48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

無駄なことはない

先日友人から「話がしたい」と連絡がきたので、今や普通になってきたZoomでのビデオ通話をしました。

 

今の会社でどうにも意欲がわかない、という悩み。

 

いろいろ話を聞いていると、大企業にある「組織の一部と化していて、自分が創造的なことに取り組めていない」と感じているように感じました。

 

勢いのある組織は、個々の力が発揮されていて裁量権も与えられ、新しいことを生み出しているという手応えを感じられるかもしれません。

 

ベンチャーの魅力の一つはそんなところにもあるかと思います。

 

一方で組織が大きくなりすぎると事業全体が見えにくくなり、自分の役割はその一部で森の中の木をみているに過ぎないような感覚にとらわれることがあります。

 

大企業であればその傾向は強くなりそうですね。

 

 

 

大企業でもベンチャーのようなやり方できるじゃないか、という声もありそうです。

 

そう、実際に大企業でありながらベンチャー的な組織が存在しているところもあります。

 

私がいた前職の会社はまさにそうだったように感じます。

 

その会社はざっくりとした社風のようなものもあります。

 

「自由闊達」それがキーワード。

 

でも部署によって、その空気は全然変わります。

 

今思えば私は入社から退社までの間で、

 

間接部署ーベンチャー会社ー大企業会社

 

と経験させてもらった気がします。

 

 

 

間接部門では、営業や設計・製造といった「直接価値を作ったり販売する」直接部門の活動を後方支援するのが役割です。

 

総務、人事、経理、管理、法務、コンプライアンスなど。。。

 

この時に、直接部門だけでは事業にならないことを体験を通じて感じ取れたことは、今私が起業をして時間の多くをこういった間接的な業務にあてていることにつながっています。

 

アスリートを中心としたチームで言えば、食事担当、ストレッチ担当、会場手配担当といった役割です。

 

彼らがいることでアスリートはその恵まれた才能を活かすことが可能になる、そんなイメージです。

 

 

 

次に所属したところは、今から思えばベンチャー企業のようでした。

 

フォーマットが乱立していたデータ記録装置の世界で、独自のフォーマットを立ち上げて世界一を狙おう、というチームです。

 

私が加わった時そのチームはわずか20人程度でした。

 

それが6年後には200人近いメンバーに拡がり、一つの課にすぎなかったチームはカンパニー(事業本部のようなもの)にまで成長し、課長だった上司は執行役員にまで上り詰めました。

 

商品化された製品では記録密度は世界一を記録し、善戦しましたが最後や最大手のフォーマットに敗れました。

 

この時は、係長にもなっていない私でもたくさんの裁量権が与えられていて、やりたいことをどんどんやらせてもらいました。

 

チームメンバーも個人1人1人の力量が高く、だれもがプロフェッショナルでした。

 

フォーマット競争でスピードが勝負。

 

だから上司も「いちいち伺いたてにこなくていい。自分でどんどん判断して進めろ」とチームに発破をかけていました。

 

調子に乗りやすい私は、言われた通り好きなようにやらせてもらい、ショップのビデオデッキを買い占めたとか、承認印だけ押してもらった工程変更依頼書を十数枚もって乱発していたとか、役職がないのに出張滞在していた客先で秘書と個室をあてがってもらったとか、いろいろエピソードには尽きません(笑)

 

その代わり仕事はきつかった(^^;;

 

1日の睡眠時間は2〜3時間は当たり前。

 

夜1時くらいまで仕事してそれから飲みに行ってカプセルホテルで仮眠して朝6時からアメリカとテレコンなんていう生活を数年やっていたわけです。

 

今の働き方改革は隔世の感があります(^^)

 

それにヘマをしたときの攻撃も容赦なかった(笑)

 

パワハラなんて概念なかったから、今ならかなりの主要メンバーがパワハラで職場を去っていたことでしょう・・・

 

やりがいと引き換えにきつさ、厳しさも合わせて背負っていた、それがベンチャーっぽい職場の特徴でした。

 

 

 

その後に所属したところは、上司の承認、関係部署の了解がないと動けないという、とても大企業っぽい職場でした。

 

当時課長だった私は、上司の部長、そして事業部長と承認案件をあげていくのですが、途中で関係部署の部長、所長クラスと話を合わせておく必要がありました。

 

でないと、「私は聞いていない」といってちゃぶ台がひっくり返ることがあるからです(^^)

 

ここでは1人1人の力というよりも、1つ1つの組織をどうやって動かすかということがキーになっていました。

 

組織を動かすには、キーパーソンである人"たち"(複数なんです)に納得してもらうことが必要なんです。

 

だから承認会議においては、基本その前に根回しが済んでいるので、いってみれば出来レース

 

変革をうたう人達からすると、真っ先の攻撃対象となりそうな仕事のすすめかた(^^)

 

でもこのやり方がこの組織では合っていたんです。

 

それは、一つのタスクは個人ではできないことが多いからなんです。

 

大きな設備を使った事業(船舶、紙製品、鉄道、製鉄、電力など)は、大きい設備を使いながらも精密な管理を必要としていて、ちょっとしたミスが命取りになります。

 

この「命取り」は製品がだめになる、だけでなく下手をすると文字通り人の命を奪うことにもなりかねないんです。

 

だから安全確認や、安全訓練は真剣そのものだし、1人の思いつきやわがままはミスに直結しかねないんです。

 

だから組織の責任者やリーダーは、「ミスがないように」最新の注意をはらわなくてはなりません。

 

 

 

事業特性によって、個人の裁量のあり方、組織のあり方は異なってきて当たり前。

 

幸運にも私は1つの会社しか経験してないにもかかわらず、3社くらいの経験値をもたせてもらいました。

 

友人からの相談の話を聴くことができたのもこの経験が大きな支えとなっていたからだと思いました。

 

当時はいろいろ思うことはあったけど、今となるとすべてが自分の血肉となっていることを改めて気付かされた機会となりました。

 

人生無駄なことはない、ですね。

 

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