48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読後感想〜日輪の賦

 

今回読んだ本はこちら。最近ハマっている澤田瞳子氏の「孤鷹の天」「満つる月の如し 仏師・定朝」に続く第3作目になります。

 

舞台は持統天皇(作中では”讚良大王(さららのおおきみ)”として表現されています)から文武天皇のころ。

 

乙巳の変(昔は”大化の改新”として教わったクーデター。最大勢力の蘇我氏が後の天智天皇藤原氏の祖である中臣鎌足らによって倒された。)壬申の乱天智天皇崩御後、天智天皇の子で跡を継いだ弘文天皇大友皇子)を天智天皇の弟の大海人皇子(後の天武天皇)が倒して政権を奪ったクーデター)白村江の戦い朝鮮半島で唐・新羅(しんら)連合軍に日本と友好関係にあった百済(くだら)が攻められたので日本から援軍を派遣したものの大敗した戦い)と、当時の日本(まだ”倭国”といっていた)は、政治的にも外交的にも不安定な状況。

 

このままでは百済のように大陸の国に攻め滅ぼされてしまう、と危惧し、「強い国家を作らないとならない」と持統天皇が、天智天皇持統天皇の父)、天武天皇持統天皇の夫)の意思を継いで中央集権国家を確立する過程の物語です。

 

持統天皇が即位したころの日本は、憲法も法律もなく、各地方にいる有力者(豪族)による統治に頼っていたため、”国”といっても、それら豪族の中でも力の強い豪族が政権に入り、豪族の利権が優先されるような状況が続いていました。

 

持統天皇には自身の子草壁皇子がいましたが、若くして薨去(こうきょ)。

 

頼りにしていた夫、実の息子、そして義理の息子である高市皇子に先立たれ、政権内で、丹比嶋(たじひのしま)、阿部御主人(あべのみうし)、大伴御行(おおとものみゆき)といった豪族出身の右大臣、大納言の反発をうける日々。

 

そこに、天武天皇持統天皇に倒された大友皇子の息子でありながら、持統天皇への恭順を示す葛野王(かどのおう)、中臣鎌足の子ながら低い官位にいた藤原不比等らが味方につき、そして阿古志連廣手(あこしのむらじひろて)や忍裳(おしも)といった若い人たち、移民高詠(こうえい)・河内親子のような大陸からの移民及び関係者が加わり、徐々に力をつけています。

 

豪族を抑えるには絶対的な力を持つ規則が必要ということで、律令の作成に着手するのですが、豪族たちは律令作りの妨害を図ります。

 

持統天皇側と豪族側とのかけひき、そして登場人物それぞれの人間模様が複雑にからみあって物語は進行します。

 

そしてついに皇族をそそのかして豪族側が反乱をおこし、物語はクライマックスに。

(なおこの反乱は史実にはない模様)

 

無事律令が施行され、”倭国”としていたこの国が”日本”という国名になり、新たな国作りに向かうところでエンディング、という流れです。

 

比較的勧善懲悪的な描かれ方をしているように感じられるので、550ページ以上ある長編ではありますが、ストーリーは読みやすいと感じました。

 

そしていつもながらに多くの人物を手に取るように操り、大宝律令制定という史実をベースにして、誰もがわかりやすい物語に仕上げる技量は冴えまくっています。

 

奈良時代という古(いにしえ)の日本を舞台にしたドラマは、スケールの大きい世界観を感じさせられます。

 

なお本作は、第3回歴史時代作家クラブ賞(作品賞)候補にあがりました。



 

 

 

余談ですが、このあたりは私が読んできた複数の作品がいい感じで繋がっているようです。

 

41代持統天皇〜42代文武天皇  澤田瞳子「日輪の賦」

41代持統天皇〜45代聖武天皇  永井路子「美貌の女帝」

46代孝謙天皇〜48代称徳天皇重祚) 澤田瞳子「孤鷹の天」

 

なお先日読んだ「満つる月の如し 仏師・定朝」は、66代一条天皇〜69代後朱雀天皇、の時代です。

 

こうやってならべてみると、第50代桓武天皇あたりも読んでみたいですね。

 

永井路子氏がこのあたりの小説を書いているようなので、ちょっと物色してみます(^^)