のイメージを読者がもてるように、とまとめられています。
私自身、生成AIは個人ではせいぜいChatGPTに相談する程度ですが、仕事でヘルスケアに絡んでいることもあり、
・ヘルスケア業界
・ガバナンス・セキュリティ
については、少し予備知識を活かせて読むことができた気がします。
特にガバナンス・セキュリティについては、今後生成AIに人間がとって変わられるんじゃないか、という漠然とした不安にどう対峙していくか、という観点でとても興味深かったです。
解説として登場した羽深宏樹氏(履歴などは本書を参照)の視点はとても参考になりました。
まず「AIとは」という問いに対して。
「AIとは、結局は与えられたデータを統計的に分析して、最も確率の高い答え、を出す超高性能な確率統計マシンです」とのこと。
確率統計そのものは人間も昔からやってきたことで、そういう意味ではやっていることは人間とAIと同じであるといえそうです。
ただ処理する計算量は圧倒的にAIの方が多くて速い(^^)
そう考えると、AIによるリスクとよく言われますがそれらも実は人間によるリスクとほぼ同じだったりすることが見えてきます。
・自動運転:交通事故などがリスクとして言われていますが、人間も事故を起こします。そして米国で実用化されているGoogleのウェイモはすでに事故率は人間より低くなっているそうです。
・フェイクニュース:「夜の都会にライオンが!」なんてフェイクニュースがでると、「これだからAIは・・・」という声が聞こえてきますが、実は人間の世界で太古からフェイクニュースはつくられています(^^) ガセネタ、扇動、デマ・・・きりがないです(^^)
・人種やマイノリティへの差別:これもすでに人間が階級社会や奴隷制度などによって大昔から作り上げたもの。AIは人間が作ったもの、記録したもの、やってきたことを学んでいるので、当たり前のようにこのようなことは起こり得ます。
つまりリスクと言う観点でも、人間とAIとはほぼ同じとみることができる、というのです。
このガバナンスの章はこれにはとどまらず、一方で人間とAIとの違いや、AIとしてのリスクについても深堀りしています。
大変勉強になりました。
AIはテキストや画像、音声などの情報をデジタル化することができれば、学習できます。
逆に言うとデジタル化しにくいものは、AIは学習ができません。
長い経験や習熟にともなって培われる直感力などはその一例。
これから間違いなくAIとともに生きていく生活環境に変わっていくので、AIなしの生活は考えられなくなりますが、その一方でAIにはなかなか手が及ばない”現場”で積み上げあげられる経験値が、これから重要なキーになってくるのではないか、という著者の視点にも気づきをいただけました。
そう考えると、今の弁当屋の仕事って、日々仕入れ、メニュー、顧客が不規則に変わりつつも長年やっているベテランの人たちは見事にそういう変化を吸収して、いつものように対応できている様子をみると、AIとは別世界の仕事かもしれません(^^)
意外とこの仕事、なくならないか(笑)

