リーマン・ブラザーズが破綻する直前の週末4日間を映画した2009年のBBCが放映したテレビ映画です。
テレビ映画ということで、放映時間が52分と通常の映画より短いのですが、見ごたえたっぷりでした。
DVDなどはないようで、Amazon Primeで視聴することができます。
リーマン・ショックを描いた映画作品はいくつかあり、このブログでも「マネー・ショート 華麗なる逆転」をご紹介しました。
この「マネー・ショート・・・」はリーマン・ショックで世の中の流れに反して逆張りをしかけた数名の投資家の物語でしたが、今回の「リーマン・・・」は、当事者であるリーマン・ブラザーズと、救済すべきかどうかで揺れる競合Bankと財務省との駆け引きを描いています。
放映時間が短いこともあり、冗長的な説明にあたる描写はほとんどなく、「この映画を見るなら関連人物は知っているでしょう」といわんばかりに、容赦なく関係者が登場してきます(^^)
なので、本作品を観る時はキーパーソンを抑えておくといいと思います。
( )内は演じている役者名。
リチャード(ディック)・ファルド(コーリイ・ジョンソン):「ミスターリーマン・ブラザーズ」と言っていいリーマン・ブラザーズのCEO。1993年にリーマン・ブラザーズが再独立を果たしたときからトップに君臨し続けた人物です。
ヘンリー・"ハンク"・ポールソン(ジェームズ・クロムウェル):ブッシュ(息子の方)大統領時代の財務長官。元ゴールドマン・サックスの会長兼最高経営責任者。リーマン・ブラザーズが財務危機を迎えているが「バブル崩壊を招いた金融機関が自分たちで対処すべき」と政府は支援しないことを表明。
ケン・ルイス(ジェームズ・ボラン):バンク・オブ・アメリカ(通称”バンカメ”)の最高経営責任者。リーマン・ブラザーズの引受け金融機関候補の1つにあがる。
ジョン・セイン(ベン・ダニエルズ):メリルリンチの最高経営責任者。リーマン・ブラザーズの引受金融機関候補の1つだったが、自社自体が不良債権で破産寸前だったことから方針をかえてバンク・オブ・アメリカに接近する。
バート・マクデイト(ウィリアム・ホープ):リーマン・ブラザーズの最高執行責任者(COO)。他からの干渉を嫌うCEOディックに変わって、財務省と金融トップによる救済の可能性についての会議に傍聴として参加することを許される。
ザック(マイケル・ランデス):ディックの秘書。本映画のナレーター的な役割も担っている。
他にも金融トップがいろいろ出てきますが、誰がどの金融機関なのかは観ているだけではわかりませんでした^^;;
なので映画を楽しむ上ではそこまで知らなくてもOKでしょう。
2008年9月12日金曜日。財務長官ポールソンがリーマン・ブラザーズを除く全米大手金融機関のトップを呼びつけます。
「このままいけばリーマン・ブラザーズは週明けに破綻する。しかし政府は支援しないことを決めた。君たちでなんとかするかどうかしっかり話し合うように」という通達。
もちろん、金融機関トップメンバーは反発する。数日前に住宅金融公庫を支援したばかりでもあります。
ポールソンは、「これはリーマン・ブラザーズだけの問題ではなく、サブプライムローンの不良債権化によって全米金融機関に訪れる危機でもある。次は君たちの番だ。」と牽制をします。
リーマン・ブラザーズの隠れた不良債権の存在のため、引受候補だった金融機関の多くが手を引き、残るはバンク・オブ・アメリカ、メリルリンチ、イギリス大手のバークレイに絞り込まれていました。
リーマン・ブラザーズは一旦アメリカンエクスプレスに身売りをしたのですが、1993年に再独立を果たします。その再独立に関わりトップに座ったのがディック・ファルドでしたから、リーマンに対する思いは人一倍。
これまで多くの危機を乗り切ってきた自信から、今回もなんとかなるだろうということでたかをくくっていたところがありました。
金曜日の招集から土曜日、日曜日とわずか2日間に大きな動きや駆け引きが繰り広げられます。これがこの映画の見どころの一つ。
そして運命の9月15日の月曜日、リーマン・ブラザーズは破綻します。