今将棋界では、2つのタイトル戦が同時進行しています。
豊島九段が挑戦している名人戦。
伊藤七段が挑戦している叡王戦。
挑戦をうけるのはすべてのタイトルを保持している藤井八冠。
名人戦は豊島九段が終盤でいい形をつくるも2局とも逆転で藤井八冠が勝利し、「藤井八冠強し」を見せつける格好となったことは、先日もブログでご紹介させていただきました。
先日もう一つのタイトル戦である叡王戦の第3局が行われました。第2局は藤井八冠のタイトル戦の連勝が止まり、1勝1敗のタイスコアとなっています。
前半はほぼ五分の形勢。中盤から藤井八冠が少しずつポイントを稼ぐように優位になっていきますが、終盤手前で藤井八冠に緩手がでて形勢が逆転。
そこから伊藤七段が猛攻をかけ、藤井八冠の王を追い込んでいきます。
この勢いがすさまじく、AIの形勢判断によるとその差が広がっていきます。
しかし、藤井八冠も簡単に形勢を悪くしているわけではなく、伊藤七段が1つでも間違えるとまた形勢が逆転してしまうくらい、プレッシャーをかけていきます。
それでも、この日の伊藤七段はさえまくって、決して間違えません。
そしてついに伊藤七段がとどめの桂打ちを見て藤井八冠が投了。
これで叡王戦は藤井八冠が1勝2敗となりました。叡王戦は五戦制度なので、あとひとつ負けるとタイトルを失うというカド番状態に。
藤井八冠が逆転することは数多くありましたが、今回はその逆を行きそうな逆転劇。
しかも藤井八冠は、2023年度は先手番で24勝1敗と圧倒的に強く、しかも今回選択した「角換わり」という戦法は藤井八冠の得意としている戦法なので、「先手の角換わり」だった藤井八冠を破ったというのは、かなりの衝撃です。
藤井八冠がタイトル戦に登場してから、実は初めてづくしなことがたくさん!
・勝ち星よりも負け星が先行したこと
・タイトル戦でカド番に追い込まれたこと
・同じ対戦者に連敗したこと
なんせ藤井八冠はタイトル戦に登場してから、一度もタイトルを取りそこねたことがなく、しかもフルセット(最後の1局までもつれること)にもちこまれたこともないくらいの完勝劇が続いていました。
伊藤七段は藤井八冠と同じ年。小学生の時は当時の藤井少年といっしょに将棋の全国大会に出場して、伊藤少年が準優勝、藤井少年が3位と、藤井少年より上の成績をおさめていたんですね(^^)
(画像:日テレNEWSを掲載したYahoo!より引用)
これが当時の伊藤少年と藤井少年(^^)
後ろの左側は森内永世十八代名人、右は高見七段で元叡王のタイトル保持者です。
わずか10年の間に、後ろにいたプロたちを超えてこの少年たちが将棋界のトップに君臨しているとは・・・
ランキングを表すレーティングでは、藤井八冠が1位、伊藤七段が2位とTOPを占めています。
今将棋界は、さらに新しい棋士もでてきています。
藤本渚五段。
2022年10月に高校生で四段になり1年でC2クラスを勝ち上がり、今年3月にC1クラスで五段に昇格。今年の3月に高校を卒業したばかりの18才です。
これが強い(^^)
2023年度は
・対局数:第2位(1位は伊藤七段。藤井八冠は5位)
・勝利数:第1位タイ(伊藤七段も1位タイ。藤井八冠はこの2人に次ぐ3位)
・勝率:第2位(1位は藤井八冠。伊藤七段は5位)
・連勝:第3位タイ(12連勝。藤井八冠も3位タイ。伊藤七段は14連勝で2位)
と上位に名を連ねる大活躍。
2024年に入ってもまだ早いですが、6戦6勝と、対局数、勝利数、勝率、連勝、いずれもトップです。
それに王位戦挑戦者決定リーグ戦でもいいところにいて、タイトル挑戦になる可能性を秘めています。
この藤本五段のレーティングが急上昇をしていて、先日ついに9位にまで上がってきました。
藤井八冠、伊藤七段は21才。
この20才前後の若い人たちが将棋界を引っ張っています。
それでも、レーティング4位に君臨し、王位戦でも藤本五段と並んで挑戦権獲得に最も近いところにいるのが、53才レジェンド羽生九段(^^)
今年将棋連盟は100周年。
羽生九段は将棋連盟の会長という立場で連盟の運営活動をされていますが、自身が持つタイトル数が実は99個。
今年タイトルをとって100タイトル目になると、将棋連盟100周年が盛り上がるだろう、と一部のファン(私含め(笑))は勝手に盛り上がっています。
さて注目の叡王戦第四局は5月31日。
今度は伊藤七段が先手番なので、俄然伊藤七段の初タイトルの期待が高まります。
絶対王者の藤井八冠に果敢にくらいついていい勝負をみせてくれて、一将棋ファンとしてはだいぶ楽しませてもらっています(^^)
(画像:毎日新聞ホームページより引用)