(画像:Youtubeの予告編から引用)
今回観た映画は「ジョーンの秘密」です。
突然警察に連行される80歳台の女性、ジョーン。
容疑は「スパイ容疑」。
それも第二次世界大戦時代の行動に対する容疑、です。
イギリスが誇る大女優ジュディ・デンチが演じる主人公のジョーン・スタンリーが、当時を回想する展開で、若い時代のジョーンをソフィー・クックソンが演じています。
イギリス史上最も意外なスパイとされたメリタ・ノーウッドの実話に着想を得たジェニー・ルーニーによる小説「Red Joan」を映画化したものです。
実在の人間がモデルとなっていますが、ストーリーはフィクションでモデルとなったジェニー・ルーニーの人生とは異なります。
Netflixで「実話に基づいたサスペンス」という紹介だったので観てみました。
物理を学びに大学に入ったジョーン。
ひょんなきっかけでソニアという女性と知り合い、そしてその従兄弟といわれるレオを紹介されます。
ソニアもレオも共産主義者でジョーンを巻き込もうといろいろな手を使って接近してきます。
ジョーンはある研究所でアシスタントとして働くことになりますが、そこでは原爆開発というトップシークレットのプロジェクトが動いていました。
そのプロジェクトの情報をなんとかソ連に流したいソニア、レオはジョーンの心に入り込んで横流しを図ろうとします。
警察で取り調べを受けている現在と、心が揺れながら自分の行動はどうすべきか悩み続ける過去とシーンが行ったり来たりし、物語は進行していく流れです。
内容はサスペンスというより、ラブロマンスの要素が強い構成という印象です。
批評家による評価は決して高くはなかった模様。
私としては、なぜジョーンがスパイ活動に至ったのかという心の動きや変化をもっと丁寧に描写してほしかったな、と感じました。
過去の心の葛藤の描写がちょっと足りないので、ただ男に振り回されただけじゃないの?という印象を与えかねず、後半でジョーンがなぜ自分がこういう行動をとったのか、という主張があるのですが、その主張がちょっと空回りしちゃう感じなんですよね。
ジュディ・デンチの迫真の演技もあり、考えさせられるセリフになりそうなんだけど、支えとなるストーリーがちょっと脆い感じ。
ジュディ・デンチといえば、007のMを始め数多くの映画に出演し、アカデミー賞も受賞している超大物です。
ただそれ以外のキャスティングは、日本では馴染みのない人たちばかりかもしれません。
原作タイトル「Red Joan」のRedは共産主義のシンボルカラーである赤を意味していますね。
時間は1時間40分。
さっと観るには手頃な長さです。