48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜なぜ日本文学は英米で人気があるのか

 

今回の課題図書はこちら。

 

翻訳家でもある著者が、”翻訳”という切り口で、日本文学が近年なぜ人気がでてきたのかを読み解いた一冊。

 

2025年の芥川賞と直木賞は該当者なし、という結果に終わりました。

 

一方で同年のイギリスでは、タガー賞の翻訳作品部門で日本人作家の作品が受賞。これはかなりの快挙らしい。

 

2000年以降、日本人作家の作品が翻訳されて翻訳者とともに賞を受賞することが増えてきました。

 

そこには有能な翻訳者たちが数多く登場してきたことも大きな影響を与えているそうです。

 

日本文学が世界で読まれるためには、現地の言葉に”翻訳”される必要があります。

 

現地の言葉に翻訳されるのは、まず英語版がでて、それをベースに各国語に訳されていくのが主流らしいです。

 

したがってまず英語版を出せるかどうか、ここが鍵です。

 

ところがかつて英米では英語が原文の書籍が売れ筋で、海外の翻訳本の需要は小さかった。

 

その英米で、年配は英語原文を相変わらず好んでいるけども、若い世代が翻訳本を楽しむようになってきて、需要が大きくなってきたようです。

 

このように、近年の英米における出版業界の変化を背景交えてわかりやすく解説してくれています。

 

著者によると、ここ20年ほどで見られた大きな変化は、

・英米で翻訳本が注目され始めた

・翻訳者の功労が注目され始めた

・女性作家の才能が認められるようになってきた

とのこと。

 

その変化に2000年以降日本で対応してきた女性作家の作品が次々と世に送られるようになったタイミングの良さが、現在の英米における日本文学の人気の後押しになっているように見えます。

 

本書でいくつか、面白い視点がありました。

 

”マイナー言語の作品が国際的に評価されノーベル文学賞の対象となるためには、審査員らが読める英語、フランス語、ドイツ語、スウェーデン語あたりに翻訳されている必要があり、ノーベル文学賞は翻訳大賞だといわれる所以である。”

 

なるほど(^^)

 

”「食と殺人」という英米のミステリーでは大変親しまれている王道路線”

 

確かにテレビで見る「名探偵ポアロ」や「刑事コロンボ」などでは、食事に関連する場面がよく見られていた気がします。

 

”「なにかを断罪しようとしない」日本小説のオープンエンディングな書き方”

 

心の揺れ動きを表現する手法として書かれていたものです。さすが作家の視点ですね。

 

”本は作家、あるいは翻訳家の費やした時間をキャプチャした箱でもある”

 

これは素敵な表現だなと思いました。作家と翻訳家の頑張りってこう表現でるのか、と勉強になります(^^)

 

”(イギリスでは)アメリカにも当てはまることだが、若い読者の翻訳小説好みは、今世紀に入ってからの世界的な保守化、排外主義、内向志向の高まりの反動という面が確実にある”

 

著者の見解だが、私も似たような感覚を持っています。

 

若い世代の人たちは、私たちのような”大人”世代の好き勝手な振る舞いや、組織に隷属している姿を「反面教師」として、自分たちの行動の指針の一つにしているように感じているからです。

 

チャップリンの映画「殺人狂時代」の有名なセリフが思い出されます。

 

Wars, conflict - it's all business. One murder makes a villain; millions a hero. Numbers sanctify.

戦争や紛争、これは全てビジネス。1人の殺害は犯罪者を生み、100万の殺害は英雄を生む。数が(殺人を)神聖化する。

 

今の世界の為政者の行動をみて、若い人たちは失望しているだろうな、と。

 

”世界文学は「遠い読み」(遠読)で成り立っている。翻訳という営為を介して”

 

「遠読」という概念は初めて目にしました。統計的・視覚的に分析する「俯瞰的」な読解手法のことですが、ここでは少し広い意味合いで捉えているように思います。

 

それにしてもこの本に登場する、世界で作品が読まれている日本の女性作家たちのことを、私は全然知らない(笑)

 

小川洋子、川上弘美、川上未映子、多和田葉子、松田青子、村田沙耶香、柳美里、柚木麻子・・・

 

1つくらい読んでみようかなぁ。。。

 

あ、村上春樹も全然読んでない・・・