48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜「エンデの遺言」

 

今回の読書会の課題図書は「エンデの遺言〜根源からお金を問うこと」でした。

 

エンデは「モモ」の作者。

 

そんな彼が亡くなる直前にNHKが行ったインタビューとして残されたテープには、経済問題について熱く語るエンデの声が収録されていました。

 

収録後ガンでエンデはこの世を去りますが、その2年後にアジア通貨危機を始め世界各国で経済危機が引き起こされます。

 

すでにインタビューの段階でその危機について語られていたことを受けて、インタビューの内容をまとめたものが本書になります。

 

 

「どうやったらお金からの支配から抜け出せるだろう」

 

それがエンデの問いかけです。

 

本書にも登場する米国カルフォルニア大学バークレー校「持続可能な資源開発センター」のベルナルド・リエターという学者の言葉を引用すると、現在の通貨が持つ機能は

  1. 交換の媒体
  2. 価値の尺度
  3. 価値の保存
  4. 投機的利益の道具
  5. 支配の道具

 

とのこと。

 

4、5の機能のいびつさが、お金に支配される人々を多く生み出している、という問題提起です。

 

お金は「ものとものの交換を仲介する道具」のはずだったのが、世界での取引のうち「仲介」として利用されているのはわずか5%にすぎなく、残り95%は実態の伴わない「お金がお金を生む」取引らしいです。

 

その諸悪の根源の一つが「利子」の制度と指摘しています。

 

「利子」自体はなんの実態がないもの。

 

これが「仲介」を超えた取引を生んでいるという見方をしています。

 

そしてお金の量が増えることによって相対的にお金の価値がさがり、お金の保有量が少ない人達はサービスを受けにくくなっていく。

 

それが貧富の差につながっている、という流れです。

 

 

 

そして諸悪の根源のもう一つが「変わらない価値」。

 

実態のあるものはなにかしら機能、性能、実態が減衰していくはずで、お金も道具であるからにはお金の価値自体も減衰してしかるべき、という主張です。

 

以前友人が日本で実験的に「価値が下がるお金」の流通をさせているところがある、と聞いています。

 

1,000円もっていても長くもっているとそのお金自体の価値は900円、800円と価値が下がっていくというものです。

 

お金の価値は不変、ということが常識となっている我々からしてみるとなかなかイメージしにくいですね。

 

かつてのジンバブエやアルゼンチンのようにハイパーインフレがあって、リアカー1台分の紙幣でもパン1個買えない、なんてことがありましたが、あれは貨幣の信用の問題なので、ちょっと違います。

 

むしろ江戸時代に税を年貢として米で収めていたシステムのほうが近いかもしれませんね。

 

お米も長く放置していると劣化していきます。

 

10年、20年同じ価値で保持することは無理です。

 

なぜお金の価値を減衰させるべきと主張しているかというと、早く使おうという意識が働いてお金が流通するから、というのがその理由。

 

ドイツの思想家シルビオ・ゲゼルが主張していたそうですね。

 

お金の流通を促進させる目的では他に「地域通貨の活用」というのもありました。

 

ある特定の地域に限定した通貨を別に発行するというもの。

 

この一番の狙いは特定の狭い地域に流通しているので、流動性が高まることです。

 

今はグローバリゼーションで支払ったお金は世界中にばらまかれてしまいます。

 

コカ・コーラを飲むのにお金を払っても、最終的には本社のあるアメリカはジョージア州にあるコカ・コーラ本社に吸い上げられてしまい、それが再び自分たちのところに帰ってくるかというと、別の国に投資されたりしてなかなか還流されてこないですね。

 

高い流動性という意味では、日本ではバブル期がそれに近かった気がします。

 

私もそうでしたがそんなに給料がなかった(当時新入社員だった私の手取りは15万円くらいだったかも)にもかかわらず、車買って毎週友達と旅行して、平日は飲んでカラオケして、と派手に使っていました。

 

でも簡単にお金が借りられることやベースアップがどんどん進んでいったので、「すぐにお金は入ってくる」という恐ろしい安心感があったんです(笑)

 

私は結婚したときにもまだ口座残高がマイナスで当時の妻に激怒された覚えがあります。。。

 

結局バブルは、行き過ぎた土地の高騰などを危惧した当時の金融庁がぐっと蛇口を閉じたことで、回ってくるはずのお金が回ってこなくなって破綻してしまったんですけどね。

 

バブルのときは「実態のない取引によったお金の流通」だったのですが、地域通貨の狙いは「実態の伴った取引によったお金の流通」なので、性質としては真逆になります。

 

 

 

お金の持つPowerを今の為政者、権力者がそう簡単に手放すようなシステムを推進するとは全く思えないので(笑)システムを変えるような動きは正直あまり期待していないのですが、自分自身「お金」というものに対して持っていた「常識」を一度疑うきっかけとして、いい本かもしれません。

 

システムを変えることは容易でないけど、自分自身の向き合い方は変えることができますからね。