先日「シェアハウスをやってみたい」と考えていらっしゃる方とお話する機会がありました。
その方は、これまでお勤めをしていたのですが、ある人達をサポートしたいという気持ちが強くなり、その手段としてシェアハウスを運営するという選択肢が浮かんだそうです。
ただご本人は住んだこともないし、周りにそのような人もいないようで、あるサイト運営会社を通じてご相談が私のところにきた、という経緯です。
その方Aさんのお話を伺っていて、なんか6年位前の自分がフラッシュバックしてきた気がしました。
6年前の今頃は、シェアハウスの運営会社を作ろうと法人化の準備を進めていて、シェアハウスにも住み始め、シェアハウスの運営会社を経営している人Bさんに話を訊いたりしていました。
シェアハウスに住み始めたのは6月からだったので、そのちょっと前までは、シェアハウスは想像上の世界でしかなかったなぁ、と。
そんな状態でBさんに「教えて下さい」とアポをとってもらい、インタビューをしたこともありました。
まさに、今回の方が私にご相談いただいたのと同じシチュエーションだったかもしれない・・・
6年前に私がインタビューをした時、場所は紹介してくれた方が運営しているカフェを利用させてもらいました。
ビジネススクールのクラスでグループのテーマにしてもらった「シェアハウス事業」の事業計画をつくる、というのが直近の課題だったので、グループのメンバー1人にも一緒に参加してもらいました。
Bさんは約束の時間にちょっと遅れて到着。
「じゃ、早速訊きたいことは何かな」と挨拶もそこそこにインタビュー開始。
その時の問答や内容は殆ど覚えていないんだけど、だんだんとBさんの表情が不機嫌というかつまらなさそうになってきたのは覚えています。
こちらは必死にいろいろ訊いているので、なんで不機嫌になってきたのか全くその時はわからなかったんですね。
30分ほどでインタビューは打ち切り。
Bさんは紹介してくれたカフェの人に「この後一杯飲みにいかない?」と声をかけ、カフェの人が「ごめん、まだ仕事続いているから」と断ると、「じゃ。」といって早々に立ち去っていきました。
後に時間をとってもらったお礼も伝えたかったのでFacebookの友達申請もしましたが、2ヶ月位反応がなく、申請を取り下げた記憶があります。
Bさんにとっては、あまりいい時間ではなかったようですね。
なぜだったのか、その時はまったく理解できませんでした。
話は今に戻り、Aさんからのご相談会はまずオンラインで行うことに。
Aさんはシェアハウスに住んだこともないし、見たこともありません。
たった6年ですがシェアハウス生活をしている私にとって当たり前のことでも、Aさんにとっては未知の世界だから、何をどう訊いていいかわからないことも。
Aさんご本人も「何がわからないのかがわからない」とおっしゃっていました。
どうしたらいいんだろう、という不安感で一杯だったことでしょう。
それでもAさんは一生懸命調べて、自分が何をわかっていないのかをわかろうとされていらっしゃいました。
そんなご様子をみて、6年前の私はこんな状況だったのかなぁ、とふと思い返しました。
あのときのBさんは「何を訊きたいんだ、この人は?」みたいな心境にあったとしたら、あの時の様子はわかるような気がしてきました。
そうスタート地点を過ぎてしまった人は、これからスタート地点に立とうとしている人にもどかしさを感じることは少ないと思います。
起業するときも、何をしていいのかわからず、「どうやったら起業できるのかイチから教えて!」と知人に尋ねたこと数しれず。
そのたびに「大丈夫(^^) 簡単だからやってみるとわかるよ」くらいのことしか言ってくれませんでした。
そしていざやってみると・・・ほんとに簡単だったんですよね。(^^)
ふと「自分はなんか知ったような気になっていないか」そんな戒めの言葉が頭の上から聞こえてきた気がしました。
次回の読書会の課題図書は高橋源一郎氏が現代の人たちでもわかりやすいような訳を20年書けてまとめた「論語」です。
その中の子路のところで
子曰、君子泰而不驕、小人驕而不泰
という記載があります。
子曰わく、君子は泰(ゆたか)にして驕(おご)らず、小人は驕りて泰ならず
と読むのですが、
「人格者は泰然として落ち着いているが、決して驕り高ぶったりしない。つまらない人間は驕り高ぶってはいるが、落ち着いてゆったり構えるという事ができない。」
という意味なのだそう。
気をつけよう・・・