今回読んだ本はこちら。
再び澤田瞳子氏作品で「輝山」です。
「孤鷹の天(上)(下)」「満つる月の如し 仏師・定朝」に続いて3作目。
すっかり澤田氏の作品にハマっています(^^)
今回の舞台は、時代は江戸時代で、場所は石見銀山。
作品中水野忠邦の名前が出てくるので、おそらく1840年前後、すなわち江戸時代も後期になるでしょうか。
石見銀山は現在の島根県大田市大森周辺で、現在は世界遺産に登録されています。
江戸から石見国大森代官所の中間(ちゅうげん)金吾という人物が着任してから数年間におきた出来事の物語。
大きな出来事が6つほどあり、それぞれが独立した章となっているので、長編小説ではあるのですが6つの短編小説の集まりのような構成です。
大森代官所で働く役人たち、銀山で働く堀子(ほりこ)や山師(やまし)、堀子たちがあつまる飯屋の主人と使用人、現地の実力者、寺の住職と奉公人、そして江戸の役人など、たくさんの人達が登場します。
澤田瞳子ワールドの特徴は、このたくさんの登場人物を実に巧みにからませてくること。
そして主人公と思しき人物が決してスターではないこと(^^)
本書も金吾が物語の中心人物と思われますが、頭が特別いいわけでもなく、なにか突出した技能をもっているわけではないです。
それゆえに、登場人物それぞれに親近感を感じます。
そんな金吾は同僚がたくさんいる大森町ではなく、同僚が足を踏み入れない堀子たちが活動している谷の方が知り合いがいないので気が楽だろう、と足を踏み入れるようになります。
そこでいろいろな堀子や銀山の関係者と交流を育んでいきます。
銀山の中に入って鉱山を掘り出す堀子は、気絶(きだえ)という鉱山労働者特有の呼吸器系疾患にかかって、ほとんどが30歳〜40歳で命を落としてしまうといいます。
早死することがわかっていながら山に入る堀子たちの気持ちが理解できない金吾。
何が堀子たちを動かしているのだろう。
金吾といっしょに読者も堀子たちと向かい合い、なんのために生きるのか、を考えるようになります。
そしてなかなか掴みどころのない代官と金吾の江戸の上司である役人の行動を通じて、社会との向き合い方を自問します。
澤田氏の作品には、「生きる」ということや「社会との向き合い方」について問いを投げかけてくるような”会話”を感じます。
あなたはどう思う?、と。
そして私には、複雑になりすぎた社会や環境、人間関係って、もっとシンプルなものじゃないの?と話しかけられているようにも感じます。
今回も想定外の展開が多く、読んでいる時間がとても楽しかったです(^^)

石見銀山については、こちらに紹介ページがありますのでご参考まで。
