読書会とは別に個人で読んだ本になります。
新しく始めた仕事は生成AIがからんだ医療系で、まさにこれから技術の発展のみならずルール作りも進められていきます。
すでに生成AIを使ったフェイクニュースに対する規制についても取り沙汰されていますが、医療系においても同様で、まさにこれからルール作りが進められていくことになると思われます。
そういった分野にかかわるにあたっての”基礎”として本書を紹介してもらいました。
宅建の試験に4回も落ちたくらい、法律は苦手な私^^;;
そんな私でもこの本はとてもわかりやすく感じたので、かなり丁寧に医療と介護にまつわるルールの歴史とその背景について解説してくれていると思います。
法律は一度つくればそれでおしまい、ではなく、社会情勢や価値観の変化に合わせてアップデートされていくもので、医療・介護に関わる法律というものも、何度も改定を重ねてきています。
お金のある人しか受けられなかった医療。
それが万民にいきわたるように健康保険制度を始めいろいろなルール作りが進みます。
一方で医療事故、過酷な労働環境などから医療関係者を守る必要性も認識され、医療現場にも目が向けられます。
そして少子高齢化にともなう介護を支えるルール作りも整備されてきます。
いつしか介護は「家族の義務」から「契約」の世界にかわっていきます。
生きること、死ぬこと、いずれも含めた「個人の自由」と、「公共の福祉」とのあいだで医療と介護がバランスをとりながら発展してきた(この表現は本書”あとがき”より引用)様子を、紹介してくれています。
本書あとがきでは、医療と介護の現状がかかえているジレンマ、法律といった”ハードロー”だけでなく、強制力をともなわない”ソフトロー”が交錯する世界でのバランスのとりかた、といった課題にもふれています。
ルールをつくればいい、という法律一辺倒ではなく、”生きること””死ぬこと”という人生を見つめながら、どうやって社会に支えられ、社会とかかわり、個人の自由とバランスを鑑み、幸せな人生を送る環境をどうやってつくっていくのか、という根源的な問いかけをされている気がします。
そういう視点でいえば、ある意味哲学的でもあり、ある意味人生観でもあり。
何度か繰り返し読むべき本だと感じました。