(画像:Netflixより引用)
先日「ラブ・アゲイン」に出演しているスティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、マリサ・トメイが「マネー・ショート」でも共演していることをこのブログでご紹介しましたが、久しぶりにまた観たくなって観てしまいました(^^)
2008年のリーマン・ショックで多くの人が経済的なダメージを受けた中、この状況を予見していた人物たちを描いた、実話に基づいた映画です。
ラブ・アゲインで主役級だったスティーブ・カレル、ライアン・ゴズリングはこの映画でも、サブプライムローンに潜んでいたリスクを見抜いて逆張りをする人物たちを演じており、ここでも主役級です。
ラブ・アゲインでスティーブ・カレル演じるキャルと微妙な関係の学校の先生役だったマリサ・トメイは、この映画はでスティーブ・カレルの妻役です。
(画像:Netflixより引用)
登場シーンは少ないのですが、倫理観と現実とのはざまにおかれ、実兄の不慮の死というトラウマに苦しむスティーブ・カレルの心をしっかり支える重要な役どころを演じています。
この映画は、時々役者がカメラに向かって説明をするシーンが何度もあります。
これ「第四の壁を破る」というそうですね。
演劇で舞台と観客との間にあたかもあるような壁のことを第四の壁といって、この壁を壊して舞台から観客に語りかけることで独特の演出をする手法です。
日本のドラマでは古畑任三郎でも使われていた手法です。
内容はサブプライムローンを使った金融商品の信用性をいつわり、1の価値を100にするような錬金術のごとくマネーゲームに興じた米国を中心とした世界経済の凋落を描いているので、舞台は証券会社、銀行、ファンドといった金融の専門分野になります。
そのため、MBS、CDS、CDOといった専門用語がでてきますが、初めて聴く人でも理解してもらえるようにという配慮が感じられます。
不動産を担保にした住宅ローンを証券化しそれを売買するという金融商品があり、金融機関が投資運用に活用していました。
この債権、債権同士が組み合わさって新たな債権を作ったりしていたため、実際の価格の10倍、20倍の値段で取引されるようになったのです。
100万ドルの住宅ローンが2000万ドルの債権となって売買されていることになります。
この債権、住宅ローンがちゃんと健全に支払われる前提で成り立つのですが、住宅バブルだった米国では、家を買っても売るときにはもっと高くなっていたため、資産がなくても住宅ローンが組めたんですね。
まさに1990年の日本のバブルと同じ状況です。
ただこのバブルが弾けると、不動産担保価値が下がるため支払いが滞るようになります。
そして支払いができなくなったものが不良債権となるわけです。
そんな住宅ローンって信用度低いですよね。
でも当時の格付け会社はバブルをあおるように、高い格付けをつけていたんです。
実態のない格付けはやがて足元から崩れ始め、リーマン・ブラザーズを始めとする大手金融機関の倒産から世界的金融恐慌を生みます。
細〜い一本足の上にものすごく大きな傘が乗っかっていて、それが「あ〜崩れる〜」というようなスリル感がこの映画の醍醐味かもしれません。
この映画、ブラット・ピットが元トレーダー役で出てくるのですが、正直端役的でこんな大物がなぜ、と思ったところ、実は製作に関わっていたんですね。
見ごたえのある作品です(^^)