お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 作者: 佐藤航陽
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/11/30
- メディア: 単行本
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どんな本?
メタップスの創業者である佐藤航陽氏著作。2017年10月に刊行。
幼少の頃から経済的環境で不公平な気持ちを持ち続けていた著者が、自分の事業を通じて仮説、検証、考察を繰り返し、
- 経済システムに変革が起きつつあるという現状分析
- キーとなる「お金」と「技術」と「価値」
- 資本主義から価値主義に移行していく社会システムの今後
が述べられています。
最初電車の吊り広告でこの本の紹介を見たときは
「最近の仮想通貨ブームにのった薄っぺらい本」
ではないかと少々穿った先入観を持ったので、購入するつもりはありませんでした。
定例で参加している読書会で、次回の課題図書として本書が選ばれ、しかもKindleが半額というセール中だったこともあり、ポチ。
仙台へ向かう高速バスの中で読みきってしまいました。
読み切った感想は「これから自分はどう行動していこうか」という思いでした。そう、薄っぺらいなんて先入観をもったことが大変失礼だったことを素直に受け入れました(^^)
おさえておきたいところ
この本を読むにあたっておさえておきたいポイントは以下の点です。
- 「お金」ってどんなもの?
- 「経済システム」の構成
- 人間の欲とシステム
- 「資産」の捉え方
- 「世代」の違い
著者がこれらの概念について、持論交えて紹介してくれています。もちろん賛否両論あるとは思いますが、私は今壁にぶち当たっていると感じている資本主義システムに対して、もわもわと感じていたことの一部が氷解したような感じがしました。
内容をここでサマルことは差し控えますが、今起きていることがどんなことなのか、少し井の中の蛙状態から抜け出れたような気がします。
著者は「経済そのものの民主化」が始まっている、という表現を使っていました。なかなか言い得て妙です。
これまで経済システムは直接的に有用性がある「お金」を持つことが資産であり、パワーの証しでもありました。しかし、これからは今までお金で測ることができなかった「価値」が資産の主役になっていく、と述べられています。
本書では、今のSNSの状況など実例を交えてこの辺りの話をわかりやすく解説してくれています。
少々私の話になりますが、私はシェアハウス運営をしており、お客さんとして対象となるのは、20代〜30代の人たちが中心です。
私が20代の時は、
- いい学校(偏差値の高い学校)に入り
- 大企業に就職し
- 出世をし
- 持ち家や車を所有し
- 社会的・経済的優位に立つこと
が幸せの方程式のような風潮でした。
欲求として「物欲」はかなり上位を閉めていたと思います。
なので物欲を満たすためにお金が必要で、お金があれば物欲を満たせる。従ってお金がたくさんあったほうがいい、単純に言うとそんな価値観が主流でした。
物欲って、手に入れると満たされるんですよね(^^)
だからモノがあふれる大消費時代になったんです。
物を提供してお金を得る手段がお金を得る手段だったのですが、いつしかお金がお金を産む金融工学が主流になって、お金を得ることが目的になっているのでは、と思わされるのがこれまでの流れだったと感じます。
一方今の20代〜30代の人たちには「物欲」を感じません(^^) 自分が必要だと思うことにお金という資産を集中しているように見えます。
お金を使って何かを得て、その先にあるものを求めているようです。
お金ー>モノ(サービス)ー>体験、貢献など
やはり「大事なもの」あるいは「欲求」の対象は確実に変化してきていることを実感します。
これから
先日読書会で取り上げた「入門 ビットコインとブロックチェーン」を見て、「貨幣」という概念を根本的に変える技術がすでに世の中にあり、それが実用化されつつあることに驚きを持ちました。と同時に、今の貨幣をコントールすることでPowerを有する組織(国や銀行など)からものすごい抵抗があり、オープン化は頓挫するだろう、という諦めの気持ちもいだきました。
ところが「お金2.0」を読んで、実はこれまでの歴史を振り返ると似たような変革は、産業革命、紙幣の導入、中央銀行の登場、金本位制の崩壊などで経験してきていることに気付かされたのです。
「これから自分はどう行動していこうか」そんな思いが、本書を読み終えて浮かんだ感想です。
今まで当たり前と思っていた価値観が、実は音を立てて崩れているところに今生きている可能性があります。
私は5年前に「大企業での高収入」を捨てて「価値ある時間の使い方」を求めて起業しました。今でも「儲けること」より「価値ある仕事」を優先して取り組んでいるつもりです。
それでも生きていくためには「お金」という要素は不可欠で、無視をすることはできません。なので、「お金」も意識しています。
これからくるであろうライフスタイルと自分が取り組んでいる仕事のスタイルを照らし合わせてみると、私のスタイルにはまだまだ改良の余地があることを感じます。
これからの自分に対して色々なアンテナを提供してくれた本書でした。