48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜人文知は武器になる

 

今回の課題図書「人文知は武器になる」は、SNSで以前知人が投稿していたのをみていたのでちょっと気になっていた本でもありました。

 

本書は、哲学や歴史、文学といった人文知が、現代のビジネスや社会の中でどのような意味を持つのかを論じた一冊です。

 

冒頭の「はじめに」で語られていますが、「人文科学が大事だという一般論を語るのではなく」、「人文科学がどのように人の考えや行動を変えることに作用していくのか」を紹介しようとしています。

 

著者の対談形式で構成されている本書は、まず今の世界観について意見交換しています。

 

アメリカという大国の”覇権”は強大な軍事力を背景に20世紀以降続いていたが、今終焉を迎えつつある、というなかなかチャレンジングな視点。

 

その過程で、これまで正しいとされてきた考え方の基準が変わろうとしている時代にある、と著者は論じています。

 

にわかに信じがたい予測ではありますが、アメリカと中国とのパワーバランスが変化してきていることや、世界中で紛争が目立ち始めていること、トランプ大統領自身が「国際ルールは関係ない」とまで言い放った状況を鑑みると、何か世界がかわりつつあるのかもしれない、という感覚を持っても不思議ではないでしょう。

 

そして”覇権国”にも栄枯盛衰があることは、まさに歴史が語っています。

 

16世紀に貿易の利権を独占したポルトガル

 

17世紀に金融、開運、貿易で世界を支配したオランダ

 

19世紀に産業革命と海軍力で帝国を築いたイギリス

 

古代・中世に目を向ければ、ローマ帝国、モンゴル帝国、漢王朝などがありますが、いずれも結果的に力を大きく失った、あるいは滅亡したという結果です。

 

そしてこれらかつての覇権国家が力を落としていったときと同じような流れを今アメリカが辿っているという見方は、なかなか面白い視点だと思います。

 

そしてこの変遷によって、判断基準も変えていかなくてはならなくなってきた、というのが歴史という視点からうかがえる、と。

 

判断基準を変える、なんてそう簡単なことではないです。

 

そのプロセスで重要な力が「問う力」、すなわち哲学的な見地。

 

少なくとも歴史の知見、哲学の知見ってこういうときに作用してくるのか、ということは本書を読んでさらに共感できるところがあります。

 

ではこれからの社会、そしてその中における日本を考えたときに、どんな方向性を目指していったらいいんだろう、という考察の一つとして、「デュアルスタンダード」という概念が紹介されていたのは、とても興味深かったです。

 

松岡正剛氏が提唱した、と本書では紹介されていましたが、1つの価値基準で判断するのではなく、2つの価値基準をもって都合に合わせて使い分ける、というもの。

 

よく「ダブルスタンダード」とネガティブに言われることがありますが、ネガティブどころかむしろ強みではないか、という視点が面白い。

 

確かに日本ではたくさん「デュアルスタンダード」がありました。

 

神仏習合、幕府と朝廷の並立、時代劇における大岡裁き(ときには法にのっとり、時には人情優先)、なんていうのは典型的な例ではないでしょうか。

 

かつて日本人は「白黒はっきりしない」とか「曖昧なことが多すぎる」とか世界から避難されることがありましたが、私個人としては、むしろ白黒はっきりさせないことで衝突を避けお互いの領域をある程度守ることができるという、いい”わざ”ではないか、とも思っています。

 

ちなみにその考え方はシェアハウスの運営に反映しており、できるだけ「ルール化せずにマナーとして扱う」としているのは、いわゆる”グレーゾーン”を作ることで、価値観の緩衝帯を持つことが狙いだからです。

 

本書でも触れられていますが、企業の姿勢としても、利益追求が会社の目的という一意的な価値観だけではなく、社会へどう貢献するかという公共性という別次元の価値観が問われ始めてきています。

 

アメリカがベネズエラの大統領を拘束したり、イランを攻撃したり、

 

イスラエルが”報復”としてパレスチナを含む周辺のアラブ諸国を攻撃したり、

 

ロシアがウクライナに侵攻したり、

 

中国がフィリピン領海内の島を実行支配したり、他国の領海内に侵入して圧力をかけたり、

 

どの国もやりたい放題の状況を目の当たりにすると、これまでの価値基準を変えざるを得なくなってきている感覚になります。

 

ましてやこれからは生成AIがどんどん生活の中に入ってきて、その取り扱い方に新しい価値観を当てはめていかなければなりません。

 

否が応でもそういう環境に生きている我々として、歴史や哲学といった知見、視点、感覚は、これからどう自分が行動していくべきかを考えるうえで、必要な栄養素なのかもしれないですね。

 

 

 

余談ですが、本書で「世界的スター経営者は人文科学系の出身である」という表記があるのですが、ちょっとそれはいいすぎかな、とは思いました。^^;;

 

  • ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)ハーバード大学で計算機科学を専攻(中退)。
  • マーク・ザッカーバーグ(Meta Platforms共同創業者・CEO)ハーバード大学で計算機科学を専攻(中退)。
  • イーロン・マスク(テスラ、スペースX CEO)ペンシルベニア大学で物理学と経済学を学士取得。
  • ラリー・ペイジ / セルゲイ・ブリン(Google共同創業者)スタンフォード大学大学院で計算機科学の修士・博士課程。
  • ジェフ・ベソス(Amazon創業者)プリンストン大学で電気工学と計算機科学を専攻。
  • サティア・ナデラ(マイクロソフトCEO)マンガロール大学で電気工学の学士取得。
  • スーザン・ウォジスキ(元YouTube CEO)ハーバード大学で歴史と文学を専攻したが、後に経済学の修士を取得し、テック系キャリアを歩む。

日本なら

  • 井深大(ソニー創業者)早稲田大学理工学部卒業
  • 盛田昭夫(ソニー創業者)大阪大学物理学部卒業
  • 稲盛和夫(京セラ創業者)鹿児島大学工学部卒業
  • 豊田章一郎(トヨタ自動車名誉会長)東北大学大学院工学研究科修了
  • 永守重信(日本電産創業者)職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)卒業。モーター技術の第一人者。
  • 御手洗 毅(キャノン創業者)北海道大学医学部
  • 矢野博丈(ダイソー創業者)中央大学理工学部第二部土木学科