今回読んだ本はこちら。
澤田瞳子氏の「夢も定かに」の次に2014年徳間書店から発刊された小説です。
この本がどんな本かは、巻末の”解説”で清原康正氏がうまく表現していらっしゃるので、そちらを引用させていただきます。
「副題が示すように、東海道を行き交う人々、そして街道の宿場に生きる人々の悲喜こもごもを短編連作の趣向で描き出している。
全十二話の主人公はそれぞれに独立した話の主人公となったり、脇の人物として登場してくる。
実に巧妙な仕掛けが施されており、この人物は確か前にとうじょうしたなとか、さり気ない描写の中に存在していたな、とあわてて前の話のページを繰ることとなる。そんな周到な構成を楽しむことができる連作集である。」
(以上、本書「解説」より引用)
そうなんです、その”周到な”仕掛けがなんともいえず楽しい(^^)
あたかも短編小説のようなので、一話ずつゆっくり読もうかと思ったのですが、次の話でどう繋がってくるのか気になってしまって、結局ほぼ一気に読み通してしまいました。
本書は第一話から順に西へ舞台が移っていきます。
ちょうど3年前に1年かけて東海道五十三次を歩いたので、話の中ででてくる宿場町の名前がとても懐かしく感じます。
この小説は、”解説”でも触れていたように、構成や仕掛けが面白いのはもちろんなのですが、江戸時代の人々の生活ぶりの描写が、とても細やかだな、と感じました。
人々が身にまとっている衣装、着物のデザイン、わらじの減り方から推測される行動、嫁入り道具、飲み屋の中の様子や商売方法、仇討のルールや実態などなど。
まるで痛快な時代劇をみているような気持ちになります。
著者の澤田瞳子氏は、奈良仏教史と正倉院文書の研究が専門ですが、作品の中には奈良時代〜平安時代だけでなく、江戸時代を舞台にした作品も数多くあります。
本書「関超えの夜」を始め、「若冲」、「名残の花」、「ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録」、「駆け入りの寺」、「わらわ鬼」、そして先日読んだ「輝山」など。
私の想像では、江戸文化についても細かい研究をされていらっしゃるのではないか、と。
細かく丁寧で、それでいてわかりやすい言葉で表現をしているので、情景をイメージしやすいんですね。
だからどんどんと読めていけるのかもしれません。

