日本時間の15日午後1時10分ごろトンガ諸島の火山島「フンガ・トンガ フンガ・ハアパイ」で大規模な噴火が発生しました。
海面下の海底火山からの噴火にも関わらず上空15,000メートルあまりに達していたという報道です。
昨年10月に噴火した阿蘇山の噴煙は3,500メートルくらい。
全世界の気温を0.5℃も下げたと言われる1991年フィリピンのピナツボ火山は19,000メートルくらいだったようです。
2980メートルあった標高が山体崩壊で2,550メートルに減少したくらい強烈な爆発をした1980年のセント・へレンズ山の噴火でも16,000メートルくらいと言われています。
昨年12月にインドネシアで14人の死亡者を生んだスメル火山の噴火も15,000メートルだったそうです。
いかにトンガの噴火が大きかったかが、少し想像できるかもしれません。
今回のこの噴火はその規模の大きさもすごいのですが、注目されているのは津波。
日本気象台も噴火当初は「津波の心配はない」と報道していましたが、その日の夜中に潮位の上昇がみられ、太平洋岸に津波注意報、奄美諸島と岩手県には津波警報を発令しました。
実際、警報が出たところでは1メートル以上の潮位上昇が観測されています。
そして翌日の気象庁による記者会見。
「これを津波といってよいのかどうか」
「初めての経験なので今後どうなるかわかりません」
というなんとも珍しい会見となりました。
なぜか。
これまで津波は「地殻変動」すなわち「地震」がきっかけとなって起こる現象として認識されていました。
プレートがもう一方のプレートを引きずり込んで、ある程度まで引きずり込むと黄色い方のプレートが弾かれます。
これが地震のメカニズムで、この時に海を持ち上げることで海に波ができて波を作ります。これが津波。
お風呂の湯船で、下から手でお湯を押すと波ができますね。
あれと同じです。
ところが今回は火山活動によるもので、地震ではないんですね。
気象庁の関係者が「私見」として可能性を上げたのが「気圧変動による」というもの。
どういうことか。
海底火山が噴火することで、近くから大量のマグマ、噴煙を上げるということは、ものすごい力がないと外に放出できません。
その力がすなわち「圧力」ですね。
地球を取り囲んでいる空気の層に、一気にものすごい量の空気が入り込むとその部分の圧力が瞬間的に上がります。
それが海面を押し付けます。
こんな感じ。
これによって海面が「押され」てそのよって波が発生するというメカニズムであるという可能性だそうです。
昨年8月に大量の軽石を生んだ福徳岡ノ場の噴火でも実はわずかながらの潮位の上昇が見られたと記者会見で関係者が説明していました。
この噴火も16,000メートルくらいまで噴煙が上昇し、戦後最大級と言われているそうです。
地震、火山、津波といった自然現象は世界的にも経験が最も多い国の一つである日本でさえ、今回のような潮位上昇(ここからはあえて「津波」という表現は使いません)は未知の経験だったんですね。
もし予測されるような「火山噴火で空気圧が増して海面を押すことで潮位上昇が生まれる」が事実とすると、地球の空気層を押し付けるくらいの強烈なエネルギーが地殻から吹き出してくることが今後もある、ということですね。
昨年の福徳岡ノ場の海底火山、今回のトンガの海底火山、と大規模な海底火山噴火が立て続けに発生しています。
45億年という地球年齢から考えると、ほんの一瞬の出来事で地球からしたらくしゃみ程度なのかもしれません。
今回の潮位上昇によって被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。
これ以上大きな被害につながらないことを祈りつつ、地球という壮大な物体の一面を感じさせられます。