知人から案内をいただいて久しぶりに講演を聴きにいってきました。
テーマは月の開発。
ispaceのCOOの方にお話を伺いました。
子供の頃から憧れていた宇宙
私は「プロ野球選手になること」と「天文学者」になることが子供の頃の夢でした。
小学生の時に買ってもらった天体望遠鏡を使って夜空をよく眺めていました。
子供の頃の愛読書であった学研まんがひみつシリーズの中でも「宇宙のひみつ」や「星・星座のひみつ」といった天体物が大好きで、一等星の名前や星座の名前は記憶が苦手な私でもよく覚えていました。
76年に1回地球に近づくと言われているハレー彗星が接近した1986年、結局は全然見ることができなかったのですが、それでもかなり興奮した覚えがあります。
当時はすでに大学生で天文学への道はすっかり諦めていましたが(笑)
現在の宇宙開発
私の年代だと「宇宙開発」はアメリカと旧ソ連(現在はロシア)の競争、というイメージでした。
1960年代に人類初めて地球外に出たガガーリン、女性最初の宇宙飛行士テレシコワといういずれも旧ソ連の人の名前は子供の時に覚えました。
スペースシャトルや衛星の打ち上げ合戦など、国の威信をかけて両大国が競っていたイメージです。
しかし旧ソ連の崩壊で資金難となってロシアは後退、アメリカも開発費がかさむということで予算が縮小方向に舵を切られました。
それに代わって開発が進んできたのは中国、インドといった国と民間です。
今回講演いただいたispaceさんも民間開発会社の一つ。
イーロン・マスク、Amazonの創始者ジェフべゾフなどのビリオネアと呼ばれる富豪たちやGoogleといった企業が出資して宇宙開発ベンチャーをサポートしているそうです。
出資額も半端でなく100億円といった単位でお金が動いています。
日本政府も向5年間で宇宙開発に1,000億円の投資をする方針を出したそうです。
国による開発から民間による開発へと開発主体が遷移している流れですね。
月の開発へ
今回講演いただいたispaceさん含め、今月の開発が熱いようです。
なぜ「月」なのでしょうか。
月の重力は地球の6分の1にすぎません。
これは月の直径が地球の4分の1と小さいことに起因しています。
このため打ち上げにかかる燃料の違いなどで打ち上げコストが100分の1くらいになるらしいです。
このため、地球から打ち上げるのではなく月から惑星探索や衛星を打ち上げることでより低コストを実現できる期待があるそうです。
月から打ち上げるためには燃料の存在が不可欠です。
月の北極と南極を中心に水の存在が確認されました。
この水を水素と酸素に分解することでエネルギー源とすることができるのです。
この水の存在が開発にぐっと背中を押したことになります。
月の開発には4つの大きなステップがあるそうです。
- Launch:打ち上げ
- Delivery:航行
- Landing:着陸
- (英語メモし忘れました(^^)):探索
それぞれに大事な技術を必要とします。
月は当たり前ですが地球と異なる環境にあります。
重力:地球の6分の1
気温:マイナス150度〜プラス120度
大気がない
このような環境に「耐えられる」素材、構造、仕組み、アーキテクチャを技術的に表現し具現化していくのです。
未知の世界に挑戦する楽しさがお話を通じてとても強く伝わってきました。
所感
技術の進歩は時代を追うごとに早くなってきています。
2040年には月に1,000人の住人、10,000人の旅行者がいるだろう、というのが今の予想だそうです。
もしかしたらこの予想を上回る速さで実現されているかもしれません。
私は民間の力が原動力となることがこの動きを加速させるのではないかと思っています。
昨今民間企業が直面したのは「明日の飯より今日の飯」で、長期的なアウトプットを想定した投資より、直近の経営指標(ROI、EVA、企業価値(※)など)を重視した投資に比重が移りました。
(※)企業価値は将来に渡ってもたらされるキャッシュフローを見積もるので長期的なアウトプットを意識した指標のように思えますが、その前提は現在を元に設定されており視点としては直近の経営指標にしかすぎないというのが私の考えです。評価が高かったベンチャーがふたを開けると利益源が違っていたなんて話は少なくないですね。数字遊びといわれても仕方ありません。
国の政策は長期的展望に基づいた予算割当が可能でしたが、格差社会や失業対策が自分たちの政治生命に直結することから、宇宙開発のような長期的なプロジェクトではなく、移民対策やら保険制度、ネット環境整備といった比較的近未来的な視点に比重が移されつつあります。
誰も手を出さなくなってきた長期的なプロジェクト。。。
そこに手を上げ始めたのがビリオネアや、ベンチャー育成を重視している企業ではないでしょうか。
「投資」は「回収」されなければならない、そういう理屈を盾に、ある時から日本の企業では開発がお取り潰しになり、民主党の「仕分け」にて国の研究活動も締め上げられました。
50年前に比べると変化の速度は比較にならないくらい早くなっていて、過去の経験や実績がもたらす影響度は小さくなっており、未来を予測することがどんどん難しくなってきています。
そんな環境で開発者たちに「将来のリターンをコミットしろ」なんて要求をつきつけるなんて、開発行為の妨害以外何者でない。
ましてや将来を見越すことができない人たちが審査側に回っているからなおさら。
「将来はわからない。でもやらないともっとわからない。だからやることに意味がある」
開発はそういうものだと思っています。
期待通りにいかない結果が出ても、それがわかったということ自体が前進。
だから資金力のある人達が直接的なリターンを期待せず開発に投資をしてくれるのは歓迎する流れです。
もちろん彼らも間接的にコマーシャル効果などのリターンをうけることはあります。
それはそれでいいんです。
この視点にたてば、クラウドファンディングのように少額で応援できるという枠があると、これから応援してくれるファンを醸成できるのではないかなと思います。
応援を主とするのでリターンは小さいあるいは無しでもいいと思います。
もちろん議決権はありません。
なにか成果をだしたときにその成果を享受する優先権とかでもいいと思います。
月の石をつかった実験セミナーとか(^^)
早い段階から一般の人達がちょっとでも関わることで、認知を早めたり、その業界におけるコンテクストを高めたりすることができるのでは、という期待感です。
これからのご活躍、ますます期待です(^^)